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池澤夏樹 作品紹介 |
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静かな大地 |
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朝日文庫 | ||
定価:1000円(税別) | ||
頁数:650頁(文庫版) | ||
ISBN978-4-02-264400-8 | ||
装画:山本容子 装丁:十河岳男 |
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北海道開拓史を描いた池澤作品 | ||
池澤夏樹の歴史小説。明治初期の北海道日高を舞台にした開拓史である。物語は池澤夏樹の母方の曾祖父、その兄を描いた実話に創作を加えている。明治四、年大政奉還されてからまだほどない頃、洲本より北海道静内に開拓のために渡った元武家の幼い兄弟の北海道での開拓苦闘を描いている。ここでなによりも大切なのがアイヌとの関わりである。和人よりもずっと以前より、北海道と呼ばれる前の蝦夷の地で自然とともに共存をしてきた民族である。差別され続けるアイヌと自然な親交を持ち、共に力を併せて新しい牧畜を始めるが、半ばでの挫折。 主人公宗形三郎の姪によって綴られた手記という形態で、多面な視点から物語進める。長い小説ではあるが緊張感が続いて飽きさせない。日本の歴史を、民族の歴史を学びながら、北海道の広大な地へ想いをはせることができる。よい作品である。 |
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<冒頭> | ||
煙の匂い 徳島の侍が襲ってきた時の騒動の思い出を、父は幼い由良に何度も話した。 たくさんの武士や兵隊が刀を振りかざして走り回る。由良が見たことのない遠い洲本の町を、 侍や兵がわーわーと大声をあげながら走る。狭い海を越えて徳島の侍たちが町に押し寄せ、大砲を撃ち、鉄砲を撃ち、家に押し入り、人を切り、火をつける。ものを盗む。町中に煙の匂い が立ちこめる。洲本の者はただ耐える。 |
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<出版社のコピー> | ||
第3回 親鸞賞受賞作 第7回 司馬遼太郎賞受賞 明治初年、北海道の静内に入植した和人と、アイヌの人々の努力と敗退。 日本の近代が捨てた価値観を複眼でみつめる、構想10年の歴史小説。 |