少しずつ春が近づいて来て、
日差しの中にいるのが気持ちのいい日が多くなってきた。
気持ちもゆったり。
外もいいけど、
中もいいのが、そう、映画館、よろしく。
1/26~2/25の31日間に出会えた映画は24本、新作、旧作取り揃え、バラエティに富んだ作品群でした。
ジーン・ワルツ
冷たい熱帯魚
GANTZ
白夜行
毎日かあさん
あしたのジョー
ショージとタカオ
(旧作)
痴人の愛
鍵
武蔵野夫人
雪夫人絵図
ヤコブへの手紙
ハーブ&ドロシー
ブローン・アパート
RED
イップマン
ウォールストリート
再会の食卓
ザ・タウン
幸せの始まりは
ウッドストックがやってくる
ヒアアフター
(旧作):
ロベレ将軍
フォローミー
①冷たい熱帯魚
いや~、熱いのなんのって、触れたらやけどしそう、でも、そのやけど感がたまらなく、平日に行ったのに朝からの3回は全て立ち見でした(夜の部は見届けられず)。園子音監督の底知れぬパワーを体感しましょう。
②あしたのジョー
梶原一騎原作、ちばてつや作画の漫画を、あの「ピンポン」の曽利文彦監督が実写映画化。漫画の感触をきっちり残し(CGの使い方が上手い!)ながら、骨太にストーリーをまとめたのが成功。
③ザ・タウン
ボストンの一地域(タウンと呼ばれる)に住む生活者としての強盗をまるで普通の生活者のように描く渋い映画。ベン・アフレックは監督・主演で頑張っています。
次の作品もお勧めです。
●ヤコブへの手紙:フィンランドの田舎を舞台に人の結びつきをゆったり描く感動作。人を思いやるラストは心打たれる。
●ハーブ&ドロシー:NYCの質素なアパートに自分たちの“美”を集めて暮らすヴォーゲル夫妻。その情熱は本当に素晴らしい。
●RED:そうか、こういう手があったよね。この年代の人たちを持ってくれば、ソ連とかが出てきても不思議はない。痛快です。アラ還必見。
●再会の食卓:国、社会体制によって引き裂かれるのは理不尽なものだが、
中国と台湾に分かれてから40年ぶりに再開する夫婦の物語も身にしみる。
●白夜行:人気作家、東野圭吾の小説を映画化、強くて美しく、したたかで悲壮なヒロイン、映像はそんな女主人公を奥深く描いています。
●毎日かあさん:西原理恵子、鴨志田譲夫妻の実話に基づく西原の新聞連載漫画を実写化、なかなか楽しい仕上がりです。ラストに流れる木村充揮の「ケサラ」は必聴。
●ショージとタカオ:キネマ旬報の2010年度文化映画ベスト1の本作、布川事件という冤罪事件 を扱うドキュメンタりーながら二人の主人公が魅力的。3/19から劇場公開も決定です。
●ヒアアフター:イーストウッド監督のなめらかな映画作りはいつものことながら、霊感能力者を通して描く死後の世界という変わった題材。
★アーネスト・ボーグナイン
“若造は引っ込んでな”と威勢のいい「RED」、
Retired Extremely Dangerous(超危険引退者)の名の通り、アラ還以上の連中が大活躍するアクションに、かつてアクションに欠かせなかったアーネスト・ボーグナインが出てきたのには驚いた。
RED連中に必要なものを渡してしまう保管係ですね。
今年94歳とはとても見えない、かつてのあのエネルギッシュな風貌もほぼそのまま。「特攻大作戦」「ワイルドバンチ」「ポセイドン・アドベンチャー」「北国の帝王」などで見せた、あのぎょろ目と歯むき出しの“にっか”とした風貌、です。
★チャーリー・シーン
マイケル・ダグラス自体が久しぶりの登場ではありますが、
「ウィール・ストリート」のパーティシーンで彼と話していたのはチャーリー・シーン、何故かラストのクレジットには名前が出ませんでしたが、久しぶりに登場です、なんだか内輪の会話みたいな感じでしたが。
「地獄の黙示録」で有名なマーティン・シーンの息子で一時は結構期待されたものの、私生活でのトラブルが多く、最近は奇人としても有名。そのひとつが“5000人とセックスしたというほどの好色漢”(WIKIPEDIA)、そういえばマイケル・ダグラスも“セックス依存症”でしたよね。それで内輪感が…。
★トリート・ウィリアムス
先月見た「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」で、交代して赴任してきた上官、大佐を演じていたのは、スピルバーグの「1941」(1979)で主演していたトリート・ウィリアムス。結構作品は出ていた人だけれど、デビューの時に期待された大スターにはならず、結構地味な俳優に落ち着いたという感じ。
★マルト・ケラー
「ヒアアフター」でスイス(?)の研究所のルソー教授に扮していたマルト・ケラー、70年代後半「マラソンマン」「ブラックサンデー」「ボビーデアフィールド」など、多くの作品に主演し期待されたスイス出身の女優。
70年代後半はマルト・ケラーの時代と言ってもいいくらい勢いのあった彼女その後90年代からオペラの監督になり、フランス批評家協会から年間最優秀オペラ公演賞まで受賞しているとか。彼女演出の「ドンジョバンニ」は日本でも上演されたらしい。
本編の最後に、引き続き予告編が流れた映画が2本あった。「GANTZ」は初めから続編ありと発表されていたので、本編の最後に予告編が付くだろうことは十分想像できた。まあ、よくあるパターンだ。
ゲームだけをさせられたような第1作より、とりあえず謎解きがあるだけでも面白いかなぁというところ。
「イップマン」の最後に付いた予告編は、続編ではなくその前の作品、第1作なのである。ブルース・リーの師匠であったイップマンの生涯を描くこの作品は、1、2作と作られたが、2本とも日本で公開するほどの集客力があるか否か、
配給会社は随分迷ったらしい。で、日本人が悪役となる第1作ではなく、それほど日本人像は出てこない第2作を公開し、その評判が良ければ第1作を公開しようという作戦になった。
第1作に5000人のお客さんが来ていただければ第1作を公開します!という予告編が上映された。更にサイトでは現在~名がご覧になりましたと、5000名の目標に向かって盛り上げました。
そしてついに目標を達成、2/19から第1作「イップマン序章」が公開されました。おめでとうございます。
これから見に行きます。
「イップマン序章」には池内博之も出演しています。
現地時間今週の日曜日2/27にハリウッドで第83回アカデミー賞授賞式が行われます。いつものコダックシアターです。その1か月前に発表されたノミネート作品は、今年も昨年同様、作品賞のみ10作品、他の部門は5作品となっています。
今年の作品賞は次の通りです。
「インセプション」
「ソーシャル・ネットワーク」
「トイ・ストーリー3」
「127時間」
「ザ・ファイター」
「ブラック・スワン」
「英国王のスピーチ」
「キッズ・オールライト」
「トゥルー・グリット」
「Winter’s Bone」
日本語題名のものは、既に公開された頭の3作品を含め日本で公開されるもの英語題名は今のところ日本公開予定がない作品です。
ノミネーションの数は「英国王のスピーチ」が12部門で最多、これに次ぐのが「トゥルーグリット」(ジョン・ウェインの「勇気ある追跡」のリメイク)が10部門、現在上映中の「ソーシャルネットワーク」が8部門と続きます。前評判では「英国王…」と「ソーシャル…」の対決と言われています。
あと3日ほどで結果は分かりますが、今年の私の予想は次の通りです。
作品賞:ソーシャル・ネットワーク
監督賞:デヴィッド・フィンチャー(ソーシャル・ネットワーク)
主演男優賞:コリン・ファース(英国王のスピーチ)
主演女優賞:ナタリー・ポートマン(ブラックスワン)
助演男優賞:クリスチャン・ベール(ザ・ファイター)
助演女優賞:メリッサ・レオ(ザ・ファイター)
2/26に日本公開される「英国王のスピーチ」をはじめ、これから作品賞にノミネートされた作品が次々とロードショー公開されます。
お楽しみください。
今までに映画館の作法として、映画館でのご注意をお伝えしてきた。どの映画館でも次のような注意が流される。
①携帯電話の電源はお切りください。
②上映中のご飲食は周りの方のご迷惑にならないようご注意ください。
③上映中はお静かにお願いします。
④前の席を蹴らないようお願いします。
これらは作法というより禁止事項、
マナーとしての作法は他に次のようなものがある。
⑤階段式ではなく平面の映画館では腰浅く腰かけ頭は椅子の背に
持たせかける。
⑥階段式の映画館では、体を前に乗り出すことはしない。
⑦映画本編が終わってもすぐには席から立ち上がらない。
最後に流れるクレジットの間もお静かに。
最近、映画館で眠る人が増えたように思える。実際に数を数えた訳ではないが、どこからともなく聞こえてくるグー、ガァーのいびきが、どうも増えたようなのだ。すぐ隣りから聞こえてきたりすると、声をかけて起こすべきか、肘でつついて気付かせるのが良いのかハムレット的に悩んでしまう。
神保町シアターに「痴人の愛」を見に行った時のこと、斜め後ろの人が隣の人と話していた。その時、私の二つ右に座っている人から、「映画は静かに見なさい」と声がかかった。
あれっ?まだ明るいんだけど。
そう、まだ映画は始まっていない、つまり休憩時間だったのだが。
斜め後ろの人は「今休憩なんですが」と丁寧に答えていた。
「芸術鑑賞なんだから、邪魔しないでほしいんだ」と切り返され、流石にその人も静かになったのだが、それでもまだ始まってはいなかった!!
ご存知でしょうかこの言葉。
金曜日は、洋画に行こうと書かれていて、それの短縮形で「金洋日」なんですね。このところ洋画は興行収入で邦画に負け続けています。長い間日本映画を圧倒していた外国映画、1986~2005の20年間は外国映画が勝っていて、一番多い時は73%の占有率だったのです。
2007年には再度逆転したものの、2008~2010の3年連続で日本映画を下回りました。
そこで洋画関係の方々が盛り上げなくちゃと考えたのが今回のキャンペーン。“勝手ながらこれからは金曜日を「金洋日」といたします!”とぶち上げました。金洋座席くじ、金洋洋画めし、金洋プレゼントボックスの企画ありです。これからも楽しい企画がcoming soonだそうですから、期待しましょう。
今年で84回目、アカデミー賞の83回より古い歴史を誇るキネマ旬報のベストテン。
2/20(日)に行われた表彰式を見る機会に恵まれました。
作品賞(文化映画、日本映画、外国映画)の製作者、関係者、個人賞(主演助演男女優賞、新人賞)などの表彰式が続きました。
目にしたスターは、寺島しのぶ、豊川悦司、安藤サクラ、柄本明の奥様角替和枝(代理出席)、桜庭ななみ、生田斗真、他に監督賞の李相日、脚本賞の吉田修一、キネ旬読者賞の評論家川本三郎、「ショージとタカオ」の監督井手洋子の皆さんが出席されました。
表彰式はアカデミー賞ほどの派手さはありませんが、なんだかまじめに表彰式!の雰囲気が楽しめました。冤罪の被告人ショージとタカオさんや、安藤サクラの両親である奥田瑛二、安藤和津も関係者席に来られていました。うれしかったのは「69」の時から期待していた李相日監督が、本当にしっかりした作り手になった風だったこと。脚本も書いた原作者吉田修一さんが、“最初の会議が12時間も続いた”などと話されたことからも、「悪人」のじっくり作られた作品の芯が感じられました。
アカデミー賞のオスカー像より重い約5kgのトロフィーがつつがなく受賞者に渡された約1時間の表彰式でした。
今月はここまで。
次回は春分の日も過ぎた3/25です。