2005年 6月号back

 

 指定席といえば、通常料金1800円のところ、2500円払って白いカバーの席に座る権利を得ること。自慢じゃないが今まで権利を行使したことはありません。いえ、なに、私が好みとする席よりも、いつも少しばかり後ろに用意されているので、ご遠慮しているというか。指定席に座っているのは、殆どがカップルであまり会話のない不幸そうな人たちも多い(願望か?)ように思える。

 

 ところが、このところ指定された席に座ることが多くなりました。たとえば5/21有楽座ではJ-10番、5/22ユナイッドシネマ豊島園ではH-8番と手元にある半券に番号が打たれています。もちろん(!)、通常料金(いや、正確には前売りの割引料金)しか払っていないのです。

 

 最近は全席指定とする劇場が増えてきたのです。この傾向は、シネマコンプレックスから始まりました。シネコンは人の多く集まりそうな場所、たとえばショッピングセンターなどにあることが多く、買い物ついでに映画を、とか、映画の帰りに買い物をなんて人が多い。時間を有効に使ってもらい、映画の始まる直前まで買い物をという配慮から始めたものでしょう。

 

 それが今や普通の劇場にも波及し始めています。有楽町でいえば先に始めたのは松竹でした。少し遅れて東宝も開始しました。東映、東急系はまだです。徐々に拡大しつつある全席指定、上映開始時間まで有効に時間を使えるというメリットを上手く使いこなしましょう。その方法と注意です。

 

1.初回は全席自由席で、指定ではありません。(初回から満員はめったにありません)

 

2.当日分は朝から総ての回の席を売り出しいていますので、
   ①窓口で席指定を受ける 
   ②用事を済ませる 
   ③開始時間に劇場に行く 
のパターンが便利。(前売り券を指定券に交換してください)


3.松竹系では先の分(木曜日に次の週の土曜日から1週間分、つまり約2週間前から)まで窓口で席指定を受けられます。前売り券からの交換も可能です。


4.シネコン系を中心にインターネット・携帯等で先の分の席指定が可能ですが、チケットも正規料金で買わなければなりません。


5.このインターネット予約で安く見られる日があります。毎月1日の映画サービスデーです。この日は1000円です。ほぼ可能だと思いますが、サイトでチェックしてから予約してください。

 

有楽町の劇場を分類してみましょう。

A 全席指定・先の分も発売:

   丸の内ピカデリー1,2、丸の内プラゼール、東劇

 

B 全席指定・当日分のみ:

   日劇1,2,3、スカラ座、有楽座、みゆき座

 

C 指定なし・番号順入れ替え制(朝から当日分総て番号付与・基本的に立ち席なし):

   シネカノン有楽町、銀座テアトル

 

D 指定なし・入れ替え制(立ち席あり):

  シャンテシネ1,2,3(東宝系ですが指定はなし):

  スバル座、丸の内ルーブル

 

E 指定なし・入れ替えなし(立ち席あり):

  シネスイッチ、丸の内TOEI①,②


 昔は総ての映画館がEでしたので、途中から入って途中で出るなどという見方も可能でした。途中から見ると、どうしてこうなったんだろうと推測がいろいろ沸くという変な楽しみはありましたが。
 ともあれ、A~Cまでの劇場では上手く利用して座ってください。

 

 

 

 GWとサマーシーズンの間に挟まれて5、6月は小粒な作品が揃いました。
4/26~5/25に見たベスト3は次の通りです。

 

 

① ウィスキー
 日本にきた初めてのウルグアイ映画です。ともに74年生まれの2人が監督実際に映画を作っていたのは20代の終わりとはとても思えない落ち着いた画面作りです。フィンランドのカウリスマキ的で、日本の小津的でもあります。大げさでないユーモアが心地よいです。同じことが永遠のように続く退屈な日常、その中にある小さな変化が行き着くところは?
結末をどう取るか、見た人は教えてください。

 

② エレニの旅
 30年近く前、「旅芸人の記録」という厳しい映画があった。ギリシャの悲劇が荘厳な詩の中に描かれていた。エレニの旅はあの頃のアンゲロプロスを思い出させる。総ての画の中に詩があり、見る者に語りかけてくる。画面の持つ力を信じている映画を久しぶりに味わう。

 

③ クローサー
 いかにも舞台劇、登場人物のせりふだけで成り立っています。ばかばかしいほどに男女の駆け引きが繰り返されて、まるでひ弱な馬鹿男が敗れるのは当然としても、ま、楽しくも疲れますね。マイク・ニコルズといえば「卒業」ですが、ベンとエレーヌは今頃どうしてるでしょうか?今の映画作りより、主題くっきり、無駄がなく見安いです。

 

この他に、「キングダム・オブ・ヘブン」(R・スコットは最近凄くリアル)、「ザ・インタープリター」(ニコルズ同様、くっきり無駄なしのS・ポラック)がなかなかです。

 

今月の最低賞は「交渉人真下正義」少なくとも犯人だけは挙げて欲しかった。

 

 

来月の期待は「ミリオンダラー・ベイビー」で決まりです


                         - 神谷二三夫 -


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