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おすすめ短編小説 2004年9月のベストおすすめ文庫

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      センセイの鞄
著者:川上弘美
文春文庫
解説:木田 元
定価:533円+税 
ISBN4-16-76313-2
2004年9月10日刊
    
短編小説を連作してできあがった長篇。長篇として読んでも短編として読んでも面白い。
読む人によってリアルな小説とも読めるし、メルヘンとしてでも読める。
 ちょっと夢見がちな若い女の子向けという気もするが、中年男性にとってもまだまだ俺だって、という夢を与えてもらえるいい小説。こんな素敵な話は小説の中だけのことなのでしょうね。だからよけいにせつなく、美しい物語になったのでしょう。
 最後に涙をほろりと落とすか、あるいは落とさなくても目頭が熱くなってしまうのは、わたしだけではないでしょう。
 まだまだ続きが読みたかったのに、突然終わってしまうのもやるせないものです。

 川上弘美のよさが凝縮しているような気がします。絶対のおすすめ本です。

 
<収録作品>
     ・月と電池
・ひよこ
・二十二個の星
・キノコ狩 その1
・キノコ狩 その2
・お正月
・多生
・花見 その1
・花見 その2
・ラッキ0チャンス
・梅雨の雷
・島へ その1
・島へ その2
・干潟ー夢
・こおろぎ
・公園で
・センセイの鞄


  <冒頭>
   月と電池

 正式には松本春綱先生であるが、センセイ、とわたしは呼ぶ。
 「先生」でもなく、「せんせい」でもなく、カタカナで「センセイ」だ。
 高校で国語を教わった。担任ではなかったし、国語の授業を特に熱心に聞いたことも
なかったから、センセイのことはさほど印象には残っていなかった。卒業してからはず
いぶん長く会わなかった。   
<出版社のコピー>
   駅前の居酒屋で航行の恩師と十数年ぶりに再会したツキコさんは、以来、憎まれ口をたたき合いながら、センセイと肴をつつき、酒をたしなみ、コノコ狩りや花見、あるいは島へと出かけた。歳の差を超え、せつない心をたがいにかかえつつ流れゆく、センセイと私の、ゆったりとした日々。谷崎潤一郎賞を受賞した名作。


  <おすすめ度>
☆☆☆☆★