正月第2弾がたくさん登場する1月中旬~2月は、
当たり作品を狙ういい時期です。
今のところ、当たりは少な目ではありますが・・・
12/26~1/25、年末年始を挟んだ1ヶ月間に出会えた20本は次の通り。
鉄コン筋クリート
大奥
パプリカ
酒井家のしあわせ
悪夢探偵
愛の流刑地
それでもぼくはやってない
エラゴン
ダーウィンの悪魔
ヘンダーソン夫人の贈り物
オープンシーズン
リトル・ミス・サンシャイン
みえない雲
オーロラ
愛されるためにここにいる
ラッキーナンバー7、
シャーロットのおくりもの
ディパーテッド
恋人たちの失われた革命、
マリー・アントワネット
①それでもぼくはやってない
日本の裁判、その周辺(警察、検察、司法)を含めて、問題を分かりやすくしっかり説明、笑いも交えて。痴漢という問題のサイズが下手をすると見る人に誤解させかねないが、周防監督の問題意識ははっきりしている。
②ヘンダーソン夫人の贈り物
最近予告編を見た「クイーン」(GW頃公開)はダイアナ妃事件頃のエリザベス女王が主人公らしいが、そうした映画を作る姿勢が何をしても社会はびくともしないというような自信、強さを感じさせる。イギリス社会の懐の深さといおうか、無鉄砲といおうか。ヘンダーソン夫人の懐も充分に深い。イギリスミュージカルの心地良さの原点を見ているような楽しさ。
③愛されるためにここにいる
出会いはダンス教室、といえば周防監督の「シャル・ウィ・ダンス」と同じ。いやぁ、実に初々しい大人のラブストーリー。さすがにフランス、恋愛に大人も子供もないことを教えてくれる。
次もオススメ:
鉄コン筋クリート:アニメで描く内面の世界。
リトル・ミス・サンシャイン:いろんな人がいてアメリカらしい佳作
①マリー・アントワネットでマリア・テレジアを演じていたのは、マリアンヌ・フェイスフル。もちろん、「あの胸にもう一度」の。
②シャーロットのおくりもので医者を演じていたのは、ボー・ブリッジス。「ある戦慄」の。
2006年のアメリカにおける興行ベストテンは次のようになったようだ。
1.パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト
2.カーズ
3.X-MEN ファイナル・ディシジョン
4.ダ・ヴィンチコード
5.スーパーマン・リターンズ
6.アイス・エイジ2
7.ハッピー・フィート(日本では2007.3月公開予定)
8.森のリトル・ギャング
9.007/カジノ・ロワイヤル
10.Talladega Nights: The Ballad of Ricky Bobby(日本未公開)
ジョニー・デップ人気はアメリカでも強いらしく、パイレーツはカーズの2倍近くを稼いでいてダントツのトップ。
それにしても、このベストテンには4本ものアニメがランクインしている。2、6、7、8位の作品群だ。アメリカ国内での興行成績で、4本のアニメがランクインしたのは初めてだろう。何故こんなことになったのか?
アメリカのアニメはいくつかの特徴がある。
1.主人公が人間以外のものが多い。---最近では人間の主人公がいない。
2.基本的にコメディ路線。--笑いのない作品もある日本アニメと比べてみよう。
3.基本的に子供向けに作られている。---大人も結構楽しめるが。
2、3の特徴からハリウッドアニメの狙いとする客層は子供を中心としたファミリー層ということになる。趣味が多様化する現代、アメリカでも大量集客はなかなか厳しい。派手な大作を作るのには製作費の高騰が痛い。興行は水物、大作製作は大きな博打になる。大作が滑って、かつてのハリウッドメジャーが倒れ(かけ)た事など枚挙に暇がない。そんななか、製作費の予算が立てやすく、その後の変更がなく、ファミリー層という安定層を狙いコンスタントな興行収入を挙げやすいアニメは、今や安定商品なのである。
映画会社の資本がかつての映画興行タイクーン(大君)から、効率を重視する金融関係出身者に徐々に占められるようになり、この安定性を求めるようになって来た。商売としては当然かもしれない。アニメなら主役が病気になることもないのだから。(ハリウッドの)アニメなら芸術至上主義になることは殆どないのだから。
ハリウッドアニメが人間以外を主人公にしていることは、先月の朝日新聞の記事でCGで人間を描くのが難しいためと書かれていた。確かにどんなにリアルに描いても人間の表情を本物に見せるのは難しい。今やディズニーさえCG(コンピューターグラフィックス)になってしまったハリウッド、つまりアメリカのアニメはほぼ100%がCGで作られていることになる。
しかし、動物や車や怪物など人間以外を主人公にしてきたのは、いろんな物語を寓話のように描いて大人世界のリアルさを和らげるためではないか?
親が子供に語って聞かせるようなものにするためではないか?1928年生まれのミッキー・マウスという動物アニメの伝統があるとはいえ、これほど人間以外ばかりが描かれるようになったのは誰にでも受け入れられやすいからではないか?
深読みすれば、人種の坩堝アメリカで誰にもアピールするには人間以外を主人公にするしかないとも。この傾向はファミリー狙いのハリウッドアニメの世界では当分続く気がする。
シュレックという、子供には辛口に過ぎるアニメも登場しているとはいえ、ハリウッドアニメは基本的に子供の世界である。ハリウッドアニメの健全さと限界がここにある。ディズニーがミッキーマウスを生み出した昔から、漫画は親子連れで見に行くという伝統から抜け出してはいない。反対に言えば、親が見てもある程度は楽しめる品質を心がけている。日本の子供向け作品のあり方と比べてみると、違いははっきりする。ドラえもんやピカチュウを見に行く大人は殆どいない。日本アニメは子供用、少年少女用、大人用に結構はっきり分かれている。
日本アニメの話はまた別の機会に・・・。
ディズニー、ピクサー、ドリームワークス、ブルースカイ(FOX)に加え、ソニー(コロンビア)まで作り始めたハリウッドアニメ。
決して嫌いではありませんが、主人公の車(カーズ)に感情移入できない場合もあるわけで・・・
・・・楽しさに溢れたミュージカルっぽいものを期待しています。