2005年 7月号back


 前回有楽町の映画館分類をお送りしました。6/4 丸の内ルーブルに「ホステージ」の初日を見に行ったところ、なんと本日から全席指定制に変わりましたとのこと。チケット窓口がすぐ隣の丸の内プラゼールは松竹系で、暫くまえから全席指定制でしたから、対抗上急いだものでしょう。ちなみにこの映画館を共同で経営する東映と東急系のそれぞれの劇場ではまだ指定制ではありません。(ルーブルが指定制になった第1回目(正確には2回目、1回目は自由席)の指定券を持ってますが、これって価値でますかねえ?)

 

 ということで、指定制はますます加速していきそうですが、指定されることで一つだけ困るのは隣の人々を選べないこと。もちろん昔から選べないわけですが、そっと席を変わるのは可能でした。日本人の気づかいは劇場の係員が席を選ぶときにも現れており、「お隣に人がいらっしゃいますがよろしいですか?」とよく聞かれます。一足先に指定制だった韓国では、何も言わないで席をもらうと、がらがらの劇場の中にひとところに固まって(くっついて)人がいることもたびたびとか。その点、日本の劇場では空いている時には基本的に隣に人を座らせません。

 そのようにマニュアル化されている風土といえましょう。

 

 高齢化がますます進む日本、最近の映画館で目立つのも団塊より上の高齢者です。「戦国自衛隊1549」を見た平日の昼間、その時間にしては60%位の入りでなかなかのヒット。その時間帯だからか背広の男性も多かったのですが、私の隣も背広の65歳くらいの男性でした。この人、映画が気に入ったのか時間の半分以上は前に乗り出して見ていました。この姿勢は後ろの人にとっては悲劇です、頭がかなり高くなりますから。この年代の人は昔混みあった映画館で、人の頭の間からスクリーンを眺めていたはず。その癖が抜けないのでしょうか?後ろの人にはお構いなし。

 

 「Shall we danse?」を見た時、隣は品の良い70歳くらいの母とその娘らしい二人連れ。凄く映画に惹かれているようで、徐々に声が出てきます。”あらー、あのひと・・・・”とか”まあ、かわいい”とか・・・そう、ほとんど茶の間でTVを見ている感覚。楽しんでいることが内から出てきて、ストップしにくいほど。

 

 「シャーク・テイル」を見ていた時、隣は60歳くらいのおじさんと一回り以上は若い女性の怪しい二人連れ。始まって暫くは何の問題もなく快適に、ベジタリアンの鮫の話が進みました。気が付くと、その女性が前に乗り出すだけではなく背をピンと伸ばし興奮しつつ話しています。何なんだここは、キャバレーか?と言いたくなる雰囲気。時々は”静かにしてください”と注意する私ですが、土建屋風のおじさんが怖くてできませんでした・・・情けな。

 

 ということで、映画全盛期に観客だった年齢の人々も、そしてもちろん本格的に映画の訓練を受けていない若い人々も、映画館で見るマナーを知らない人が結構います。気をつけましょう。

 「パンのようにおいしいイタリア人」という本を読んでいたら、イタリアでは”スクリーンの俳優たちに向かってコメントや冗談を大きな声で言う人も珍しくない”と書かれていて、日本人のイタリア人化かと感心しましたが・・・

 

 

 

 6月から映画美学校に通い始め、木曜の夜と6月は土曜日の午後が学生です。

 少し本数が減りましたが、5/26-6/25に見た16本のベストスリーは次の通り。

 

① ミリオンダラー・ベイビー
 公開から1ヶ月、ある程度ヒットしたのでまだやっています。早く見に行ってください。傑作です。今年のベスト1は決まりです。ボクシングが嫌いな私でも見入ってしまいました。

 

② ホステージ
 きっちりエンターテインメントしていて、一瞬も気を抜けません。無駄なく、スカッとした出来上がり。娯楽映画はこうありたい。交渉人真下正義は最低でも犯人は出せよな。

 

③ リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
 昨年のアカデミー賞男(ミスティック・リバー)、ショーン・ペンは本当に上手い。昔から上手いといわれてましたが、この作品のダメ男ぶりは彼の細かい演技につきます。ロマンス物には向かない(確かに)といわれた「ザ・インタープリター」でも、渋い男をそれなりに上手く演じてました。ハンフリー・ボガートみたいになって来ました。

 

 来週の水曜日に封切られる映画があります。封切りは土曜日のはずなのに。
全世界一斉の「宇宙戦争」です。アメリカの封切日に合わせている訳ですが、アメリカの封切日は毎週いつとは決まっていないようですね。今度勉強してみよう。


                         - 神谷二三夫 -


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