ただいま梅雨の真最中、
雨の日はもちろん映画館で。
5/26~6/25に出会えた映画は19本、ジョン・ランボー、インディ・ジョーンズと二人のおじさんが帰ってきました。
僕の彼女はサイボーグ
丘を越えて
休暇
ザ・マジック・アワー
築地魚河岸三代目
ぐるりのこと
マンデラの名もなき看守
ランボー最後の戦場
ナルニア国物語第2章カスピアン王子の角笛
ハンティング・パーティ
シューテム・アップ
ラスベガスをぶっつぶせ
オーケストラの向こう側
モンテーニュ通りのカフェ
インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国
イースタン・プロミス
アウェイ・フロム・ハー 君を想う
リボルバー
ぼくの大切なともだち
① イースタン・プロミス
ロンドンの陰鬱な空気の中で、ロシアンマフィアが跋扈する異世界。厳しい現実がハードに繰り広げられる中で、一つの希望は新しい命。デイヴィッド・クローネンバーグの最高傑作。
② ハンティング・パーティ
今問題なのはメディアとしてのTVが自分たちのシナリオに沿って、現実を捻じ曲げようとすること。実際TVの番組では先に書かれた筋書きに沿って、
カメラが回されてしまう、現実を隠しながら。バンテージポイントといい、この作品といいそんなTVの姿が垣間見える。
③-1 ぐるりのこと
なんだか等身大の日本映画、描くべきところはきっちり、はっきりの心地良さ。リリー・フランキーの演技も驚くほどぴったり、ちょっと脱力の、生きる力を与えてくれる作品。
③-2 インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国
いや~、カレン・アレンが出てくるとは思わなかった。インディ・ジョーンズがうまいのは、時代設定ですね。古くならない、すでに古いから。
次点:オーケストラの向こう側
オーケストラで演奏できることの幸せ、音楽に奉仕できることの喜び、芸術の在り方を考えさせてくれる。
次もお勧め
*マンデラの名もなき看守:そうだったんですねえ、感心しました。1994年までアパルトヘイト。
*ラスベガスをぶっつぶせ:いかにもアメリカ的なストーリー展開。
*モンテーニュ通りのカフェ:なんだか幸せになる映画、アズナブールのシャンソンも楽しい。
*アウェイ・フロム・ハー 君を想う:認知症の現実と、家族の関係が結構シビアに。
*築地魚河岸三代目:松竹の力の入れ方が痛いほど、これからシリーズ化…がんばれ、悪くない。
*ぼくの大切なともだち:モンテーニュ通りのカフェ同様、なんだか幸せになるフランス映画。
①ジェームズ・ブローリン
ハンティング・パーティで初老のニュースキャスターを演じていたのは、「面影」(1976)でクラーク・ゲーブルを演じていたジェームズ・ブローリン、彼は現バーブラ・ストライサンドの旦那でもあります。
②マイケル・マーフィ & オリンピア・デュカキス
アウェイ・フロム・ハー君を想うで認知症の夫オーブリーを演じていたのはマイケル・マーフィー。かつて、ロバート・アルトマン監督作品の常連、「BIRD★SHIT」の探偵などいかにも典型的アメリカ人。オーブリーの妻を演じていたのはオリンピア・デュカキス、「月の輝く夜に」でシェールの叔父さんの妻を演じて、ジェールの主演賞ともどもアカデミーの助演賞を受けた人。
しばらく前から流れていたインディ・ジョーンズの予告編、ロシアというよりソ連の怖い女性が出てくる。この、おかっぱ頭の青い目の巻き舌ロシア英語の女優は誰?とずっと思っていた。
むかし、007ロシアより愛をこめてのロッテ・レーニアと同じくらい、怖い強いソ連女。
スピルバーグ監督が”ボブ・ディランにもソ連の悪役にもなれる、カメレオンのように変幻自在な世界のトップ女優”と評しているケイト・ブランシェット。役の幅広さは尋常ではない、ボブ・ディランにさえなってしまうのだから。
うまい女優だなと思ったのは「耳に残るは君の歌声」、主人公クリスティーナ・リッチと友達になるパリのロシア人ダンサー。蓮っ葉なのか、まじめなのかの中間地点で、生きるのに必死のロシア人を演じていた。
役になりきり、力強さを感じさせる演技、若さいっぱいのヘブンから、権力いっぱいのエリザベス・ゴールデンエイジまで、違和感なく演じてしまう女優。現在最高のスター女優の一人に間違いはない。
キャサリン・ヘップバーンを演じてアカデミー助演賞を得たとはいえ、見ている私は少しばかり恥ずかしかったが、たぶん彼女はそんな変なこだわりなど気にもしていなかったと思われる大きさ。いや~、頼もしい女優です。
5/26、シドニー・ポラック監督が亡くなった。享年73歳。我々団塊世代には忘れられない監督のひとり。かつてニューシネマと呼ばれたアメリカ映画の新しい波の時代、「イージー・ライダー」や「俺たちに明日はない」が公開された頃、「ひとりぼっちの青春」を監督した。
そのころ時代・社会に鋭く切り込んだニューヨーク派と一面似たタッチながら実は完全ハリウッド派であることは、4年後に監督したロマンス「追憶」ではっきりしていた。
驚くのはその後も「ザ・ヤクザ」(高倉健主演)「トッツィ」、アカデミー賞の「愛と悲しみの果て」など長くヒット作を量産するとともに、「トッツィ」のエージェント役をはじめ、自作・他作の作品に俳優としても出演しさらに製作だけの作品も多いこと。
これほどマルチプルに活躍した映画人も珍しい。最近もジョージ・クルーニー主演の「フィクサー」では、法律事務所の実力者を演じると共に製作も行っていた。監督、出演、製作作品のどれをとっても、娯楽性と社会性を上手く共存させたものが多い。
日本で一番最近公開された「モンテーニュ通りのカフェ」は、純然フランス映画で彼はアメリカ人監督の役で出演のみ。この作品を見に行ったのは彼の死を知り、お別れのため。作品自体も良かった。
長い間、楽しめる映画作りを続けてきたシドニー・ポラック、ご冥福をお祈りします。
橋本忍といえば、「砂の器」の脚本家だけれど、もともと黒澤作品の脚本家の一人として、「羅生門」、「生きる」、「七人の侍」など、幾多の傑作を生み出した人。”複眼の映像”は2年前に出版されていて、その当時買ったのだが読まずに来てしまった。読んでみて驚いた。
黒澤作品の時代とともに変化した状況をこれほど的確に描いたものは初めてではないか。脚本を大事(映画製作にとっては当然ではあるが)にし、脚本を書き進むに複数の脚本家で練り上げていく黒澤方式。この方式の中における変遷、事前の練り上げに多くの時間を費やした「七人の侍」までと、いきなり書き上げていくそのあとの作品群、さらに「乱」「影武者」の秘密と、終わり間際の「夢」などの作品の在り方。
数多く出ている黒澤論の中で、黒澤作品の評価でこれほどうなずけるものはないと、個人的に思う。
6/7ユナイテッドシネマ豊洲で「シューテムアップ」を見た時のこと。この映画、何しろ宣伝では2万5千発を撃ちまくるというクレイジーな作品。しかし、本編の前に見た予告編がすごかった。
1本目:アイアンマン…ガンダム型ロボットを着た若手経営者がそのパワーを発揮する。
2本目:ハンコック…ウィル・スミスが空まで飛ぶスーパー人間。
3本目:インクレディブル・ハルク…若い科学者が誤って浴びた薬でスーパーパワーに。
いずれも、人とは違う圧倒的な力を軸とした作品。なんだか、イラクの泥沼からどうにも這いだせないアメリカのいら立ちが、スーパーパワーを求める方向にばかり行っているようで、怖い。
目黒で働き始めて約3か月、気になることがあった。通勤で必ず通る駅斜めの交差点の角に建つビルの10階、大蔵映画とある。あの大蔵映画ですよね、エロ映画で有名な、かつて新東宝の社長だった大蔵貢さんの会社。同じビルの地階には目黒シネマがある。ここは昔で云う2番館、洋画のロードショー落ち2本立ての映画館。
ネットで調べてみると、やはりあの大蔵映画でした。10階は目黒本社で総務・経理とあり、銀座に本社があるらしい。やはり目黒シネマも大蔵映画の持ち物らしい。
ということで、目黒シネマを利用したことはなかった私にとって、目黒にも映画に関係するものがあって良かったです、はい。
では、また来月。