2019年 10月号back

雲が徐々に高くなり青い空がすっきりの秋空、
気持ちのいい広い空の下、
外でたっぷり楽しんだ後は、
快適空間の中で楽しむのは、そう、映画館!

 

 

 

今月の映画

 

8/26~9/25のワールドカップラグビー開始を含む31日間に出会った作品は45本、音が全くないサイレント映画から7時間18分の超長編まで、様々な映画を楽しみました。



<日本映画>

火口のふたり 
引っ越し大名 
タロウのバカ 
台風家族 
記憶にございません 
人間失格 太宰治と3人の女たち 
アイネクライネナハトムジーク

 

華麗なる追跡(旧) 
女の花道(旧) 
日本鬼子リーベンクイズ(旧) 
月はどっちに出ている(旧)

<市川雷蔵祭>
陸軍中野学校(旧) 
沓掛時次郎(旧) 
女と三悪人(旧) 
剣(旧) 
弁天小僧(旧) 
切られ与三郎(旧)

 

 

<外国映画>

ホット・サマー・ナイツ
  (Hot Summer Nights) 
ジョアン・ジルベルトを探して
  (Where Are You, Joao Gilberto?) 
永遠に僕のもの
  (El Angel / The Angel) 
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
  (Once Upon a Time in Hollywood) 
やっぱり契約破棄していいですか?
  (Dead in a Week(or Your Money Back) 
ガーンジー島の読書会の秘密
  (The Guernsey Literary and Potato Peel Society) 
ディリリとパリの時間旅行
  (Dilili a Paris / Dilili in Paris) 
カーライル ニューヨークが愛したホテル
  (Always at The Carlyle) 
ドッグマン
  (Dogman)
ラスト・ムービースター
  (The Last Movie Star) 
SHADOW影武者
  (影 / Shadow) 
荒野の誓い
  (Hostiles) 
ヒンディー・ミディアム
  (Hindi Medium) 
フリーソロ
  (Free Solo) 
アス
  (Us) 
プライベート・ウォー
  (A Private War) 
僕のワンダフル・ジャーニー
  (A Dog’s Journey) 
帰れない二人
  ( Ash is Purest White) 
今さら言えない小さな秘密
  (Raoul Taburin) 
サタンタンゴ
  (Satantango / Satan’s Tango) 
アルツハイマーと僕~グレン・キャンベル音楽の奇跡~
  (Glen Campbell: I’ll Be Me) 
帰ってきたムッソリーニ
  (Sono Tornato / I’m Back) 
アド・アストラ
  (Ad Astra) 

 

<名脚本家から名監督へ>
幽霊と未亡人(旧)
  (The Ghost and Mrs. Muir) 
パームビーチ・ストーリー(旧)
  (The Palm Beach Story)

<素晴らしきサイレント映画>
グリード(旧)
  (Greed) 
イントレランス(旧)
  (Intolerance) 
国民の創生(旧)

  (The Birth of a Nation)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

① プライベート・ウォー
ロンドンのサンデー・タイムズで働くメリー・コルヴィンという女性戦場記者、2001~12年の彼女の活躍を映画化。スリランカで銃撃戦に巻き込まれ左目の視力を失い、それ以来の黒い眼帯がトレードマークとなった。そのジャーナリスト魂は尋常ではない。「カルテルランド」「ラッカは静かに虐殺されている」を作ってきたマシュー・ハイネマン監督は同様に迫力ある画面を見せてくれる。必見です。コルヴィンは2012年シリアで亡くなった。

 

②-1 荒野の誓い
ニューメキシコの居留地からシャイアン族の長とその家族をコロラドを通り、モンタナ州まで送り届ける話は、西部劇でよく見られる荒野を動いていく話を踏襲している。送り届ける役目を受けた騎兵隊の大尉と、コマンチ族に襲われ夫や子供たちを亡くした女性も加わり、波乱含みの旅は続く。1892年の物語。久しぶりに西部劇を堪能した。

 

②-2 サタンタンゴ
生きるという事は物事の周辺にも様々なことが存在することを知っていくことだ、映画はその一部しか切り取らないと思わせるタル・ベーラの新作は、7時間18分の長さでも150カットしかないと宣伝もされているが、通常映さない前後を長々と映して感心させたり、あきれさせたりするのだった。

 

②-3 アド・アストラ
再び宇宙競争が始まるような最近だが、映画は父が海王星で生存している可能性を知らされた主人公が月、火星の基地を経由して海王星を目指すSF。SF的な描写も素晴らしいが、父と子という関係から、SFにしては非常に個人的な内面を見せてくれる映画だ。いつでも冷静であるという主人公が、大きく興奮するのは…。ブラッド・ピットは製作にもかんでいる。ドナルド・サザーランドも出演。

 

③-1 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
タランティーノ監督9作目は1969年のハリウッドを舞台に、彼の映画に対する饒舌が爆発する。彼の作り出した主人公たちが、シャロン・テートやサム・ワナメーカー監督などと画面で共演するのは勿論フィクションだが、あの当時のハリウッドや、話題になる映画の細部が描かれる。

 

③-2 ガーンジー島の読書会の秘密
ガーンジー島は英仏海峡にあり、ジャージー島の少し北に位置する。地理的にはフランスの方が近いが、共にイギリス王室属領という事らしい。映画は戦争直後1946年のロンドンに住む女性を主人公に、ガーンジーの人々との交流を描く。監督はマイク・ニューエル、「フォー・ウェディング」が有名だ。人間を信じていて、見てうれしくなる恋愛劇でもある。

 

 

 

 

芸術の秋、新作も充実しています。映画館で楽しみましょう。(終わったものもあり)。


火口のふたり:脚本家荒井晴彦の監督3作目は、かなり激しいセックス描写もあるが、なんだか70年代のとんがった映画の激しさを思い出させて懐かしい感じでもあった。平日の一回目に行ったのだが、高齢者で結構混んでいたのには驚いた。

 

ジョアン・ジルベルトを探して:ジルベルトはボサノバ開祖の一人だが、変わった人だったらしい。彼に魅せられたドイツ人作家が会うため訪ねた時のことを書いた本を基に、その足跡を追うフランス人監督の作品。二人とも会えないままジルベルトは今年亡くなった。

 

永遠に僕のもの:天使のような顔をした男子高校生が、平然と言うより体が反応して殺人にまで至る。日本題名から想定される性的なものは主人公についてはそれほどでもない。

 

ドッグマン:なかなか見ることができないイタリア映画の新作。監督マッテオ・ガローネは2008年の「ゴモラ」が有名だ。今回は南部イタリアを舞台に、気弱い男が徐々に暴力に目覚める様子を描く。

 

ラスト・ムービースター:バート・レイノルズといえば豪快な男のイメージだ。この映画の主人公も同様のイメージで活躍してきたスター、ヴィック・エドワーズ、勿論これはバート・レイノルズそのもの。彼の若い頃の映画に今のヴィック・エドワーズ(つまりレイノルズ)が入り込んでくる映画。この映画を引き受けたバート・レイノルズは偉い。

 

SHADOW影武者:チャン・イーモウの新作はまるでコンピューターのように統一された美で見せる。殆ど白黒画面かと思う沈んだ色調、徹底的に突き進むアクション、息苦しくなるほどだ。残念なのは共感できる人物がいないことか。

 

タロウのバカ:年齢がはっきりせず学校にも行っていないタロウと、2人の高校生の結びつきの不自然さとかのおかしな点をも上回る熱さのある映画。大森立嗣監督の熱さだ。

 

フリーソロ:ロープや器具など一切使わず自分の肉体だけでロッククライミングするフリーソロ。有名なクライマー、アレックス・オノルドがヨセミテの断崖絶壁エル・キャピタンを登頂する様を追った、今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を獲得した作品。

 

記憶にございません:例によっての三谷幸喜喜劇は今回、首相が主役だ。演説中に投げられたものに当たって記憶喪失に。総て忘れてしまうと、何故かその前と違い善良で公正な首相になるあたりが、いってみれば彼の言いたかったことだろうか?それにしてもこれは現政権に対する不満の軽い息抜きにしかならないあたりがちょっと不満。

 

帰れない二人:この20年くらいの中国を描いてきたジャ・ジャンクー監督(1970年生まれ)の新作は、2001年の山西省・大同での渡世人カップルから始まる。字幕では渡世人とされていたが、いってみればやくざ、その後の17年で離れたり出会ったりする二人を描く。ジャンク―監督の集大成的佳作。

 

人間失格 太宰治と3人の女たち:太宰治といえば常に使われる右下を見つめる憂いに満ちた彼の写真が思い出される。しかし、妻と2人の愛人がいた太宰はとてもそんな存在ではないのでは?と言っている蜷川実花の映画は例によって派手である。

 

アイネクライネナハトムジーク:「愛がなんだ」に続く今泉力哉監督の新作は、伊坂幸太郎原作による人生・恋愛劇。悪くはないが今一つかと思う前半の後、10年後に物語は飛ぶ。こうして物語が熟成する。元々伊坂が斉藤和義から作詞のオファーを受け、発展して書かれた原作、映画音楽を手掛けたのは斉藤で、主題歌「小さな夜」も書き下ろしている。

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>
没後50年特別企画として<市川雷蔵祭>が特集上映されている。惹句は“ただ愛に生きる、美しい男がいた―”というもの。40本が上映されているが、6本だけを見た。その中では2本の伊藤大輔監督作品が面白かった。「弁天小僧」と「切られ与三郎」である。共に歌舞伎の題材を映画化したものだが、いかにも雷蔵に似合った題材であり、映画の中にも歌舞伎の舞台そのものやそれらしきものを取り入れての映画作りだ。伊藤監督の分かりやすくテンポの良い映画を楽しんだ。

 

 

<外国映画>
映画史に残る名画を集めた<素晴らしきサイレント映画>、今一つサイレント映画は好きとは言えないので3本しか見なかった。内2本は音が全くない完全サイレント版だった。
イントレランス」等のサイレント映画を見ていると、物語の進行は字幕によってすすめられ、その後画面で後追い説明をするパターンが多い。画面はその場の分かりやすいものが選ばれ、これって言ってみれば歌舞伎の見せ場的だなあと感じた。

 

 

 

Ⅲ 今月の懐かしい人

 

☆チェヴィー・チェイス
ラスト・ムービースター」でバート・レイノルズ扮するヴィック・エドワーズと毎日なのか毎週なのかロサンゼルスで昔話に興ずる相手として登場したのは、1970年代後半から80年後半にかけて活躍したチェヴィー・チェイス。「ファール・プレイ」や「サボテン・ブラザース」などでコメディアンとしての本領を発揮していた。
結構あの頃のイメージをキープしている。現在75歳。レイノルズとのバカ話がかなりいい感じだった。

 

 

 

Ⅳ 今月のトークショー


9/21 アルツハイマーと僕~グレン・キャンベル音楽の奇跡~ 新宿シネマカリテ
    萩原健太、能地裕子 
最近1960~80年くらいに活躍したミュージシャンについてのドキュメンタリーが多く公開されている。彼らの多くが70歳を超え高齢者となってきたこと、更に彼らを聞いていた世代もそろそろ高齢者になり懐かしむようになったからとも言えようか。
グレン・キャンベルは日本で思う以上にアメリカでは大きな存在だ。60年初めからスタジオミュージシャンとして働き始め、60年後半からはソロ活動、67年~は「恋はフェニックス」「ウィチタラインマン」などのヒット曲を出す。その彼についての映画は、2011年にアルツハイマーになったことを公表した彼が病と闘いながら行なったアメリカ全土を回るコンサートツアーを追ったもの。ミュージシャンになっている娘や息子と一緒の演奏をしながら、150回以上のコンサートを行ったものだ。
今回のトークショーは二人の音楽ライターで行われた。カントリーとポップスの中間にある彼の音楽は、カテゴリーに分けたがる日本ではアメリカほど人気にならなかったこと、改めて聞くと彼の声、ヴォーカルが素晴らしいことが話された。
映画を見ているとアルツハイマーがどんどん進行していき、コンサートが無事に行われるのかと見ているこちらも心配になる。キャンベルは演奏が始まると間違えることなく演奏し、歌う。プロンプターに“ここから長いソロ演奏”とあれば、長いソロに突入する。指が自然に動いていく。
映画は2014年に作られた。グレン・キャンベルは2017年8月、81歳で亡くなった。

 

 

9/21 月はどっちに出ている 新宿K’sシネマ 崔洋一監督、李鳳宇製作者
1993年のこの作品が急に再上映されたのは、最新号のキネマ旬報で1990年代日本映画のNo.1となったからだろう。映画館のスケジュールをチェックしていてトークショーがあることを知った。チラシがあった訳でもなく、急な上映会だった。
再見して、この映画はその後に作られた「GO」「血と骨」「パッチギ」など在日コリアン映画の端緒となる作品だったなと改めて思い知らされた。
“今日は身内の法事のような”と観客席を見ながらの李さんの言葉から始まった。あまり客は入っていない上、身内が多いという事らしい。梁石日の小説「タクシー狂想曲」から作られたこの作品、映画題名「月はどっちに出ている」はタクシー運転手の“私はどこにいますか”という配車係への問いに対し答えられた台詞から来ている。トークによれば、李さんは「キムチ・ライダー」にしようと言っていたという。それにしても、この奇妙な傑作は在日コリアンの生活をきっちり描いている。

 

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●志穂美悦子の映画を初めて見た「華麗なる追跡」は、監督鈴木則文の趣味によるものかどうか、結構えぐいものだったが、志穂美の身体の動きはさすがに美しかった。

 

●ドライブインシアターで「ターミネーター2」を見ている「ホット・サマー・ナイト」は1991年の夏の出来事を描いている。なんだか久しぶりにドライブインシアターを見た気がする。衰退したと聞いていたが、あの当時はまだあったんだ。

 

●脚本がカギを握りその面白さを見せてくれる「パームビーチ・ストーリー」(1942年)を見ていて、主人公夫婦がトムとジェリーであることに気が付いた。トムとジェリーといえば猫とネズミのアニメーションを思い出すが、それ以前に同じ名前の人間主人公の漫画映画が1932年に何本かつくられていたらしく、そこから取られたのかもしれないなあと想像した。

 

●2000年に作られ2001年に公開されていた「日本鬼子リーベンクイズ」は、1931~45年の中国戦線に出征した皇軍兵士14人の証言を記録したものである。その当時すでに80歳以上の方々なので、現在では得られない貴重な証言となる。最近の歴史修正主義者の方々は多くのことを無かったことなどにしたいようだが、それに対する回答がここにある。あったことはフェイクニュースとは呼べない。

 

●インドにもお受験があったのかと驚いた「ヒンディー・ミディアム」は有名小学校入学を目指し、両親があたふたし、最後には貧民用の枠を取るため引っ越しまでしてしまうお話。しかも最後は普通の公立校に行くあたりがインドの変わりつつあることを教えてくれる。

 

●草彅剛がらしくない役柄を演じたという事で話題になった「台風家族」には新井浩文も出演しているのだが、ポスターは仕方がないとしても映画の最後に流れる配役表にも名前がないというのはどうなんだろうか?

 

●美川憲一も46歳まで自転車に乗れなかったと告白していたが、「今さら言えない小さな秘密」はこのことを描いたゆったりした作品。主人公タブランは更に自転車修理の天才として村民に尊敬されているという立場だ。南仏の緩やかな空気の中での心温まる話。

 

 



今月のトピックス:今年初めてのアラカルト


Ⅰ スバル座


1946年12月31日に開館した丸の内スバル座は“本邦初のロードショー劇場”といわれた。1953年9月6日に火災焼失、1966年4月27日に有楽町スバル座として再開館している。そのスバル座が10月20日をもって閉館することになった。といっても、3月には発表されていたので急なお知らせという訳ではない。
初めてのロードショー劇場という名前とともに、「イージー・ライダー」が封切られたことでも有名だが、共に田舎にいた頃に情報として知っていただけだ。
現在最後のロードショー作品として「みとりし」が10月4日まで上映されている。その後、10/05~20の2週間に「スバル座の輝き~メモリアル上映~」として、劇場ゆかりの49作品が日替わり、回替わりで一回ずつ上映される。興味のある方はスバル座のサイトで作品をご確認ください。

https://subaru-kougyou.jp/movies/#389 

に今後の予定作品として掲載されています。
これをチェックしていて、9/27~10/4の夜一回のみ、今月のトークショーで取り上げた「アルツハイマーと僕~グレン・キャンベル音楽の奇跡~」が上映されることを知った。これもよろしければどうぞ。

 

 

 

Ⅱ 樹木希林


昨年9月15日に樹木希林は亡くなった。その後に封切りされた映画は「日日是好日」「エリカ38」「命みじかし、恋せよ乙女」である。「命みじかし…」の宣伝文句は“樹木希林、遺作にして世界デビュー作”というもので、遺作とばかり思っていたのだが、来月にはもう一本が公開される。10月4日封切りの「“樹木希林”を生きる」である。
この作品はドキュメンタリーで、さらに昨年放映されたNHKの番組を基に映画に作り替えられたものだ。昨年没後にはTVで多くの特集番組が放映されたと思うが、その中で1年間密着取材したもので、かなり充実した作品という印象があった。題名もそのままだ。
だから、遺作が「命みじかし…」であることは間違いがない。

 

出版界でも樹木希林は大ブームになっている。こちらで没後初めに出版されたのは「一切なりゆき 樹木希林のことば」(文春文庫)である。彼女の言葉を色々なところから集めたもので、2018年12月20日に出版された。現在150万部突破の大ヒットになっている。
この後出版されたものは次の通り。
「樹木希林 120の遺言~死ぬときぐらい好きにさせてよ~」(宝島社)
「いつも心に樹木希林~ひとりの役者の咲きざま、死にざま~」 (キネマ旬報ムック)
「心底惚れた-樹木希林の異性懇談」(中央公論社)
「樹木希林 ある日の遺言 食べるのも日常 死ぬのも日常 (DVDブック)」(小学館)
「9月1日 母からのバトン」(ポプラ社)
「この世を生き切る醍醐味」(朝日新書)
「老いの重荷は神の賜物」(集英社)
死後、彼女の生き方がこれほど脚光を浴びるとは!

 

 

 

Ⅲ 鼻息

 

7時間18分の「サタンタンゴ」が始まった時、初めに映される牛が何頭も出てくる初めの場面を見ていたら、隣の人がひそひそ声で話しかけてきた。“鼻息を止めてください。口呼吸をしてください”というのだ。何頭もの牛が自然に出てきて、しかも複数の牛が交尾するという不思議な場面に、交尾というよりは何頭もが自然にしていることに感心して息が荒くなっていたのだろうか?それほど大きな音を立てていたとは思っていなかったが、大きな期待で見に来た隣の人にとっては針一本が落ちた音でもうるさいと感じるのかもしれないなと、無言でOKとした。
それにしても口呼吸にしてというのには、色々な疑問が沸いた。口にすれば音がしないなんてことはないだろうし、口が乾くだろうから水分を取りたくなって音がするとか。最終的に口呼吸はしなかったのだが、音を立てないように気を付けた。
長い映画、反対の隣に座った女性は何度も菓子袋を開ける音をさせた。そのうち、空腹感を感じる時間になり、お腹が鳴らないかが心配になってきた。すると口呼吸の男性のお腹の音が…。何か言うべきだろうか?

 

3日後、雷蔵祭の「切られ与三郎」を見に行った。何せ高齢者に人気の雷蔵で平均年齢は随分高かった。階段を映画館のスタッフに手を取られながらゆっくり降りる人や、時間に少し遅れてくる人も多かった。隣の席にも少し遅れて高齢の男性が座った。しばらくすると、隣から鼻呼吸の音が聞こえてきた。しかもずっと続いていてなかなか静かにならない。言うべきだろうか“口呼吸を”と?我慢してしまった。

 

 

 

Ⅳ ロザムンド・パイク


2014年に公開された「ゴーン・ガール」でブレイクしたロザムンド・パイクはロンドン生まれ、オックスフォード大学卒業の秀才にして今年40歳。「ゴーン・ガール」ではアカデミー賞は逃したものの各地の映画批評協会の主演女優賞を多く受賞した。それ以降の作品数が多くなって、ここになって日本に押し寄せてきている。
今年日本で公開された、あるいはこれから公開予定の彼女の出演作は次の通りだ。
「ナチス第三の男」(1月25日公開済)
「荒野の誓い」(9月6日公開済)
「プライベート・ウォー」(9月13日公開済)
「エンテベ空港の7日間」(10月4日公開予定)
「The Informer 三秒間の死角」(11月29日公開予定)

1年間に5本の出演作が公開されることになる。特にこの秋は作品が集中していて、秋のロザムンド・パイク祭り!が行われている。JTB旅行券15万円分が当たるクイズあり、

詳しくは次の公式サイトをどうぞ。

 

 http://pc-ent.jp/entry/tj67ew4z0

 

 

 

今月はここまで。
次号は秋真盛り(?)の10月25日にお送りします。

 


                         - 神谷二三夫 -


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