せわしない師走がやってきた。
どんなに頑張ってもあと一月、
見られる映画は何本だろう?
10/26~11/25に巡りあえた映画は21本、バラエティに富んだ作品群でしたが、例年の秋に比べると作品が少しさみしいか。
ICHI
ハンサム・スーツ
まぼろしの邪馬台国
ブタのいた教室
桜の園
その日のまえに
七夜待
真木栗ノ穴
ハッピーフライト
その木戸を通って
ブロードウェイ・ブロードウェイ
レッドクリフPART1
リダクテッド
僕は君の蝶になる、
かけひきは恋のはじまり
彼が2度愛したS
ヤング@ハート
BOY A
バンク・ジョブ
ブラインドネス
トロピック・サンダー
①レッドクリフPART1
素直に楽しみました。本編前の三国志の状況説明(日本版だけでしょう
か?)と、本編中にもまるでTVのように登場人物の名前が画面に現われて、複雑な三国志の話も分かりやすく教えてくれた。ジョン・ウー監督に感謝です。
②ブロードウェイ・ブロードウェイ
ミュージカル好きにはこたえられない作品。マイケル・ベネットが作り上げたコーラスラインの再演時のオーディションが、コーラスラインの話、成立過程と絡められて2つのドラマが並行して描かれる。初演のドナ・マケクニーの踊る姿など、貴重なフィルムにも心躍る。
③-1 その木戸を通って
市川崑監督が1993年ハイビジョンでフジTV用に作った作品。しかしフジで放映されることもなく、BSで1度試験放映されただけという。何故そんなことになったのか?これほどの作品がなぜ眠ったままだったのか?ハイビジョンの鮮明な、しかし奥深いカラー撮影、饒舌さを配した語り口、謎を秘めたロマンチシズム。俳優陣も素晴らしく、フランキー堺、岸田今日子、神山繁は懐かしかった。
③-2 リダクテッド
イラク戦争(は終わったが、まだ戦争状態)の姿をこれほどリアルに描いた作品が出てきたことに驚いた。現在まだその状況は続いているのであるから。兵士の手持ちカメラと、フランスのニュース画面と、定点観察画面の織り成す今の姿をまるでドキュメンタリーのように描く。コマーシャルな監督ブライアン・デ・パルマの作品であることに驚く。
次点:その日のまえに
大林宣彦の監督作品はいつもファンタジーの要素があるが、難病の妻との夫婦の会話はなんだか作り物めいた嘘くささ。それが後半に至ると監督の術中にはまる。生きることの勇気をもらえる。
次の作品も楽しめますよ。
*ブタのいた教室:実際に行われた豚飼育教育の映画化、と構えず素直に見ても楽しめる。
*桜の園:中原監督が自作を再映画化、前作ほどの傑作ではないが別の味で楽しめる。
*かけひきは恋のはじまり:ジョージ・クルーニーは30年代のロマンチックコメディを目指し、合っている。
*彼が2度愛したS:ユアン・マクレガーの持つ純朴な味が上手く使われる騙し映画。
*ヤング@ハート:歌うことは生きること、平均年齢80歳の合唱団が歌うロックが楽しめる。
*BOY A:少年Aが大人になって出所して…日本でも同じような事件はあった…その真摯さが胸にくる。
*バンク・ジョブ:今やっと明かせる1971年の事件を題材に…痛快イギリスアクション。
主役ではないのでたくさん出ることができると言えなくもないが、今月の大杉漣は、「まぼろしの邪馬台国」のNHK職員、「ブタのいた教室」のサラリーマン教頭、「桜の園」の名門女子高の足の悪い用務員、予告編でしか見ていないが「GSワンダーランド」と4本に登場した。
一月4本は凄い。調べてみると10月公開の「フライング・ラビッツ」(JAL女子バスケチームの話)にも出ていたらしい。
ホアキン・フェニックスといえば、あのリバー・フェニックス(スタンド・バイ・ミー)の弟で、グラディエーターやサイン、ヴィレッジなどに出ていた演技派の男優。
その彼が引退するという。まだ34歳、これからが期待されていたのだが。報道によれば、彼がカントリー歌手ジョニー・キャッシュを演じた「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」に出た時練習した音楽にはまってしまいミュージシャンを目指すという。あの映画の歌はかなりうまいとは思いましたが、
それにしても驚いた。昔「枢機卿」に出たトム・トライオンが作家になるため引退した時のようだ。トライオンはその後ベストセラー「悪を呼ぶ少年」を発表したが、ホアキンはCDを発表することになるのだろうな。
近藤良平さんといえば、NHKのサラリーマンNEOのサラリーマン体操を指導していた人。「ブタのいた教室」を見ていたら精肉屋の親父役で出演してました。
華やかな、明るい、大型映画がお正月には上映されてきた。馬鹿げたほどの大作とか、大スターわんさの出演作とか、能天気に楽しんでいても間違いのない作品がそろっていたものである、昔は。しかし1年前のお正月作品は渋いものだった。で、2009年のお正月映画ですが、これまた渋々のようなのです。今のところ条件に適合しそうなのは次の通り。
*ウォーリー(12/5~):ディズニーのアニメ、ロボット君のお話です。
*地球が静止する日(12/19~):1951年に公開されたSF作品のリメイク、キアヌ・リーブスが低い声で話す。
*ワールド・オブ・ライズ(12/20~):巨匠リドリー・スコットの新作、ディカプリオとラッセル・クロウの共演。
日本映画では「K-20怪人二十面相・伝」くらいか。
今のところ、現世界の経済状態と同じくらいに寒い状況です。アメリカ映画界で今年続いた脚本家のストライキが影響し、作品不足とも言われています。
昔の基準でいえば、地球が静止する日の一人勝ちか。今年はどちらかというと正月第2弾の方が力があるかも。007慰めの報酬とか、マンマ・ミーアとかね。
ということで、お正月休みに見る作品はあるか心配ですが、来月号では作品を見たうえでご報告しましょう。
11/22にはいつもの土曜日と同じように何本かの作品が封切られた。出かけたのはミニシアターのメッカ、渋谷。時間の組み合わせ(2本見る予定)から、ユーロスペース「俺たちに明日はないッス」の11:00を目指した。着いたのは10:45、ちょっと遅れたかなと心配だったが、席はあるようであった。
1200円で見られるメンバーズカードを出したのだが、”初回は舞台挨拶があり1700円均一です"と言われてしまった。”2回目も1700円です"だと、上映前に挨拶があるらしい。1回目の上映後と、2回目の上映前は連続している訳ですが、2回続けてやるんでしょうね。まさか1回の挨拶を両方のお客様に見せるわけではないよね、定員の倍は入場できないし。それにしても宣伝のために挨拶するはずなのに通常の劇場割引ができないのは何故か?
1700円はユーロスペースの通常料金だが、後でサイトを調べてみると、初日の1、2回は前売券(1400円)もダメとか。何もそこまでして挨拶を聞くこともないやと、予定変更。「BOY A」と「バンク・ジョブ」を見たのである。
どちらも渋いイギリス映画で楽しめた。
1700円で頑張っていて、ラインナップも面白いユーロスペースは応援したい映画館だけにちょっと残念。
では、また来月。