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      パーク・ライフ
著者:吉田修一
文春文庫
解説:なし
定価:390円+税 
ISBN4-16-766503-4
     イラスト:奇藤文平 
     デザイン:大久保明子
2002年8月刊行  2004年10月文庫にて刊行
今一番期待できる書き手の芥川賞受賞作品

 最初、この若い男女の出会いがあまりにもあざとく鼻についてしまったのだが、それが不思議なことに読み進うちに
いつの間にか作品にひきこまれてしまった。日比谷公園という舞台にしろスターバックスという道具建てにしろ、新鮮みは
ないのに、どこか違う肌触りが読ませる力になっている。
 いい作品だ。

  <冒頭>
  パーク・ライフ

 日比谷交差点の地下には、三つの路線が走っている。この辺り一帯を、たとえば有楽
町マリオンビルを誕生日のケーキの上飾りに譬(とと)え、上空から鋭いナイフで真っ二つに切っ
たとすると、スポンジ部分には地下鉄の駅や通路がまるで蟻の巣のように張り巡らされ
ているに違いない。地上のデコレーションが派手でも、中身がすかすかのケーキなど、
あまりありがたいものではない。

<出版社のコピー>
  公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを
片手に春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。
なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動き始める。日比谷公園を舞台に、男と女の
微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。
  <おすすめ度>
☆☆☆☆