cogito

プティットパンセ   La petite pensée

 「 侍史(じし)」について
「侍史」。この難しい言葉を今の日本で知っている人、さらには使いこなせる人が何人いるのだろうか。
 意味としては、貴人のそばでつかえる書記となる。現代であれば秘書的な立場であろうか。一般的には手紙の脇付け、相手の名前の横に添える言葉で、相手への敬意を示すものである。目下の者が目上のものにうやうやしく書き物を差し出すときに添える言葉である。

 今の時代、手紙を書くということが減ってしまい、この「侍史」を眼にすることはほとんどない。自分がこの言葉を知ったのは大学生時代40年以上前の話である、たまたま夏休み中に恩師に手紙を書かないといけなくなったときである。博学の先輩がいてくれて、たまたま宛名書きを見たときに、「侍史」と入れた方がいいよ、と教えてくれたのである。

 この侍史という言葉が今も生きている世界がある。医療業界である。どこに使われているかというと病院から病院に渡す紹介状で使われている。
 お医者さんというのは確かに偉いひとだとは思う。でも、紹介状を直接渡すには恐れ多いので、どうぞ部下のものにでも開かせてください、とまでへりくだらないといけないものなのか。
 おそらくこの言葉を添えているひとにはその意味がわかっていなく、ただの様、先生と一緒に並べて書く単語程度の理解度ではなかろうか。

 最近ではこの宛名書きもコンピュータがやってくれるので、なぜかわからないまま初期設定をされているのを使い続けているのだろう。

 患者の個人情報が満載されているものであるから確かに重要なものではあるが、病院どおしで患者情報を引き継ぐのにそこまで仰々しい言葉を添えるのはなんだかおかしい。
 今の時代であれば相手のコンピュータに自動的に取り込めるようなデータにして、メールなどで送る方がよほどスマートと思えるのだが、いかがでしょうか。またここに記載されている情報はなによりも患者そのものにもしっかりと開示すべきではないでしょうか。

          jishi                                         2019年2月23日


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