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池澤夏樹 作品紹介 
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きみのためのバラ
新潮社  
定価:1300円(税別)
頁数:211頁(文庫版)
ISBN978-4-10-375306-3
装画:横山智子
装丁:新潮社装丁室
静かな語りに隠された熱情  短編ならでの妙味
 どこ作品も鋭い切れ味を持ち、味わい深い。池澤作品らしい静かな語り口にひきこまれる。
世界各地で起こる一瞬のできごと。その断面を正確な描写で綴ってゆく。


<収録作品>
  ・都市生活
  ・レギャンの花嫁
  ・連夜
  ・レシュタションのはじまり
  ・ヘルシンキ
  ・人生の広場
  ・20マイル四方で唯一のコーヒー豆
  ・きみのためのバラ
<冒頭>
  都市生活

 「ご予約を変更なさいましたか?」と聞かれて彼はうろたえは。
 「いえ、しなかったと思うけれど・・・」
 「あの、これは三時半の便のご予約になっているんですが」
 ゴヨヤクという言葉は耳障りだと思いながらカウンター越しに航空券を見ると、なるほ
どそうなっている。

<出版社のコピー>
 ヘルシンキ、ミュンヘン、メキシコ、バリ、アマゾナス、沖縄・・・世界の片
隅でひっそりと起こる贈り物のような出会いと避けがたい別れ -  。遠く離
れて暮らす幼い娘と年に一度旅をする父親。憑かれたように求めあった年上
の女医と青年との奇妙な十夜。駅のホームでトランクに腰かけていた黒い瞳
の美少女。そして二度と会うことのない彼女のための、一輪のバラ。人生の
一瞬が永遠に変わる恩寵のようなひとときを刻みつけた、美しい八つの物語。