やっと梅雨の蒸し暑さが実感されそうなこのごろ、
快適に過ごせるのは、そう映画館!
至福の2時間を過ごしましょう。
5/26~6/25の間に出会った映画は22本、久しぶりに日本映画の本数が多く外国映画も含め見ごたえのある作品も多く、梅雨空を吹き飛ばす映画館です。
おとなり
ハゲタカ
ディア・ドクター
USB
ウルトラミラクルラブストーリー
ROOKIES-卒業-
嗚呼 満蒙開拓団
守護天使
剣岳 点の記
真夏のオリオン
バンコック・デンジャラス
スタートレック
ラスト・ブラッド
路上のソリスト
お買いもの中毒な私
ターミネーター4
サガン 悲しみよこんにちは
ザ・スピリット
レスラー
愛を読むひと
マン・オン・ワイヤー
アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン
①-1 嗚呼 満蒙開拓団
自ら大連出身の羽田澄子監督が、普通の人の視線で冷静に力強く国家の姿勢を訴えるドキュメンタリー。ここで語られる当時の悲惨な状況に胸震え、こうした状況を語れる人が少なくなりつつある現状に思いを寄せる。学校の歴史の時間は2次大戦から始めてほしい。
①-2 マン・オン・ワイヤー
今月出会ったドキュメンタリーの2本目は、2月のアカデミー賞でドキュメンタリー賞を受賞した。 天才ってすごいことをまるで普通のように行ってしまう。その夢を語る部分と、夢を実現する部分にドキドキです。
②ディア・ドクター (久しぶりに試写会で見ました。6/27封切り)
よくありそうな事柄を描きながら、人の心の奥にある深い部分や人間関係の複雑な部分を細やかな描写であぶり出します。西川監督の手腕は見事の一語。
③-1 レスラー
浪花節のように始まり、人の捨てきれない絆を描いて浪花節をきっちり完結。ミッキー・ロークの復活が作品の内容とダブり、確かにこれは一見の価値がある。
③-2 愛を読むひと
15歳の少年、23歳の大学生、40~50歳の弁護士、主人公マイケルの成長と共にハンナに対する気持ちが変わっていく様を細やかな描写で見つめる佳作。
次点-1 ターミネーター4
きっちりタイトに作られたターミネーター最新作、2003年の死刑囚は人体改造をされて、心を持った機械としてラストへと続く。
次点-2 剣岳 点の記
カメラマンの木村大作監督は山登りの実写にこだわった。言葉ではなく映像で、という気持ちが伝わる。
今月はお勧め作品も一杯です。
*スタートレック:シリーズもの流行りのビギンもの、若さではつらつ。
*おとなり:ちょっとできすぎのストーリーなれど、べた甘ではない。
*路上のソリスト:本当にこんなことがあるアメリカは面白い。
*お買いもの中毒な私:消費大国アメリカを軽く皮肉る快調コメディ。
*守護天使:ちょっとぶりっこですが、結構笑えます。
*サガン 悲しみよこんにちは:ああいう時代、こういう生き方。
①ジョーン・キューザックとジョン・グッドマン
「お買いもの中毒な私」は気軽にみられるコメディ、それにしては脇役がきっちり。ファッション誌の伝説的編集長にクリスティン・スコット・トーマスも出ているが、主人公の両親を演じているのがジョーン・キュ―ザックとジョン・グッドマン。弟のジョン・キューザックと違って最近見ないなあと思っていたジョーン姉さん、ジョン・グッドマンのちとエキセントリックな夫を元気にゆったり受け入れる妻を、たれ目の涙顔で演じています。なんだか、どこまでもいい人、受け入れてくれる人というキャラクターが懐かしい。
②ジェーン・アレクサンダー
ターミネーター4の生き残り人間の一人として登場したのはジェーン・アレクサンダー、デビュー作「ボクサー」ではヒット舞台「The Great White Hope」の主演者二人が出演、ジェームズ・アール・ジョーンズ(ダースベイダーの声ですねの黒人ボクサーと恋に落ちる白人女性を演じていた。その時の印象が強烈で今も白い人のイメージ、表情の少ない顔面と相まって心の中が見えないような、静謐感にみちた演技はターミネーターでも。
ROOKIES-卒業-は残念ながら面白くなかった。あまりに登場人物たちが型にはまっていて面白くない。ひどいのが佐藤隆太が演じる先生だ。熱血教師はどなっていればイイって言うのか?単に演技が下手という単純理由のような気もするが。TVでは人気があったというが、この映画だけでは分からないことが裏に一杯隠されているのだろうか?野球の面白さもないしね。
現実をあるがままにというドキュメンタリー、 しかし、一つの作品として成立するためには製作者の視点が作品にどのように表現されているかが不可欠だ。現実だけの羅列であれば、どこかに設置された定点観測カメラの映像のようなものだ。現実を映すということで、同時性では圧倒的に優位なテレビという媒体でも、現実を同じ角度から映すだけなどということはあり得ない。対象物に近づいたり、引いたり、違う角度から見ることで何らかの送り手の意志を表している。
映画をはじめ、映像という媒体が様々な形で存在する現在、作り手が自由に映像化する方法は大きく広がった。映画にCGが導入されてから、不可能と言える映像は無くなったかと思われるほどだ。ジュラシックパークで恐竜が動き出した時の感動以来、CGを利用して素晴らしい映像を実現した映画は枚挙にいとまがない。ハリウッドのCGいっぱい利用-驚異の映像路線は、最近ではかなり飽きられているのでは。私でさえ、「トランスフォーマー リベンジ」は予告編で十分、本日まで本編を見に行くのを忘れているほどだ。
なんでもできてしまう映像は、リアルになればなるほど作りもの感が感じられるようにもなる。嘘っぽく感じてしまうのだ。最近、こうしたきれいな映像が持つニセモノ感を逃れようと、あえてきちんとしたきれいな画面を避け、
まるで素人がビデオで写したような、ぶれたり、外したアングルの画像を使う映画もある。先月見たジョナサン・デミの「レイチェルの結婚」は監督自身がそう言っているし、今月見た「おとなり」にも一部そんな感覚が。現実感を出すため、いわばドキュメンタリーのような画面を使うのだ。作りものではありませんと表明するために。最近の戦争映画やアクション映画、いやすべての映画のどこかに、ドキュメンタリータッチが見られるようだ。
ドキュメンタリータッチではない、本当のドキュメンタリー作品は現実、事実の取りまとめ方により、メッセージを我々観客に送ってくれる時、劇映画のドラマ以上に我々を感動させてくれる場合がある。今月1位の2本のドキュメンタリーは種類は違うが、極力単純な事実の提示で我々を感動させてくれる。
「嗚呼 満蒙開拓団」はナレーターをも務める羽田監督の一貫した姿勢での画像の提示方が素晴らしい。もちろん伝えるべき内容自体のインパクトも大きかった。
「マン・オン・ワイヤー」は主人公、綱渡りのフィリップ・プティの天才ぶりが、古い画面に映っているその綱渡術が見る者を圧倒する。本当に気楽に動いている、まるで簡単であるかのように。
久しぶりに、すっきり、力強く感動的なドキュメンタリーに出会って、
心が洗われる思い。
一般名詞ではない固有名詞の「バラエティ」はアメリカの芸能情報紙で1905年創刊と100年以上の歴史を誇る。そのバラエティが日本に上陸したのは2007年11月のこと。紙での発行ではなく、サイトを開設して情報を発信していた。
面白い記事が毎日発信され、デイリー・メールマガジンの記事は、見せよう会通信でも利用させてもらった。
5/29(金)のメールマガジンで、このメールが最終であること、サイト自体も6月末で閉鎖されることが突然伝えられた。約1年半で撤退することになったのだ情報を探ってみると、昨年秋以降の世界的不況が影響し、サイトの広告が激減というのが理由らしい。こんなところにも影響を与えていたとは、確かに100年に1度の…なのかもしれない。
記事が読めなくなったのは残念。どんな記事が載っていたかを見たい人は
6/30までに以下のサイトを覗いてください。
http://www.varietyjapan.com/ (*現在サイトは閉鎖されています)
本国版のサイトもあるけれど、英語というのが面倒ですね。
では、また来月。