コギト工房 Cogito-Kobo
若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 

  
「浅間山荘」のトリックスター
文藝春秋  
定価:1300円(税別)
頁数:25頁
ISBN4-16-308780-X
初出:1984年創刊号(12月) 雑誌『へるめす』
       
   
<冒頭>
   わが国に稀な人文学者(ユマニスト)H・Tさんが亡くなられた。 ー  また遅れてしまった、この人からの寛大で辛抱強い呼びかけに、よく応えることができなかった、という思いをいだいて、僕はその著作を再読した。遅れることを繰りかえし、自分の持ち時間の先は見えている、という冷えびえした嘆きもいだきながら・・・・
<出版社のコピー>
「浅間山荘」の銃撃戦と、雪深い森の若い死者たち。革命党派の課題をこえて、そこには戦後日本の精神史にきざまれた、もっとも悲劇的な惨たらしさがある。しかもユーモアの地下水もにじみ出るほどの人間的な深みで受けとめたい。文学の仕事なのだから・・・・
永く考えた後、手法のことなる架空の短篇をくみあわせて、出来事の全体に対置することにした。主題としては長篇にひとしく、同時代、あるいは同じ不幸を生きる自分の個人史も透けて見える。
<おすすめ度>
☆☆☆☆
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