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おすすめ短編小説 2005年4月のベストおすすめ文庫

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      泳ぐのに、安全でも適切でもありません
著者:江國香織
集英社文庫
解説:山田詠美
定価:457円+税 
ISBN4-08-747785-1

カバー絵:エドワード・ホッパー「海辺の部屋」 2005年2月25日刊
<今が旬の短篇集>
      
 江國香織の作品がどうしてこんなに人気があるのか、いつも不思議でならない。
いや、作品にでてくる女がなぜこんなにも満たされていないのか、あるいは満たされ
たいと願っているのかが不思議である。
 もう終わってしまったが「東芝日曜劇場」のための原作を作っているのだろうか、と
さえも思ってしまう。人生のある瞬間をうまくきりとって、さりげないドラマに仕上げて
しまうその手腕には全く脱帽。うまい、でもなにか物足りない。
この物足りなさが江國香織の魅力なのかもしれない。
 いろいろ言っても、やはりついつい読みたくなる作家である。
(お父さんのフアンだったからといのもある。お父さんを越えたようにも思う)
  
<収録作品>
      
・泳ぐのに、安全でも適切でもありません
・うんとお腹をすかせてきてね
・サマーブランケット
・りんご追分
・うしなう
・ジェーン
・動物園
・犬小屋
・十日間の死
・愛しいひとが、もうすぐここにやってくる


  <冒頭>
   泳ぐのに、安全でも適切でもありません

 一緒に住んでいる男と別れようかどうしようかと考えながら紅茶をのみ、紅茶をの
みながらそのへんに散らかっている雑誌やTシャツやカップめんの容器を片づけて
いると、電話が鳴った。午前七時だった。
  
<出版社のコピー>
   安全でも適切でもない人生のなかで、愛にだけは躊躇わない − あるいは躊躇わなかった女たち。
愛することと幸福とは同義では決してなく、彼女たちの潔さは、泣きたくなるほどせつない。恋愛の高揚感、
男が去った後の寂寥、愛と生活との断層、嫉妬の苦しみ・・・・・・。
愛することをとおして人生を切りとった、心にしみとおる傑作短篇集。第15回山本周五郎賞受賞作。


  <おすすめ度>
☆☆☆☆