30℃越えの真夏日が続きじっとしていても暑いこのごろ、
どうせじっとするのなら、もちろん冷房の利いた映画館で。
6/26~7/25雨の季節に出会えた映画は21本、久しぶりに日本映画が質・量ともに頑張っています。
世界で一番美しい夜
山桜
歩いても歩いても
クライマーズ・ハイ
西の魔女が死んだ
カメレオン
たみおのしあわせ
崖の上のポニョ
ジャージの二人
純喫茶磯辺
1978年冬
奇跡のシンフォニー
ミラクル7
告発のとき
スピードレーサー
庭から昇ったロケット雲
シークレット・サンシャイン
ジュノ
近距離恋愛
ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン
いまここにある風景
①歩いても 歩いても
「誰も知らない」で提示されていた壊れた家族は現代の日本社会を映し出していたが、是枝監督の最新作「歩いても 歩いても」は、ほぼ普通の家族の中にある生活の機微を描いて、現在の日本の家族のより普遍的な姿を見せてくれる。
②クライマーズ・ハイ
横山秀夫のベストセラー小説の映画化、云わずと知れた御巣鷹山のJAL事故の映画である。しかし、事故は背景の素材に過ぎず主題は新聞社の戦場にある。スポーツのように爽快なドキュメンタリータッチ、現在の主人公たちの山登りと並列での描写、原田真人監督の変なこだわりがない初めての傑作か。
③カメレオン
阪本監督の映画は主人公たちが肉体をもって生きている。頭でっかちでない人間。気張らずに素直に見ることができる映画らしい映画。普段着で見ることができる映画。
次もオススメ
*世界で一番美しい夜:天願監督は父親、今村監督のテイストをかなり濃厚に感じさせる。
*崖の上のポニョ:5歳の男の子が主人公のその視線が楽しい宮崎監督の新作。
*ジャージの二人:個人的にはジャージは嫌いですが、そのお気楽感が人生には時々大事。
*純喫茶磯辺:女子高生の姿がこれくらいリアルだとありがたい。
*告発のとき:イラク戦争下のアメリカの明るい狂気が不気味で怖い。
*シークレット・サンシャイン:運命に翻弄されていく女性の情念が描きつくされる。
*ホットファズ:まるでクリスティの静かで平和な村にある狂気のような…喜劇です。
①ブルース・ダーン
「庭から昇ったロケット雲」で自宅でロケットを作ってしまう主人公の義理の父を演じていたのは、ファミリー・プロットなどで狂気の強烈さが売りだったブルース・ダーン。さすがに枯れて人の良いおじいちゃんになっていた。
今や娘のローラ・ダーンの方が有名か。
②ティモシー・ダルトン
ホットファズ」でスーパーの経営者を演じていたのはティモシー・ダルトン、もちろん、かつて007ジェームズ・ボンドを演じていた俳優です。アメリカのサイトを見ていたら「ゲド戦記」の吹き替えをしていたことを知りました。
「たみおのしあわせ」は不思議な映画で、男女を逆にしたようなところもあるが、ラストシーンには驚いた。これって、「卒業」へのオマージュですか?
そんなのあり?「ジャージの二人」の父子の方が、ず~と共感できます。
夏は映画業界最大の稼ぎ時、毎年各社自慢の大作・話題作が公開されます。
今年もこのシーズンに向けて競争は開始されています。19年ぶりのインディ・ジョーンズだって夏の間も上映されるでしょうが、封切り日は6/21なので、今回はちょっとはずして、7月~8月に封切りされる作品群についてみてみましょう。あなたにとっての、“今年の夏の1本”はどれになりそうですか。
①アニメとスーパーヒーローの戦い
スタジオジブリは皆さんご存じ宮崎駿監督の作品を送り出してきたアニメスタジオ。今やジブリ印はほとんど映画界におけるルイ・ヴィトン、いかなる作品であろうともジブリ印であれば人を集めることができる。それくらいの力を持っています。
なにしろ歴代日本映画興行収入(外国映画も含む)の1、2位は「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」なのです。
ということで、今年のジブリは宮崎監督自身の「崖の上のポニョ」(公開中)、これはぶっちぎりの1位になるのではないかという噂です。
毎年夏は子供向けアニメ(ピカチュウとか)も大いに稼ぐのですが、ここでは大人も楽しめる作品ということで、今年は押井守監督の「スカイ・クロラ」(8/2~)とアメリカの「カンフー・パンダ」(7/26~)が公開されます。
アニメの世界ではカリスマ的人気を誇る押井監督の新作と、「シュレック」のドリームワークスアニメの新作、どちらも面白そうです。
これらのアニメを迎え撃つのがスーパーヒーローたちです。
8/1~ 「インクレディブル・ハルク」:アメリカでは結構人気があり何度も映画化されているハルク、しかし日本での人気はいまひとつ。エドワード・ノートンをもってしても苦戦するのではと予想します。
8/9~ 「ダーク・ナイト」:バットマン・ビギンズに続きクリストファー・ノーラン監督によるバットマンの新作。神谷の一押しです。
8/16~ 「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」:インディ・ジョーンズ若者風のハムナプトラシリーズその気楽さは結構好きです。
8/30~ 「ハンコック」:ウィル・スミスの新作は予告編で見る限りとんでもないスーパーマン。スターとしての集客力は現在随一ですね。
②女性ドラマ
見たことがないので噂しか知らないのがTVの「セックス・アンド・ザ・シティ」。その映画版が8/23に公開されます。女性映画が少ない中、先に公開された国々ではそれなりに話題になり集客してもいます。日本でもTV版のファンは多いはず、どこまで彼女たちの心をつかめるかが鍵ですが、成功しそうな予感。
キャメロン・ディアスというなんとなく薄っぺらさが売りのスターの新作が
8/16公開の「ベガスの恋に勝つルール」。いわゆるラブコメの部類ですね。結構難しいジャンルですが、成功するのを祈ってます。
③話題の…、期待の…
7/26~ きみの友だち:人の心を細かく描く廣木隆一監督の新作、重松清原作です。
8/2~ 闇の子供たち:タイを舞台に子供たちの生体移植をテーマにしている、阪本監督の期待作。
8/23~ 12人の怒れる男:シドニー・ルメットの傑作をロシアのニキータ・ミハルコフがリメイクした期待作。
◎神谷の夏興業、大予想 (あくまで予想です…)
○興行収入のベスト5
1.崖の上のポニョ
2.ダークナイト
3.ハンコック
4.カンフーパンダ
5.セックス・アンド・ザ・シティ
○感動ベスト5
1.闇の子供たち
2.12人の怒れる男
3.ダークナイト
4.スカイ・クロラ
5.きみの友だち
A.あと1年
”映画館に行こう”キャンペーンは、一人でも多くの人に映画館に行っていただこうと、見せよう会通信と同じような趣旨に基づいて業界一体となって2004年から続けているもの。
昨年6月には、それまで3年続けてきた夫婦50割引きを恒常サービスとして行うことを決定、団塊世代にはうれしい知らせとなりました。
高校生友情プライスは2年前から始めたキャンペーンで、高校生が3人以上で行けば一人1000円というもの。
このキャンペーンも3年期限でスタートしましたので今年は最後の年。
もし利用者が多ければ夫婦50割引きのように恒常サービスになるかもしれない。先日映画館で”あと1年”と大書したポスターを見た。
なにーとよく見ると、これが高校生友情プライスのもの。
調べてみると、このキャンペーンはあまり成功しなかったので来年6月で終了と決まったとのこと。根本的な問題として、若者が映画館に来ないという実態がある。未来の観客が増えないのだから大きな問題だ。それであれば、高校生は通常の料金を1000円にしてあげればいいのにと思う。今は昔に比べて名画座も少なく、安く映画館で見る機会が少ない。感受性の豊かな頃に多くの刺激を受けるのは大切なことだ。その機会を作ってあげてほしい。
お願いします、映画館に行こうキャンペーン様。
B.シドニー・ポラック
先月取り上げた5/26に亡くなったシドニー・ポラック監督。今月も画面に登場してくれました。「近距離恋愛」の結婚6回目のダメおやじ、これも実に柄にあったキャスティングだった。
調べてみると、製作作品はこの後も2作ほどあるようだけれど、出演作品は「近距離恋愛」が最後。今年に入って「フィクサー」「モンテーニュ通りのカフェ」「近距離恋愛」と3本もの映画でお会いでき良かった。
では、また来月。