2016年 9月号back

今年の8月はオリンピックという4年に一度の祭典がありましたが、
秋と違って真直ぐ北上し関東近辺にやってきた台風たちも目立ちました。
金メダルだったり、大雨だったり、銅メダルだったり、強風だったり、
何とも騒がしいことでしたがやっと静かな9月にと思いきや、
パラリンピックが…、しかも台風は本番に…、
心を落ち着けるためにいい場所が、それは、そう、映画館!
時には、ハラハラ、ドキドキですが。

 

 

 

今月の映画

 

 7/26~8/25、興奮のリオ・オリンピックを挟んだ31日間に出会った作品は31本、大幅な輸入超過になりました。
 外国映画の新作ではアメリカ映画とフランス映画が目立ちました。アメリカ映画が11本、フランス映画が5本です。
共に日本映画より多い。

 



<日本映画>

いしぶみ 
シン・ゴジラ
秘密The Top Secret 

 

 

<外国映画>


トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
  (TRUMBO) 
ファインディング・ドリー
  (Finding Dory)
ミモザの島に消えた母
  (Boomerang) 
ロスト・バケーション
  (The Shallows) 
めぐりあう日
  (Je Vous Souhatte d’etre Follement Aime /

    Looking for Her)
プロヴァンスの休日
  (Avis de Mistral / My Summer in Provence) 
ブリーダー

  (Bleeder)
奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ
  (Les Heritiers / Once in a Lifetime) 
ニュースの真相
  (Truth) 
太陽のめざめ
  (La Tete Haute / Standing Tall) 
ターザン:REBORN
  (The Legendof Tarzan)  
ロング・トレイル
  (A Walk in The Woods) 
ラサへの歩き方 祈りの2400㎞
  (Pathsof The Soul)
ソング・オブ・ラホール
  (Song of Lahore)
ダーティ・コップ
  (The Trust) 
ストリート・オーケストラ
  (Tudo Que Aprendemos Juntos /

   The Violin Teacher) 
栄光のランナー ベルリン1936
  (Race) 
X-MEN:アポカリプス
  (X-men:Apocalypse)
イレブン・ミニッツ
  (11 Minut / 11 Minutes) 
ゴーストバスターズ
  (Ghostbusters)
マン・アップ!
  (Man Up) 
ジャングル・ブック
  (The Jungle Book)
(古)サマーストック
  (Summer Stock) 
ガラスの鍵
  (The Glass Key) 
南部の人
  (The Southerner) 
水の娘
  (La Fille de L’eau) 
マン・ハント
  (Man Hunt)
ビッグ・コンボ
  (The Big Combo)

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 



① ラサへの歩き方 祈りの2400㎞
 両手・両膝・額を地面につけて祈る五体投地を繰り返しながら、
長い年月をかけ歩いて聖地ラサを目指す巡礼をする11人のチベットの人たち。そこには大人たちに交じり、8歳くらいの少女、妊婦、老人もいる。
その皆が1年くらいの年月をかけ巡礼を楽しそうに行ったのだ。

 

②-1 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
 2次大戦後のアメリカでは共産主義が敵とみなされ、1940年代後~50年代前半、共産主義者の疑いをかけられた人々は映画界で働くことができなくなった。ハリウッドテンの一人として自らも表立ってハリウッドで働けないトランボは、偽名で脚本を書く仕事に他の仲間も引き込みシステムを作り生き延びる。

 

②-2 栄光のランナー ベルリン1936
 ジェシー・オーエンスの名前は知っていた、アメリカの走る人として。時代がベルリンオリンピックの頃であり、1933年委オハイオ州立大学に入学した彼は1年の内に競技大会で45分間に3つの世界新記録を達成、ユダヤ人差別のオリンピックに出場する。現代も続く黒人差別も含め、原題「Race」の通り、レースと人種の問題を深く描いて感動させる。

 
③ シン・ゴジラ
 大人のゴジラとして面白かったし、初作の印象も残しているのが良かった。ゴジラに対する日本政府の危機管理方は3・11の時のそれを思い出させます。わたしは「太陽の蓋」の続編かと思ってみました。後半の破壊方も面白く、ラストのしっぽゴジラの群れは何?とも思わせます。

 

 

 

他にも面白い作品が皆さんをお待ちしています。


●いしぶみ:原爆投下時、投下地点から500メートルほど離れた場所で作業をしていた広島二中1年生の各人の文章、エピソードを綾瀬はるかが朗読、写真・動画も使い、臨場感を高めます。原爆とはどんなものであったのか簡素に豊かに伝えてくれました。

 

●ロスト・バケーション:「ジョーズ」以来、海面の下からやってくるサメ映画の中では落ち着いてシンプルなつくりが冴える作品。

 

●プロヴァンスの休日:祖父役のジャン・レノが信念をもった男を好演、いかにもな南フランスの街の住人の生活が見られました。家族3代にわたるお話です。

 

●奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ:パリ郊外にある高校で、落ちこぼれクラスの生徒たちが先生の勧めで歴史コンクールに参加、「アウシュヴィッツ」というテーマに取り組むことで変化、成長していく様を見せてくれます。実話です。

 

●ニュースの真相:電波は国家権力のものではない、むしろ国家の暴走を監視する機能を働かせなければ意味がない。ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を追及する米ネットワークの一つCBSの戦いを描く。他人事ではないと思われます。

 

●ターザン:Reborn:英帝国の貴族グレイ・ストーク卿がターザンに戻る姿を追う。ベルギー領コンゴでの戦いはGCを駆使してジャングルの中を飛び渡る姿を描く。

 

●ロング・トレイル:原作者ビル・ブライソン役をロバート・レッドフォードが演じて、アメリカの有名なトレイルの一つアパラチアン・トレイルを旧友と年相応に横断する。

 

●ソング・オブ・ラホール:パキスタンが70年代後半のイスラム化、90年代のタリバンの台頭などのため歌舞音曲が破壊され、伝統音楽の演奏者たちは失職する。彼らが新しい道を求めてジャズに進出していく様を、素晴らしい演奏で描く。

 

●ブリーダー:2011年ハリウッドで作った「ドライヴ」が評判になったデンマークのニコラス・ウィンディング・レフン監督の1999年の作品。オタクぶりに驚き。

 

●ストリート・オーケストラ:交響楽団の入団試験で緊張から演奏できず、失意の内に着いたのがスラム街の音楽教師、子供たちに音楽の楽しさを教え交響楽団の演奏に導く。

 

●イレブン・ミニッツ:今年78才のイエジ―・スコリモフスキ監督の新作は、11分間に起こったいくつかのエピソードをごったまぜにして描いている。なかなかに面白い部分と、どう見ても11分間とは思えないことなど、総てを無視してその描写力だけに身をゆだねれば楽しめる!かも?

 

●ゴースト・バスターズ:オリジナル作はあの当時の雰囲気通りのいい加減さが、時代の気分だった。今回思ったよりは面白かったのは、その残像の故か?

 

●マン・アップ!:先月書いた「カリコレ」の見られなかった作品が、カリコレ終了後アンコール上映で見ることができた。イギリスのしぶとさと可笑しさを感じさせる佳作。

 


Ⅱ 今月のトークショー

 

①「ラサへの歩き方 祈りの2400km」
 上映の日、珍しくも時間があって開始2時間近く前にチケットを買い、喫茶店でゆっくりしつつ渡された映画のチラシを見ていたら、前の回の終了後に渡辺一技(いちえ)さんのトークショーがあると書かれていた。これは交渉するしかないでしょうと、まず終了時間(トークショー時は予告編カット)を推定し間に合うように映画館へ、窓口で“できればお願いしたい”と丁寧にお願いすること…と成功し前の回終了後客席へ。交渉中に分かったことは、他に一人別の日に既に見た人が、この回の切符代も払って同じく終了後にトークショーだけを聞きに来た人がいることだった。えらい!!

 
 一技さんは椎名誠の奥さん、椎名ファンだった私は以前から知っていて、本も読んだことがあったが、こんなにチベット好きの人とは知らなかった。
1987年に行き始めて、以降は毎年1回以上出かけ、多い時は3か月おきにとか。
 五体投地の巡礼をチベットの人は修業とは思っていず楽しんでいるとか、生命あるものすべてを平等に愛する人たちは、おばあさんが寺院で“この足の痛みを他の人が経験しませんように”祈っているとか、縫物をするとき針を持つ手を前に出し自分に向かって針を進めるとか、他人を傷つけまいとする人たちの話が印象に残りました。

 

 

②「ダーティ・コップ」
 ニコラス・ケイジ主演作で、なかなか面白い作品が終わった後イベント(?)が、予定されていた。“準備です”との声とともに複数のカメラマンが入ってきた。動画用のカメラも後ろに設定された。“ゲストの登場です”の声に現れたのはモト冬樹。はげ具合がケイジに似ているからか、今までにもケイジもので使われているのか?
 ニコラス・ケイジには会ったことがあるという。
ファンでもあるという。本当ですかね?でもまあ、嫌みがなくテンポが良いのが受け入れられやすい。話の内容は完ぺきに忘れてしまった。
ラストは撮影会ということで、私を含めてニコラス・ケイジの顔のコピーを顔面に掲げ、真ん中にモト冬樹が一人実の顔での写真を撮った。もしこの写真を見たことがある人は彼の一つ後、すぐ右側にいるのが私です。自分は見たことがないんですよね。

 

 

 

Ⅲ 今月の初日プレゼント



 映画の成績は、初日やその週末の興行成績によってかなり左右される。その成績次第で、そのロングラン興行がどの程度続けられるか、或いは拡大公開に進むかが決められるからだ。もっとも最近ではロングラン興行と言っても初めから終了日が決められていることも多くなっているのだが。いずれにせよ映画会社の人が初日に多くの人を集めたいと思うのは間違いない。その方法の一つとして初日プレゼントが考え出されたのである。担当者としては努力をしてタイアップ企業を見つけ、なるべく費用をかけずプレゼント品を用意しようとするのだろう。

 

 “愛とは、見捨てないこと”という惹句が付けられた「太陽のめざめ」、“名優カトリーヌ・ドヌーヴ待望の主演作”である。その初日に行ったらプレゼントがあった。なんだか春雨みたいなものが入ったビニール袋である。冷静をよそおいささっともらって場内へ。座ってからゆっくり見てみると「マロニー」と書いてある。思い出すのは“マロニーちゃん”と言う中村玉緒の声だ。しかし、何故これがこの感動期待作に用意されたのか?さっぱり分かりません。

 見捨てられない少年の名前がマロニーだったんですよ。
 う~ん、作品のイメージと違い過ぎるが、反対に担当者の苦労がしのばれて…やっぱり笑っちゃいました。



Ⅳ 今月のつぶやき



●「スパルタカス」はカーク・ダグラスが製作・主演した作品で監督はスタンリー・キューブリックの感動作だが、脚本がダルトン・トランボだったんだと改めて思わせてくれた「トランボ」だ。
「栄光への脱出」のオットー・プレミンジャー監督も面白いが、何よりもエディス・ホッパーの右翼ぶり、いじわるぶりが目立っていた。「ヘイル・シーザー!」ではティルダ・スウィントンが変則双子パターン、別名で演じていたが、今回はヘレン・ミレンがそのままエディスを演じている。エドワード・G・ロビンソンがぎりぎりで裏切らざるを得なかったことなど、赤狩りがいかに多くの人間の良心を殺していったかを再認識させてくれた。

●記憶力が極端に悪い、すぐ忘れてしまう主人公の「ファインディング・ドリー」は高齢者にはあまりにリアルすぎて怖い作品だ。こんなにいい加減な作品を子供用に作っていいのか?とディズニーのポリシーに疑問を持ってしまう。

●予告編を見ると、あれ?あのしっぽは長く太くないかという印象をもった「シン・ゴジラ」はラストでそのしっぽには…となるのだった。続編が作られるんでしょうねえ。

●「冬の小鳥」も自身の実体験から生まれたというウニー・ルコント監督、今回の「めぐりあう日」も自身の経験からと言われているが、それにしては母・娘の再会があまりにできすぎていて、本当に?という感想だ。

 

●ジュディ・ガーランドとジーン・ケリーという二人のミュージカルスターの実力を改めて思い知らせてくれる「サマー・ストック」、1950の作品だが、単純にミュージカルを楽しめる。「ザッツ・エンターテインメント」で、ガーランドの踊りだけが紹介されていたが、作品全体が見ることができ良かった。

●ダン・ラザーを演じる「ニュースの真相」、ビル・ブライソンを演じる「ロング・トレイル」とロバート・レッドフォードの主演作が2本続いた。往年の美男俳優も1936年8月18日生まれで80才になった。相応の美貌に落ち着いたが、実年齢より少し下の役を演じて主演というのが凄い。

●漫画の原作の限界があらわなのが「秘密 The Top Secret」、映画ではあまりに絵空事設定に思えてしまう。

●日本でもジャズと尺八とかの伝統楽器との共演はあった。ジャズは一面何でもありだから受け入れやすい音楽形態だ。そのジャズにパキスタンの伝統音楽奏者が挑むのが「ソング・オブ・ラホール」。彼らをまとめたのがロンドンで成功したパキスタン人実業家イッザト・マジード、父の影響でジャズを好きになった彼がスタジオを作り場を作る。「テイク・ファイブ」を演奏して動画サイトに投稿、世界から注目を浴びる。そしてついにニューヨーク・リンカーンセンターでのウィンストン・マルサリスの楽団との共演に至る。その総てを追ったドキュメンタリーは楽しめました。

●1999年といえば17年前、20世紀の末に近いが、デンマークを舞台にした「ブリーダー」が描いていたのは正にオタクの世界だったので驚いた。007カジノ・ロワイヤルにも出演し今やデンマークを代表するマッツ・ミケルセンが、演じるのはビデオ店の店員、そこの店長(?)などと暴力映画を見ているオタクだ。その情けなさを含め完璧なオタクになっているミケルセンに感心。

●84の初作自体がこれは何?と驚くくらいの緩さがあって、現代によみがえった新作「ゴーストバスターズ」には心配が多かった、しかも男女が逆になるという一面安易なつくりだというから。前作からアイヴァン・ライトマン(監督)が製作に加わり、ビル・マレー、ダン・エイクロイド、シガニー・ウィーバーがゲスト参加で、心配したよりは随分楽しめた。いい加減パワーは生き残っていた。 

●先月号に紹介した「カリコレ」、その1本が見られなかったというのが内容だが、その作品「マン・アップ」をついに見た。「カリコレ」は一旦8/19に終了したが、好評の数本がアンコール上映されていて、8/21に見ることができた。期待に違わぬ傑作というと大げさだが、思った以上に面白く嘘のない映画だった。


 

 

 

 

 

 



今月のトピックス:アメリカの底力  



Ⅰ アメリカの底力 

 


 トランプがアメリカの大統領になることはあるのか?もし彼が大統領になり、今言っていることを本当に実施したらと考えると、あまりにひどいことになると考える人が多いのでは?政治が人気取りだけで行われれば、最終的に道を誤る可能性は多い。人気は一時のものであり、先を見通したものになることが少ないからだ。

 

 それにしても、少し前であればトランプが大統領候補になることはなかっただろう。あんなに多くの民族が暮らしているアメリカで、差別的発言がよくできたものだ。それだけ人々の間の何らかの感情を捕まえたのだろう。それがヘイトスピーチに象徴されるような感情的なものだけであれば、大いに心配だ。


 アメリカ映画でそれまでの作風とは大いに違うと感じられたのは、1989年に作られた「バットマン」だろうか。バットマンのマイケル・キートンに対するジョーカー役のジャック・ニコルソンの存在が大きな印象を残し、正常に対する異常という対立がくっきり描かれた。従来アメコミからの映画化は少なく、スーパーマンだけが細々と作られていた。正義の味方はそれらしく、常に大きく正しく悪をやっつけるという映画だった。

 

 それが「バットマン」では悪役の方が華々しく、バットマンのあまりに普通な姿が、対比的に主役と悪訳が逆転したような印象があった。この作品以降多くのアメコミ原作映画が作られてきた。2005年には「バットマン ビギンズ」が作られ、「ダークナイト」三部作の初作として「ダークナイト」「ダークナイト・ライジング」に続いていく。このころになると、バットマンの印象は随分変わり、正悪が単純には判断できない状況になってきた。

 

 「ダークナイト」の文字通り“暗さ”は大きな影響をアメリカ映画に与えた。基準の不明確化という現象でもあった。

 

 そんな時に出てきたトランプ現象はアメリカは大丈夫だろうかと思わせる。今月公開されたアメリカ映画にはさすがにアメリカと思わせてくれる作品が3本あった。

 

 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」「ニュースの真相」「栄光のランナー ベルリン1936」である。いずれも、本来アメリカが持っていた公平、平等という理念がくっきり描かれる。真実はどうかと思い起こさせてくれる。

 

 アメリカも間違いを多く犯してきた。
しかしアメリカにはまだそれを訂正する力が残っている。間違いをいつか直していくことができていると思わせてくれる。この3本の原題は「Trumbo」「Truth」「Race」と簡潔、すっきり感もいいです。

 

 

 

 

Ⅱ ピット

 

 「白い帽子の女」という作品が9/24に封切りされる。
予告編の頭に出てくるのは“ブラッド・ピットXアンジェリーナ・ジョリー・ピット 10年ぶりの共演“という文字である。

 

 彼女はピットになったのか。
この作品「アンブロークン」に続く彼女の監督作品で、白い帽子の女を演じてもいる。

 

 

Ⅲ カリコレ

 

 先月号で紹介したカリコレは8/19に終了したが、好評の数作品については現在アンコール上映が行われているのは、上の「マン・アップ!」で書いた通りだ。先月と合わせて公開された60本の内見たものは次の5本。「ロック・ザ・カスバ!」「プロヴァンスの休日」「ブリーダー」「ダーティ・コップ」「マン・アップ!」いずれも楽しめる、見る価値のある作品だった、見られなかった、見逃した作品もある。

 

 3年目にして、今年の人気は高かったのではないかと思われる。存在自体が3年目にして認識されだし、希少価値として追っかけられたとか、作品選定がシビアになり、良い作品が揃ったとか、後年“カルト的人気”となる作品の先物買いを目指す人が多かったとか、などの理由が考えられる。

    

 実はこうした特集上映は他の映画館でも行われている。通常では見られなかった作品が見られるので嬉しいことには違いない。ビデオ、DVDが発達した現代では日本未公開作品もそれらで見ることはできる。しかし、やはり映画館で見る感触は違う。

 

 

  

  

Ⅳ ディズニーのジャングル

 

 かつてディズニーは自然を題材にしたドキュメンタリーを作っていた。一番有名なのは「砂漠は生きている」だろうか?しかし、ある時、作品に流れるまるで人間の生活、感情のようなところに、事前に方向性が決められ、それに沿っての作品製作ではないかという声が上がり、いつの間にか製作されないようになったと記憶する。 

 

 CGが今までにもまして精巧に作られるようになった現在、ジャングルブックの実写作品を作ることは技術的には十分可能だ。それを証明するように作られたのが今回の作品。

 

 しかし私にはかなり気持ちの悪い作品になった。人間の感情・生き方を基準にした上での物語があまりに濃厚だったのだ。キプリングの原作を読んでいないので分からないが、多分原作通りなのだろう。

 

 それであれば、現代にこんな作品を作る意味はあったのか?
最近のディズニーには多少の驕りがあるのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

今月はここまでです。
仲秋の名月を経て次回は9/25、
伊勢湾台風の1日前にお送りします。



                         - 神谷二三夫 -


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