2006年 8月号back

掲載順序(大げさ!)を少し変えました。
見ていただきたい映画を先に!!


 

今月のベスト3

6/26-7/25の間に観た16本は次の通り。

STAY
親密すぎるうちあけ話 
カサノバ 
真昼ノ星空
バッシング 
M:i:Ⅲ、 
ローズ・イン・タイドランド 
チーズとうじ虫
ゆれる
カーズ 
日本沈没 
レイヤーケーキ 
胡同のひまわり
幸せのポートレート 
トランスアメリカ 
美しい人

 

 

① ゆれる
 ありがちな設定の兄弟の話、真面目な兄とチャラチャラしたカメラマンの弟、その間にある心の動きが繊細に描かれる。映画の描き方にセンスあり。


② 真昼ノ星空
 センスといえばこちらの方が上かも、特に画面の美しさは。畑の中にあるプール、夜のコインランドリー、言葉にされない感情が風景の中に描かれる。沖縄のゆっくり流れる時間の中のふたり。


③ 胡同のひまわり
 主人公が生まれ生きてきた1967~2000年、中国は大きな変化を遂げてきた。文革からの変化も激しい。自分の生きる道を国によって閉ざされた父親、一人っ子


次の2本もお勧め。


レイヤーケーキは英国労働者階級犯罪物語がテンポ良い。
トランスアメリカは自分になっていく過程が真剣。

 

先月、今月と日本映画が元気。韓国映画に負けないほど充実。新しい才能も多く見られるようになってきた。ヒット作も結構生まれてきた。楽しみです。


 

 

 

今月のトピックス:情報の取り方

 

 思い起こせば、多分60年中頃に創刊された「平凡パンチ」が情報文化の始まりだったんだろう。その後男性誌としては「ポパイ」が創刊される。外面的なかっこよさを求めて、さらに生き方、生活の仕方まで従来の理念的接近ではなく、具体的マニュアル接近誌だった。70年に入ってすぐの女性誌「アンアン」はその情報を持って京都、高山、パリまでを歩く”アンノン族”を生み出した。

 

 団塊世代にとっては高校、大学時代にこれらの雑誌が創刊され、それまで無かった新しい情報を、まるで浴びるように体に心に取り入れた。行ったことのないパリなのに、そこにはpariscopeという雑誌があって、パリで上映される全映画(演劇も含めて)の情報が載っていると知っていたのも情報誌で誰かが書いているのを読んだからだ。

 

 72年10月には「ぴあ」が創刊される。情報を無思想的に順番に並べる、そのことが新しさを感じさせてくれた。凄く律儀に事を進めるところのある日本人、総てをもれなく網羅するぴあ的情報誌がどんどん勢力を増していった。

 

 隔週誌から週刊誌になったぴあに対し、「コンサートガイド」から変身した「シティロード」は月刊誌だった。月刊というペースが合っていたのか、ぴあの真面目さに対しそのゆるさが合っていたのか、私はどちらかというとシティロード派だった。月刊誌ゆえにか、コラムが充実していたのも大きい。

 

 情報を追うにはエネルギーがいる。90年頃に廃刊となったシティロードとともにというか、40歳になっていた年齢からか、いつか情報を追うことをしなくなった。自分の範囲が分かってきたというか、無駄な情報を追うエネルギーがなくなったというか。

 

 情報の中心がインターネットに移りだしたのは、10年前頃だろうか。決定的に優位になったのは2000年問題が騒がれた頃からだろう。中心になりつつあったから騒がれたともいえる。その後の加速度はご存知の通り。80年中ごろに創刊され一時は旅行業界にも大きな力を持った「エイビーロード」も今年で廃刊が決まった。基本的に情報選択がインターネットで行われることを物語る
象徴的な出来事かもしれない。

 

 情報は追えば追うほど奥が深く、幅が広くなる。自分の付き合う範囲を決めていないと、情報地獄に陥りかねない。世界に無限にある情報が手に入りやすくなった反面、自分という主体のあり方がいかに大事かが思い知らされる。

 

 映画に関し、私はごく初歩的なことしかしていない。基本的には映画館、新聞、雑誌から情報を得ている。映画館での予告編と、新聞の広告と、時々読むキネマ旬報。いまや映画の情報は巷に溢れている。情報を求めることより、映画を見ることに徹していたい。
 シティロード亡き後、私の映画上映情報源は朝日新聞土曜日朝刊の映画・演劇案内欄になった。各映画館が上映時間を載せている広告ですね。38x17cmくらいの大きさを切り抜き、前売券袋(これも必携です)に入れて持ち歩く。コンパクトで便利です、お試しあれ。





                         - 神谷二三夫 -


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