ワ―ルドカップが開催中、
サッカー一色で興奮気味の日本、
実は映画もこのところ充実、
興奮状態が続いています!
雨にも負けず出かけましょう、
映画館に!!
5/26~6/25に出会った映画は26本、日本映画が充実していましたが、外国映画もかなり良く、バラエティに富んでいます。
縞の背広の親分衆(古)
馬鹿まるだし(古)
座頭市THE LAST
トロッコ
ヒーローショー
告白
孤高のメス
シーサイドモーテル
ゲンとジュンとカヨちゃんの国
BOX 袴田事件 命とは
OUTRAGE
ボックス
ロストクライム 閃光(試写会)
ローラーガールズ・ダイアリー
マイ・ブラザー
運命のボタン
プリンス・オブ・ペルシャ
コロンブス 永遠の海
クレイジー・ハート
アイアンマン2
ビルマVJ 消された革命
ブライトスター いちばん美しい恋の詩
ダブルミッション
闇の列車 光の旅
ハーツ・アンド・マインズ
ウィンター・ソルジャー
① 告白
湊かなえさんのデビュー小説は、2年前発表当時から話題だった。原作の設定自体が良くできているのだろうが、映画は映像が力を持ち見る者をひきつけてやまない。映画の作り方自体が独自で、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」と1作毎に違うテイストの作品を作り続ける中島哲也監督からは目が離せない。
②-1 闇の列車 光の旅
メキシコの大地を走る列車の屋上に乗りアメリカを目指す人々。ホンジュラスからグアテマラを超え父、叔父とともにやってきた少女とメキシコの組織から追われる身になった青年の、南から北への希望を求めての旅を描いたのはキャリー・ジョージ・フクナガ監督、32歳の日系アメリカ人の長編処女作です。
②-2 孤高のメス
神の手を持つ外科医の話を、彼の手術に付いた看護師の視点からじっくり描いた感動作。どんな職業であれ、その本来あるところを目指す人は美しく孤独だ。世の中、そうではない人がほとんどなのだから。
③-1 クレイジー・ハート
57歳のカントリー歌手、かつての栄光を頼りにドサ周りの日々、女性記者との結びつき、後輩歌手との関係、タレントエージェントとの駆け引き、なじみの飲み屋のオヤジとの絆・・・ジェフ・ブリッジスがアカデミー賞主演男優賞受賞の必見作です。
③-2 BOX 袴田事件 命とは
昭和41年に実際にあった袴田事件を描いて、冤罪という問題を提起する力作。事件はまだ解決していず、主人公は死刑囚として44年も収監されたままだ。
原作者は一審時の裁判官、その心情も丁寧に描かれる。
③-3 ボックス
大阪の高校ボクシング部を舞台に、生まれつき型天才ポクサーと、努力型ボクサー、他校の強力ボクサーとくれば、スポ根ものの王道だが、最終的に深刻にはならずに、明るく終われたのは大阪ゆえかと感じさせるボクシング映画の快作。
別格:ハーツ・アンド・マインド、 ウィンター・ソルジャー:35年以上前の反戦ドキュメンタリー、当然ベトナム戦争についての。
詳しくは Ⅲ今月の反戦映画 をご参照ください。
次の作品もお勧めです。見てください。
●ローラーガールズ・ダイアリー:アメリカのブームは日本にやってきてすぐ去ってしまうものが多いが、ローラーゲームってアメリカではまだ人気なんだろうか?女の子が元気になる映画です。
●マイ・ブラザー:デンマーク映画「ある愛の風景」(スザンネ・ピア監督)のリメイク、ほぼ忠実に作られた作品は、トビー・マクガイア、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ギレンホールのスター(結構渋い)出演でより身近に。
●運命のボタン:結構トリッキーな設定は原作者リチャード・マシルンのもの下手をするとSF的部分が偽物っぽく取られる可能性があるが、至極まともなアメリカ映画。
●座頭市 THE LAST:坂本順治監督、香取慎吾主演の座頭市は、勝新ともたけしとも、ましてや綾瀬とも違う味。座頭市になるまで物語かと誤解しそうな若々しさがある。
●プリンス・オブ・ペルシャ:純ハリウッドのスーパーアクション冒険活劇の楽しさがたっぷり、時にこういう映画を頭からっぽにして楽しみたい。
●トロッコ:亡くなったお父さんの遺骨を持って訪ねた台湾のお祖父さんの家でひと夏を過ごした子供(孫)達、映画には出てこない父の、長男としての祖父との関係が懐かしい。
●ビルマVJ 消された革命:ミャンマーの軍事政権に対し僧侶を中心にデモ等が行われた2007年、大きく揺れる街の情景を隠しカメラで撮り続けたVJ(ビデオ・ジャーナリスト)の記録。
●ブライト・スター いちばんうつくしい恋の詩:イギリスの詩人ジョン・キーツの恋を描くジェーン・カンピオン監督の新作、恋の相手ファニーの視点から描かれるが、その妹トゥーツが子供の無垢な瞳でちょっと怖い。
●ロストクライム 閃光:3億円事件の一つの謎解きを書いた原作小説の映画化。あの当時の社会情勢と会わせ、説得力のある内容です。
★ジュリエット・ルイス
ドリュー・バリモアの初監督作品「ローラーガールズ・ダイアリー」で、
敵チームの悪役アイアン(鉄人)・メイビンを演じていたのはジュリエット・ルイス、マーティン・スコセッシが91年に「恐怖の岬」をリメイクした「ケープ・フィアー」で、主人公弁護士のちょっと反抗的な娘を演じてアカデミー助演女優賞にノミネートされた。癖のある容貌とキャラクターで、有名監督の作品に結構出ていたが最近ご無沙汰。
久しぶりに出たこの作品では、鉄人・メイビンというプロレスでいえば悪役。あれ、このねちっこい、ちょっと寄り目風はどこかで見たぞと思っていたらそうだジュリエット・ルイスだと気がついた。悪役にしてもいい味出してました。
1974年に製作されアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「ハーツ・アンド・マインズ」と1972年に製作された「ウィンター・ソルジャー」が東京都写真美術館ホールで公開されている。副題に、それぞれ「ベトナム戦争の真実」「ベトナム帰還兵の告白」とある通りベトナム戦争を見つめたアメリカ映画である。「ハーツ・アンド・マインズ」がTV放映されたことがあるとはいえ、2作とも劇場での日本初公開となる。
どちらの作品も1975年のベトナム戦争終結前に作られている。
戦争の渦中にある状況を反映してか、社会の売れ動く姿をそのままに揺れ動く画面が混じるドキュメンタリーだ。画面の持つインパクトが大きく、投げ出されている事実の重さに衝撃を受ける。
長い戦争の末に、あの当時アメリカでは全てを明かにしてしまいたいという衝動があったように思う。その真実には驚くことが多い。まさに正直に、赤裸々に語られる言葉や画面は、しかし、21世紀にはいってもイラク戦争で同じような愚行を繰り返しているアメリカを見ていると、どれだけの力も持っていたのだろうと思うし、いや、忘れやすい人間の弱さに思いを馳せることになる。
忘れないためにも、時に見直したい映画だ。
1.ナイン
これはMさんからのメールにあったもの。シネコンの窓口で“ナイン1枚”―“どのナインですか?”このシネコンでは、ミュージカルの「Nine」と、アニメーションの「9」と、SF「第9地区」が上映されていた
・・・。
面白くナインですか?
描いているものは、それぞれ全く違う映画ですが、
どの作品も見ごたえは十分。
2.ボックス
今月はもう一つ同じ題名を持つ3本の作品がありました。高校生のボクシング部を描いた「ボックス」と、実際にあった冤罪事件を扱った「BOX 袴田事件命とは」と、倫理的な問題をついてくる「運命のボタン」です。ボックスとボタンは違うって?もちろんです。
実は「運命のボタン」の原題は「THE BOX」だったのです。もし、この作品に原題通りの日本語題名がつけられていたら、ちょっとややこしかったかも知れません。この3本も、内容は全く違う映画ですが、どの作品も見ごたえは十分です。
クレイジー・ハートは見る価値のある映画です。ちなみに製作者の中に主演者ジェフ・ブリッジス、助演者ロバート・デュヴァルの名前がありました。
1.不思議
クレイジー・ハートで主人公バッド・ブレークのかつての弟子で今や大スターのトミー・スイートを演じていたのはコリン・ファレル。なかなか重要な役でもあるし、歌だって2曲は歌っているのだが、チラシ、ポスター、公式サイトなどにその名前がない。確かに出演時間は短いけど、ここまで冷遇されるのはどうか?アイルランド人らしく歌うのは好きそうで、歌えるからいいやって出演したのだろうか?
2.プンプン
クレイジー・ハートは歌手が主人公で、映画の中でもジェフ・ブリッジスが何曲も歌っている。しかしこれらの歌の歌詞の訳が字幕に出ないのだ。カントリーミュージックだし、主人公の境遇を考えれば内容は大体想像がつくが、それにしても歌手が主人公の映画で歌詞の訳を出さないとは手抜きではないか。
主題歌の1曲のみは訳を出していたが、他の曲は一切なし。自作自演の歌手ですから、その内容は大事のはず。20世紀FOXさん、手抜きはやめましょう。
最近5年間の映画館にかかわる数字は次のようになっている。
スクリーン数 内シネコン シネコン率 入場者数(千人)
2005年 2925 1954 66.8% 160.453
2006年 3062 2230 72.8% 164,585
2007年 3221 2454 76.2% 163,193
2008年 3359 2659 79.2% 160,491
2009年 3396 2723 80.1% 169,297
映画館(スクリーン)数も、入場者数も昨年は5年間で最高だった。
一見映画業界は好調のように見える。映画館に占めるシネコン率は上がり続けている。シネコン以外の映画館は、2005年の971⇒2009年の673に大きく減っている。
ほぼ2/3になっている。シネコンは新しく建てられたものが多く、階段式の客席、レッグスペースが広いゆとりある館内、10本前後の作品から選択できるなど、見る観客にとっては良い点が多い。シネコンはヒット作には多くのスクリーンを使うなど、ヒットを加速させる要素が多い。多くの人が封切り後早くに見ることができ良いのだが、早く見られることによりヒット作の寿命が短くなっている。寿命が短くなるとシネコンは作品が足りなくなり、従来上映していなかった単館系(あるいはアート系)作品にも手を出し始める。単館系作品はフィルム数が多くはないので全部のシネコンでの上映などはできないが、上映時間を細かく操作(同じスクリーンで、10:00~は作品A,、16:00~はB…など)して、単館系で少しでもヒットしたものを少し遅れてでも上映し始める。
単館系映画館は、こうして徐々に作品を取られてきた。経営が厳しくなり、徐々にシネコン以外の映画館が減ることになった。シネコンは基本的に大規模経営だ。ヒットする作品だけを少しでも早く、広く公開して収益を上げる。同じチェーンのシネコンでは同じ番組編成が基本だ。シネコンにとって単館系作品はあくまでニッチ商品、メイン商品が好調ならば見向きもしなくなる。困るのは、作品にバラエティがなくなること。スーパーアクションのハリウッド作品が飽きられたように、同じ趣向の作品が続けば、観客が映画から離れていくのは自明の理。
こうして、ヒット作の減少→作品の取りあい→映画館の減少→
ヒット作だけのシネコン率アップ→飽きられて観客減少→ヒット作の減少
という負の連鎖が完成する。
今月の映画のベストスリーからお勧め作までの作品の半分以上は単館系です。ここが細ってくると、映画の楽しさは半減します。これを崩して豊かにするには、映画館に行くしかありません。今やビデオ・DVDビジネスも利益が上がらなくなりつつある映画界やはり映画館で再生を目指すしか道はないのでは?
今月はここまで。
次回は真夏の7/25です。