見せよう会通信

映画はいつも今が一番おもしろい!
今月のお勧めベスト!
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すべて神谷二三夫が独自の視点で
書いているものであります
皆様が映画を楽しまれる時の
ご参考にしてください

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2025年1月号  決算報告

 

 

急に寒くなって、そのまま冬になるかと思ったが、
今年の天候は思い通りにならない。
明日12/26は最高気温が15℃とか。
思い通りにならない展開、
それを楽しむのも、そう、映画館で。



 

11/26~12/25のクリスマスに至る30日間に出会った作品は42本、邦/洋画は20/22と邦画の割合がいつもより高く、半々に近い数字になった。
日本映画の新作、旧作共に本数が多くなったためだ。
新/旧は34/8となった。


 

 

  今月のベストスリー

 


① 雨の中の慾情

つげ義春の同名短編漫画に触発され、片山慎三が脚本・監督をした作品。雷鳴とどろく雨の中、トタン屋根のバス停から始まる濡れ場で見る者を引き付ける。この映画は濡れ場という表現がふさわしい。いかにもつげの世界だ。乾いたセックスではない。題名から、こうした状況が続くのかと思っていると、後半は違う方向に進んでいく。戦争の悲劇が絡んでくるのだ。片山慎三監督は、「岬の兄妹」で長編デビューしている。2019年だから5年前になる。今作までに数作発表しているが、今作は衝撃的だったデビュー作を上回っている傑作だ。今回改めてWikipediaで調べたら、韓国のポン・ジュノ作品の助監督をしたことがあることが分かった。ポン・ジュノといえば数々の名作(「殺人の追憶」から「パラサイト 半地下の家族」まで)を作り、来年にはハリウッドでの最新作「ミッキー17」が公開される巨匠。ジュノが東京で撮影することがあり、片山はその手伝いとして参加、ジュノ監督の姿勢に感銘を受け、「母なる証明」にノーギャラで良いからと頼み込み助監督として参加したという。

 

正体

染井為人の同名原作を元に藤井道人と小寺和久が共同で脚本を書き、藤井が監督した作品。殺人犯として死刑判決を受けた主人公が、脱走し顔面を変えつつ5人の人物として生活し、逃げ続けるのは…という物語が強力。主演は来年の大河ドラマに主演する横浜流星、脇にも多くの有名俳優が出演している。

 

③-1 どうすればよかったか?

姉の激しい声がなにも映されていない黒いスクリーンから聞こえてくる。医学部に進学した姉がある日突然叫び始めた。統合失調症が疑われたが、医師で研究者の両親は姉を精神科から遠ざけた、まるで隠すかのように。その姉の記録を残しておきたいと、弟である監督藤野知明は帰省する都度カメラを向けた。20年に渡る記録を映画にしたのは、姉が亡くなったため。90歳を超えた父に承諾を取り、どうすればよかったか?という気持ちのまま映画にしたという。今月のトークショー参照。

 

③-2 キノ・ライカ 小さな町の映画館

アキ・カウリスマキ監督が自分の住んでいる街、フィンランドのカルッキラに映画館を作った。キノ・ライカと自分の犬の名前を付けたとか。街に恩返しをしたいと、今は使われなくなった鋳物工場をカウリスマキと仲間たちが自分たちで工事作業を行ったという。こうしたことすべてを教えてくれたドキュメンタリー。監督はパリ在住クロアチア出身のアーティスト、ヴェリコ・ヴィダク、家族でカルッキラに1年間滞在し、作業を手伝いながらドキュメンタリーを作った。



 

 

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