寒い日が続きます。
まあ、冬ですからね。
外がどんなに寒くても暖かい場所があります。
映画館が待っています。
12/26~1/25、年末年始を挟んで31日間に出会った映画は31本、正月映画、新春第一弾、第二弾などを多く見たので、本数が多くなりました。外国映画が本数では圧勝です。
相棒Ⅱ
秋刀魚の味(古)
お茶漬けの味(古)
東京物語(古)
海炭市叙景
ばかもの
ムサシ
太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―(試写会)
トロン・レガシー
エリックを探して
リッキーRicky
人生万歳
君がくれた未来
GAMER
デザートフラワー
モンガに散る
シチリア!シチリア!
君を想って海をゆく
ゴダール・ソシアリスム
レバノン
お熱いのがお好き(古)
クリスマス・ストーリー
アンストッパブル
ソーシャル・ネットワーク
しあわせの雨傘
愛する人
僕が結婚を決めたワケ
デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~
グリーン・ホーネット
完全なる報復
ソウル・キッチン
①ソーシャル・ネットワーク
かつて私にもある人からお誘いがあったフェイスブック、その創始者のユダヤ人青年のリアル(悪いも含め)を描く、デヴィッド・フィンチャーの力作。いや~、主人公の頭の回転の速さは刺激的、主人公に感情移入できないのに面白い、まるで「告白」のような作品。
②-1 海炭市叙景
北の港町に暮らす人々の生活が、細かい感情描写で描かれる。悲しみが積み重ねられていく姿が静かに語られる。
②-2 愛する人
14歳の少女が女の子を産んだところから始まる40年近くの物語。様々な親子関係が語られ、男女関係も描かれる中、人と人とのつながりが最後には救いとなってくる。
③-1 アンストッパブル
映画ってこれですよね。動くもの。かつて黒澤も暴走機関車を作ろうとしましたよね。裏表なく一直線の映画が心地よい。
③-2 レバノン
戦場での密閉空間と言えば潜水艦か塹壕の中と思っていたが、戦車の中の戦士たちの実態をリアルに描く。これも映画、映画の力を知る。
次点: モンガに散る
台北の歓楽街モンガで青春時代を過ごす高校生の不良たち、やくざの若い組員になって…と、台湾製チンピラ映画が描く切ない青春。
次の作品もお勧めです。
●相棒Ⅱ:警察内部の抗争というのは食傷気味ですが、細かい工夫が上手く生きています。
●リッキーRicky:とんでもなく飛んだアイディアに満ちた、幸福な家族を目指す映画。
●人生万歳:ウディ・アレンがまるで自分そのものを肴にして描いている面白い映画。
●デザートフラワー:女性性器切除という重いテーマがしっかり描かれ、感動です。
●ソウル・キッチン:ドイツに暮らすギリシャ移民の青年のいい加減(?)さが最後は元気にしてくれる。
●太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男―:サイパンで戦った日本兵、下手をすると軍人精神礼賛になるところ、平山監 督は盛り上げないように注意しながらじっくり描いている。
「お熱いのがお好き」をやっとスクリーンで見ることができた。午前十時の映画祭(今月のトピックス参照)のおかげです。感謝。
ビリー・ワイルダー監督と言えば幾多のコメディ映画を作ってきた人。オーストリア出身、ナチスを逃れアメリカに渡ったワイルダーはシリアスな作品も作っているが、その一方でスマートな、練られた喜劇も多く作ってきた。正に名人芸と呼ぶにふさわしいような。
アメリカにおける喜劇映画はそのすべてが日本に来るわけではない。むしろ来ない作品の方が多いのではないかと想像する。笑いはチャップリンのようにサイレントのころの方が国境を容易に超えたようで、音が入り、TVで身近な笑いが盛んに流される現在、現代のコメディは案外その国固有のものになっている場合が多い。人が気楽に映画を楽しもうとする場合、他愛なく笑える映画を求めることが多い。他愛なさは案外日常生活に根差していることが多い。
「僕が消結婚を決めたワケ」「デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」「グリーン・ホーネット」と1月後半に立て続けにみた喜劇仕立ての作品群があまり楽しめなかった。
「僕が消結婚を決めたワケ」はロン・ハワード(ダ・ヴィンチ・コードとかビューティフル・マインドとか)の作品。
40男の結婚と友人の板挟みにあう悲喜劇を描いているのだが、う~む、これが面白くなかった。ヴィンス・ヴォーンは結構好きな俳優だがあまり軽い感じがない。友人を演じるケヴィン・ジェームズも今一つ。
「デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」は、「ハングオーバー」と同じトッド・フィリップス監督の作品。2作品は結構似ていると言える、主人公が巻き込まれる不条理なハチャメチャが。ロバート・ダウニーJRはまあ無難としても、迷惑男を演じるザック・ガリフィナーキスがどうも面白くない。
「グリーン・ホーネット」は主役のセス・ローゲンがつまらない。
(カトー役のジェイ・チョウも魅力的ではない)
どうも、子供ぽさだけが目立つエイリアン的な行動が、私の趣味には全く合わない。
昔のアメリカ映画の方がもっと脚本に工夫をしていたのではないか。登場人物の性格だけに頼り過ぎというのは言い過ぎか。
現在のアメリカ映画界でコンスタントに作品を作り続けるウディ・アレンは、登場人物の性格(主人公の、アレン自身の)をくっきり出しているが、話自体に工夫がある。
「人生万歳」は主人公が観客に向かって話しかける映画だが、自分の性格を分かりすぎるくらい分かった上で笑いとばしている。彼に続くコメディ作家が今のアメリカにはいない。
「クリスマス・ストーリー」「しあわせの雨傘」と2本のドヌーヴ主演映画を見た。67歳にして堂々の主演作が続くというのが凄い。2作とも現在のフランス映画界では旬の監督作というのも素晴らしい。若手の監督作にも平気で出演する。まあ、昔から結構大胆なところのある人でしたよね。
「しあわせの雨傘」では赤いジャージー姿のポスターが話題に。確かに、スター女優とは思えない絵姿です。(主人公の名前がMme.プジョールというのが、ほんとに一部の人には受けるかも)「クリスマス・ストーリー」でも旦那が結構思い切ってます。それでもびくともしないのが流石にドヌーヴ。
まあ、台風にもなびかないくらいどっしり感たっぷりですが。
ご存知でしょうか?
昨年1年間(正確には2010/2月~2011/1月)にわたって開催された午前十時の映画祭。全国25の映画館で朝10時から50本の旧作映画を上映するという企画です。50~60年代作品を中心に幅広い時期の作品から選ばれた50本は、
基本的には人数の多い団塊世代狙いかとも思われましたが、実際劇場に来ていた人は若い人も多かったようです。有名だけど見ていない作品を見てみたいということですね。私も「裏窓」「お熱いのがお好き」の2本を見ることができました。
想定より多くの人を集めたようで、2011/2月から1年間、第2弾が始まることになりました。昨年上映した作品を“赤の50本”、これから上映する作品を“青の50本”と名付けています。劇場も25館を新たに追加、今までの25館では青の50本を、追加の25館では赤の50本を上映します。
青の50本で私が見たいのは「情婦」「サンセット大通り」「さよならをもう一度」あたりでしょうか。
それにしても、赤、青を通してビリー・ワイルダー作品が3+3=6本も含まれています。
当然でしょうかね。
昨年どうしても見たい作品がもう1本ありました。「フォロー・ミー」です。その顛末は次のコラムで。
昨年あるところに“街を歩く映画”について書いた時、当然ながら「フォロー・ミー」について触れた。73年に公開された当時、確か当時のみゆき座で見たような記憶がある。調べてみると「午前十時の映画祭」に含まれていることが判明、東京では12/25から上映されるというので楽しみにしていた。この作品は何故か、ビデオにもDVDにもなっていなかったので、映画館で見るしか方法はないのだった。
実はその後、11/26にDVD化された、初めてのソフト化。だから今は自宅で見ることもできる。さて、12/29待ちに待ったフォロー・ミーを見ようTOHOシネマズ六本木に向かった。開映25分前には映画館に。しかし、席がないを意味するXのマークが。で、翌日は35分前に映画館に行ったのだが、またもやX印が。それまでサイトで映画館の席を確保したことはなかった。
何を見るか決めるのは当日がほとんどなので。実は12/29に見られなかったとき、サイトで翌日の席を確認したのだが、“取扱なし”というのが“満席”を意味するとは知らなかった。12/30に映画館のチケット売り場で聞くと、この作品はサイトでほとんど売り切れたというのでした。サイトの表示変えてください、“売り切れ”とか“満席”に。映画館主義の私としては映画館で見たい!と思っていたところ、新規の25館で赤の50本が上映されることになったのです。
東京は日比谷のみゆき座、今年こそフォロー「フォロー・ミー」、さぶ!
ニュースでも結構報道されていましたのですでにご存じでしょうが、現在日本でのスクリーン数最多を誇るTOHOシネマズが、入場料金の値下げを発表しました。2011/3月から栃木、山梨、長野、広島、長崎、鹿児島の6県で先行し来春には全国で実施という。1年後ではありますが、やっと少し安くなります。他の映画館がどのように反応するか興味を持って見守ります。今回の値下げでは大学生・高校生を含め18歳未満が一律1000円になる。これで少しでも若い人が映画館に出かけることを願うばかり。一つだけ気になることは、18歳以上1500円とだけ書かれていること。まさか、60歳以上を含みませんよね。
年末、12/28に高峰秀子さんが亡くなった。1929年に5歳で映画デビュー、
79年に引退するまで50年間、女優として活躍した。サイレント時代から出演していたのです。その後はエッセイを書いたりされていた。成瀬、木下監督を中心に多くの監督にも愛され、多くの作品に出演した。
1本と言われれば、「浮雲」でしょうね。凄く真面目そうで、正直に生きているという印象の実生活の高峰さんからは想像できない、男を追って流れていく女性の生き方を演じている。最近は斉藤明美さんの本によって、彼女の生き方に触れることができた。そのきっぱりというか、こだわらないというか、凛とした生き方が素晴らしい。
「二十四の瞳」などの国民的映画に出演、広い人に愛されたまさに国民的女優だった。
ご冥福をお祈りします。