2005年 4月号back

 先回、前売り券はいつでもOKと書いたのですが、やられました。今月一押しの「サイドウェイ」、今は少し拡大公開になりましたが、3/5の封切りは六本木のヴァージンシネマだけ。前売り券は劇場でしか、ということは封切り前までしか売られませんでした。前売り券買うために六本木までは出かけないよ、フツーは。


 気を取り直して、安く見る方法の続きです。

 

 コイン商(安売りチケット屋)をのぞきましょう。JRや商品券以外に映画の券も扱っている店が多いです。1300円の前売り券が1250円や、1290などで売られています。コイン商は店によって価格が違います。今やいたるところにお店はありますが、10店くらいが集まったニュー新橋ビルで見ても、価格も特徴も違います。売っている種類は少ないのに時に800,1000,1200円くらいで売る店、試写会の券(安いのは2名で500円)をかなりそろえて売る店などです。入荷する時期も店によってまちまちです。ここでの狙いは大量動員をかけた前売り券。券を押し付けられた関連企業や団体から安く流れるようです。最近では「北の零年」を800円でゲットです。みゆき座最後の作品「プリティ・プリンセス2」は1000円で売っていました。コイン商によっては定価販売(1300円)のところもあります。或いは1290円定価で安売りしないところもあります、気をつけましょう。怪しげな店のほうが安いものが出る可能性があります。

 

 究極の安いは”ただ”の試写会でしょうか。いろんなところで試写会の誘いがあります。無職になった昨4月以来、朝日新聞木曜夕刊のマリオンに載る試写会には総て応募、毎週3~5通くらい出しました。9月まではそれでも月に1本くらいは当たりましたが、この半年は全く音沙汰なし。その間に買った年末ジャンボは一応3000円は当たりましたので、宝くじより当たらないのが試写会かと実感しております。何せ東京、関東は人が多い。(名古屋で学生時代、結構当たりました。むか~しです。)さらに、最近はインターネットで応募でき簡単です。ただのためには、それに見合うエネルギーと忍耐が必要ですね。

 

 

 3月のお勧めに行きましょう。

 

 「サイドウェイ」はアメリカのダメ男の代表、ポール・ジアマッティがいや~、凄いです。「人生の半分を過ぎても俺は何も成し遂げていない」と独白、総て悪い結果になりますが、最後ささやかに救われます。ウディ・アレンの神経症的ダメ男(あまりにユダヤ的)ではない、肉体のあるダメ男、背中の演技は情感にあふれてます。最近の中国系アメリカ人の注目株、サンドラ・オーも快調。この人、この映画の監督アレクサンダー・ペインの奥さんだそうですが、つい最近離婚したとか。この映画、ワイン好きの方には特にお勧めです。

オウムの事件から10年、衝撃的事件はきちんと理解、総括されたのか否か。上九一色村のサティアンに機動隊が突入するとき、毒ガス探知のために使われたのがカナリア。映画「カナリア」はこの10年間に変化した日本の今を見せています。カナリアのように弱いものは時代の空気に反応し、死にかけているのかもしれません。

 

 世界にブームを巻き起こした「アメリ」は見ましたか?あの監督(ジャン=ピエール・ジュネ)と女優(オドレイ・トトゥ)が、再び組んだ「ロング・エンゲージメント」はセピア色の戦争の中に、アメリ的奇妙さ、可愛さが詰まった佳作です。一瞬一瞬を小さな運命に賭ける主人公マチルド、このヒロインが実は身体障害者、この監督らしいです。原作はセバスチャン・ジャプリゾ、昔マルレーヌ・ジョベールが可愛かった「雨の訪問者」も彼の脚本です。ジャン=ピエール・ジュネはなぜか「エイリアン4」の監督でもありますが、本来は小型映画が向いていると思います。ただ、この「ロング・エンゲージメント」を見ると、戦場の描写の素晴らしさに驚きます。

 

 春休みとあって大型映画も何本か公開中。「アビエイター」(3/26公開)、「ブリジット・ジョーンズの日記2」(公開中)は、未見ですのでなんともいえませんが、「ナショナル・トレジャー」は結構お勧めです。人物のゆるいところが上手く出てます。

 

 さて、先日丸の内ルーブルに「シャーク・テイル」を見に行ったら、「ブリジット・ジョーンズ」のポスターが貼ってありました。日劇1で公開中です。
丸の内ルーブルは、東急と東映が共同経営する映画館、日劇は敵である東宝の映画館です。
 配給会社が無理に貼らせた、ルーブルが東宝に買収されたなど頭に浮かびましたがすっきりしません。売店のお兄さんに聞いたら、「隣同士ということでお互いに貼っているんです」とのこと。そうか、映画界も変わってきたんだとえらく感心してしまいました。その昔5社協定なんてものがあって、自分の会社のスターは他社の映画に出てはいけないなんてのが、つい40年前頃までありましたからね。こうして世の中は進んでいくのでしょうね。


                         - 神谷二三夫 -


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