今年も残すところ1ヶ月あまりとなりました。師走に入ればそろそろ1年を振り返りたい症候群が始まるので、その前に1年を振り返ろう、なんて思いはありません。年間ベストテンを含めて、それは来月号のお話。
今年も11月最終金曜日26日からお正月興行の本命、「ハリー・ポッター 炎のゴブレット」が始まります。
この後、12/3からはMr.&Mrs.スミス、12/10からはSAYURI、12/17からはキング・コング、男たちの大和などを中心に、お正月興行の戦いが始まります。お正月休みに映画を見てもらおうと映画配給会社が自慢の映画を公開します。
時には、早く開けすぎて、或いはあまりの不人気で、お正月が迎えられる(1/1まで続映される)かという作品もありますが、一年で一番作品がバラエティに富む時期であることは確かです。
ということで、今回は映画公開の年間スケジュールについてです。
お正月興行は、この12月と1月の2~3週目を中心に封切られる”新春第2弾”の1月が勝負、大作のヒット/はずれ具合では第2弾の時期が大きく変わります。第2弾はちょっと変わった作品も多く大作に飽きた頃にはうってつけです。雑煮、おせちだけでは飽きてしまうというもの。
日本における2大お休みはお正月とお盆、お正月興行と並ぶのが夏(休み)興行です。夏興行は第1弾が7月の前半、2弾が7月末~8月頭というところ。今年で言えば、本命のスター・ウォーズが7/9から、亡国のイージスが7/30封切りでした。宇宙戦争は全世界同時で6/29の水曜日でした。夏興行はもちろん夏休み目当て子供向き作品も多数登場します。大作の多さもお正月を上回ります、何せ期間が長いので。
今年の2月から毎週公開される本数を記録していました。正確には、朝日新聞金曜夕刊に広告を載せた映画の本数です。
第1週 第2週 第3週 第4週 第5週 月計
2月 8 8 3 3 22 正月2弾の残り
3月 5 6 6 6 23
4月 4 5 9 7 4 29 GWに向けて
5月 6 9 5 6 26
6月 13 4 4 7 28
7月 5 11 9 6 5 36 夏興行本番
8月 5 4 5 9 23 夏枯れ
9月 5 5 9 5 24
10月 8 7 4 9 9 37 秋興行
11月 9 8 8 5 30 残品整理
1週平均は6.5本です。平均を超えて本数の多い月は6,7,10,11月となります。10,11月の本数の多さに注目してください。芸術の秋の言葉通り、この時期芸術的な、言い換えれば小粒な作品がわんさか公開されるのです。正月興行前の残品一掃大セールとも言いますが。前回、臨時増刊号が出たのもこの本数の故です。
では、残品整理の10/26-11/25で見た21作品です。
世界
不滅の男
スクラップ・ヘブン
8月のクリスマス
ドア・イン・ザ・フロア
この胸いっぱいの愛を
ブラザーズ・グリム
灯台守の恋
ALWAYS三丁目の夕日
ランド・オブ・プレンティ
エイザベス・タウン
ダーク・ウォーター
イン・ハー・シューズ
ペッピーノの百歩
カーテンコール
親切なクムジャさん
TAKESHI'S
春の雪
ミリオンズ
青い棘
NOEL
① 灯台守の恋
久しぶりにフランス映画の秀作です。
② 親切なクムジャさん
濃い情念をスタイリッシュに描く韓国映画。パク・チャヌク監督は「オールドボーイ」に続いて見るものを翻弄する。骨太な話、くっきりした人物像の切ない復讐談。赤いアイシャドウーには気をつけよう。
③ ALWAYS三丁目の夕日
流行の昭和の街並み商店街のちょっとばかりの嘘臭さが、いつの間にか気にならなくなる三丁目世界。なんと言っても鈴木自動車の社長の怒鳴るのが懐かしい。昭和33年、貧しさは日常だった。
三島由紀夫の世界を描いた「春の雪」、画面の深い美しさは特筆モノ。撮影監督は台湾のリー・ピンビン、今までの行定監督(GO,せかちゅー・・・)とは違う世界を作りました。