新しい事の始まる4月、
準備は出来ましたか?
心も新たに映画館へ。
2/26~3/25の28日間に出会った映画は26本、ほとんど毎日の勘定か…。
極端な洋高邦低になりました。
パレード
花のあと
スイートリトルライズ
時をかける少女
ルド&クルシ
しあわせの隠し場所
ニューヨーク,アイラブユー
ハート・ロッカー
バレンタインデー
モリエール恋こそ喜劇
バッド・ルーテナント
コララインとボタンの魔女
プリンセスと魔法のキス
アイガー北壁
シャーロック・ホームズ
噂のモーガン夫妻
フィリップきみを愛している
すべて彼女のために
台北に舞う雪
海の沈黙
シェルター
ダレン・シャン
NINE
マイレージ,マイライフ
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
息もできない
① ハート・ロッカー
イラクで爆弾処理にあたる兵士たち、イスラムという違う社会、全ての人が敵に見えてしまう環境の中での緊張感。アカデミー作品賞は一時も気を抜けない。
② 息もできない
英語題名ブレスレス(韓国映画ですが)は、かつてゴダールの「勝手にしやがれ」がアメリカでリメイクされた時の題名と同じ。突っ走って、走った末に…。何ともハードなチンピラと高校生の関係はドライでウエット。いずれにしろ濃くて熱い韓国の人間・家族関係は必見です。
③ マイレージ、マイライフ
出張年間322日、リストラ宣告人のドラマは、様々な要素(年代、IT、不景気、家族…)を上手く描いて、飽きさせない。主人公たちの丁々発止のやり取り(アメリカ映画!)を楽しもう。
次の作品もお勧めです。
●パレード:今の若い人たちの在りようがヴィヴィッドに描かれる。少し類型的なところもあるが。
●花のあと:藤沢周平原作の映画化は、女性の凛とした生き方を描いて、まさに静かに凛とた映画になった。
●しあわせの隠し場所:サンドラ・ブロックがアカデミー主演女優賞の作品は昨年アメフト新人の実話というのが驚く。
●モリエール恋こそ喜劇:フランスの喜劇作家モリエールのある時期のエピソードをモリエールの喜劇のように。
●アイガー北壁:1936年アイガー北壁初登攀を目指すクライマーたちの実話はその悲劇性が胸を打つ。
★クロリス・リーチマン
「ニューヨーク、アイラブユー」で口うるさい老夫婦の妻を演じていたのは「ラストショー」の寂しげなコーチの妻を演じていたクロリス・リーチマン。
もちろん「ヤング・フランケンシュタイン」で馬の鳴き声がいつも聞こえてくるドイツ婦人(?)も演じていた。メル・ブルックス作品では常連の女優だ。
気の強い役が多いのでも有名で、その彼女が最高に気の強い妻を演じるのが面白い。1926年生まれというから83歳。彼女の夫を演じたのはイーライ・ウォラック、1915年生まれの94歳で出演作は超多数「荒野の七人」が有名だが、常に脇役の人。
★バート・ヤング
「ニューヨーク、アイラブユー」で亡くなった画家の家に来ていた引っ越し屋さんを演じていたのは「ロッキー」シリーズでおなじみのバート・ヤング。
訥々とした語り口、まるで普通の人を普通に演じる男優だ。「ニューヨーク、アイラブユー」ではクリスチーナ・リッチともども、“ほんのちょっとしか出ませんでした賞”でした。
★ソフィア・ローレン
「NINE」で主人公グイドの母親を演じるのはソフィア・ローレン。まあ、努力はすごいのでしょうが、昔とほとんど変わらない。75歳ですよ、今。
もともと、人工的な大きな作り、人間離れしたような容貌ではあったから人工的に手を入れても目立たないのかも。堂々たるイタリアの母親の息子がイタリア人ぽくなかったのが、このミュージカルの最大の欠点か。
3D=アバターといえるほど、アバターが3Dに果たした役割は大きい。世界最高の興行収入を上げ、日本でも150億円に迫る売り上げだ。しかし、アバターの後となるとどんな作品があるのだろうか?高い料金を払っても見る価値がある作品が来るだろうか?
私にとって3度目の3D体験は「コララインとボタンの魔女」となった。まあ面白い作品だった。3度ともユナイテッドシネマ豊洲で見たのだが、今回切符売り場で“3Dメガネはお持ちですか”と初めて聞かれた。“お持ちでしたら100円引きです”というではないの。2回目のアバターの時は聞かれなかった。3Dメガネは映画館によって違うようで、回収している映画館もあると聞くが、ユナイテッドシネマは渡しっぱなしで回収はしていない。
だから自宅には今回のを含め3つのメガネが残ることになった。そうか、100円だったのかこのメガネは。それにしても、早く言ってほしかった。もしユナイテッドシネマで3Dを見る予定の方がいれば、いつでもメガネをお貸しします。
夫婦50割引(定着)や、高校生友情プライス(非定着)などを推進していた業界団体、映画館に行こう実行委員会の新しい動きが2つあった。
① NO MORE 映画泥棒 新CM
映画館では必ず上映される変なカメラ男の踊り。くねくね踊りの最後に“NO MORE 映画泥棒”と出てくる、うるさく、押し付けがましくて、評判が悪かった。そのカメラ男のCMが変わった。批判も多かったのでしょうねえ、良い印象はなかったから。あまりうるさくもなく、まあ、無視できるくらいのものになった。それにしてもこのCMフィルムは映画の本編とくっついて送られてくるそうで、はずすことができない。本当は、映画館にまた来たくなるフィルムにしてほしい。
② 新聞夕刊に4面全面広告
朝日新聞(他の新聞は知りませんが)の金曜日夕刊に、多分、月に1度くらいの割で関東(東京、神奈川、千葉、埼玉)の映画館の上映スケジュールを、4面全面広告で載せている。映画館の地図まで付いているので、情報誌ぴあの新聞版みたいなものだ。
さあ!明日は 映画館に行こう!というのがキャッチフレーズ。
これでどの程度の効果があるか分からない。今や情報誌がネットの情報力に負けて廃刊になる時代。これだけのお金(何千万円?)をかけるのであれば、
未来の観客である若い人たちにアピールする何かを発信してほしい。
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」は封切り当初はなかなか行けず、2/26の封切りから3週間以上経った3/21にやっと見ることができた。封切り1週目の成績は長らく続いたアバターを蹴落として1位、「ハリー・ポッター」の監督(クリス・コロンバス)が描く神話ファンタジーとのキャッチフレーズ、子供が押し掛けても仕方がない状況にあった。ムーブオーバーしてきた映画館は、どちらかといえば芸術作品中心に上映しているところ。あまりうるさくはないかもしれない。
開映5分前に席に着くと、左隣には薄ピンクのコットンパンツの小太りのお兄さんが座っていた。なぜか帽子を冠っている。最後まで冠ったままだった。このお兄さん眠っていていびきをかいている。かなりの音量だ。CM予告編が始まり暗くなっても右隣は通路まで6席が開いたまま。全席指定席の映画館だが、この時間になればいいかなと心配しつつ右に一つずれて座り直した。早く本編開始で誰も来ないことが確認できないかなあと思いつつ。最後の予告編が始まりかけたころ、大家族がやってきた。何せ子供3、大人3である。当然席がない、で、再びいびき男の横に。
本編が始まってもいびきは止まない。この映画結構大音響なのにびくともしない。ほんの時たま起きるようだが、1分後にはすぐいびき。右では子供が飲み物がなくなろうとしているのに音を立てて吸っている。う~む、二重苦。
いびきは前半1時間は続いた。この人、後半だけで映画は分かったのだろうか?
今月の教訓:眠いなら行くな、行くなら寝るなIN映画館
(と言って、眠い映画もある映画館)
今年のアカデミー賞は一般的な予想通りの結果になった。主要6部門には一つも意外なものがないという、予想屋泣かせの結果となった。
作品、監督、主演男・女優、助演男・女優の6部門で、先月の私の予想は主演女優と助演男優を外した。あまりに評判通りの予想をすることは面白くない。
それで、あえてサンドラ・ブロックを外し、クリストフ・ヴァルツをスタンリー・トゥッチに変えたのである。
TV中継の中でもアメリカの評論家が、「ハート・ロッカー」で決まりとか、モニークしかないとか言っていたが、それが一般的に言われていた今年の予想だった。
作品賞に「アバター」を選ぼうかとも思った。
最近何かと元気がないハリウッド(アイディアの枯渇、外国映画のリメイク…)で、多分ハリウッドでしか作れない映画としての「アバター」に作品賞を取ってもらえば、少しは元気がわくのではないかと思ったのだ。実現はしなかったけれどアバターは随分話題になったので良しとしよう。
最近の韓国映画は力強い。
以前の韓流ブームのころのようなイケメンに頼ることなく、作品の力で勝負している。昨年の私的ベスト1「母なる証明」もそうだし、先月の「渇き」や今月の「息もできない」も目を見張らせた。
「渇き」を見たとき、FOCUS FEATURESの映画であったので驚いた。
FOCUS FEATURESはアメリカ資本の制作プロダクション。小粒(大作風と比べれば)だけど見どころのある作品群を作ってきた。21グラム、ブロークバック・マウンテン、バーン・アフター・リーディング、モーターサイクル・ダイアリーズ、プライドと偏見、・・・
そのFOCUS FEATURESが韓国映画に出資しているのだ。ワーナー・ブラザースがいろんな国の映画に出資したり、20世紀フォックスが日本映画を作っている最近ではあるが、大手スタジオが進出するのとは違う意味があるように思える。
FOCUSにはラスト・コーションという中国映画があるが、これは実績のあったアン・リーの監督作品だ。「渇き」のパク・チャヌクも素晴らしい監督であるが、ハリウッドで実績があったわけではない。そんな、ちょっと気になるプロダクションが目を付けるほど、最近の韓国映画は力を持ってきたんだなあと「渇き」を見ながら感心したのだ。
今月はここまで。