今年の天候は不安定。
昨日15℃かと思えば、今日は25℃と気温の変化が大きい。
体ばかりか心まで不安定になりそうだ。
そんな時、心の安定を得るためには、
もちろん映画館!
4/26~5/25、GWを含む30日間に出会った映画は19本、久しぶりに海外に出かけたため、長いお休みがあった割には少し本数は少なくなりました。
日本映画の娯楽作が頑張っています。
テルマエ・ロマエ
宇宙兄弟
レンタネコ
外事警察(試写会)
HOME愛しの座敷わらし
孤島の王
Black & Whiteブラック&ホワイト
捜査官X
ル・アーヴルの靴磨き
容疑者ホアキン・フェニックス
恋と愛の測り方
幸せの教室
ダーク・シャドウ
キラー・エリート
ファミリー・ツリー
ロボット
三重スパイ
ムサン日記~白い犬
(古)恋人たちの曲・悲愴
①ル・アーヴルの靴磨き
北フランスの港町ル・アーヴルを舞台に、語られるのはまるで日本の長屋もの。フィンランドのカウリスマキ監督得意(?)の貧しい人たちの助け合いに心ほのぼの。得意の開放的ロック音楽も妙にマッチした必見作です。
②ファミリー・ツリー
子育ては難しい。10歳と17歳の娘を抱え、妻はボート事故により意識不明という大ピンチ。カウアイ島に先祖代々が所有してきた広大な土地を売るべきかとか、妻の恋愛とか…ジョージ・クルーニーが新しいイメージを演じる。アレクサンダー・ペイン監督の佳作。
③外事警察
最近NHKは映画にもかなり進出、ハゲタカとかセカンド・バージンとか。
外事警察もそうした作品の一つ。映画はかなり引き締まった作り、黒を基調にした画面でサスペンスフルに描かれます。
次の作品も面白いです。見て損しない。
◎孤島の王:20世紀前半、ノルウェーの孤島に非行少年矯正施設があった。昔はどこの国も非人間的な矯正施設があったんだと見ていると、映画はサスペンスに進む。
◎テルマエ・ロマエ:現代の日本と昔のローマを風呂で結び付けるアイディアが勝ち。面白さそのままに出した前半は特に笑える。
◎宇宙兄弟:テルマエに続き、漫画原作の映画化。実は全く期待していなかったのだが、これがなかなか。少年漫画的なテイストを残しながら、大人も感激できるのは、落ちこぼれの兄が再び前向きになるあたりか。月面場面の描写も手抜きなく、テルマエと同様、真面目に映画に取り組んで成功した。
◎レンタネコ:ゆるい映画そのままに乗れるかどうかで評価は変わるかも。主人公の性格付けというか、職業というか、妙なところにおかしみあり。
◎幸せの教室:トム・ハンクスが監督、自身主演して中年の大学生を演じる。
ジュリア・ロバーツの講師が個性丸出し、こんな女性を演じられるのは彼女だけか。
◎ダーク・シャドウ:悪くはないんですが、面白みがもう一つ足りないかなあ。ミッシェル・ファイファーとかヘレナ・ボナヌ=カーターなど、もっとおもしろくても不思議はない。ティム・バートン監督、もう少し茶目っ気があった方が良かったかも。
◎ロボット:プログラマー大国で、映画大国のインドから送られてきたロボットものは、インドでなければ作れない面白さ。CG画面に歌と踊りがいつものように繰り出され、美女とラジニカーントが愛をささやく。それにしても、62歳のラジニカーントがまだ人気があるのは何故?
◎ムサン日記~白い犬:脱北者の青年を主人公に描く韓国映画。あまりに情けない彼の生き方にイラつくのだが、ラスト、主人公と同じ名前の“故スンチョルに捧ぐ”と出てきて驚く。どちら側にもなれない生き方は北と南に分かれた国を表しているようであり、ラスト、犬を見る主人公の長いショットは自身の未来を見据えていることでもある。
◎HOME愛しの座敷わらし:盛岡近郊の田舎の美しさに感動する。父親の東京から盛岡への転勤で茅葺屋根の古い民家に住むことになった一家の物語。ただ、3~4ヶ月で東京に帰るというのはいくら何でもという気がしましたが。
①ジョージ・タケイ
「幸せの教室」で経済学を教える松谷教授を演じていたのは、TVの「スター・トレック」に出ていたジョージ・タケイ。あまり熱心な「スター・トレック」ファンではなかった私に、ジョージ・タケイのことを教えてくれたSさんありがとう。勿論ジョージ・タケイの顔は覚えていました。映画の「スター・トレック」にも出ているしね。「幸せの教室」では物凄くいい役ですね。彼のいい声が生かせている。1937年ロサンゼルス生まれの日系2世の俳優。
②ボー・ブリッジス & ロバート・フォスター
「ファミリー・ツリー」でジョージ・クルーニーの従兄ヒュー・キングを演じていたのは、「ある戦慄」(1967年)でチンピラ2人に立ち向かったボー・ブリッジス。
「ある戦慄」はラリー・ピアースが監督したサスペンス。ジェフ・ブリッジスのお兄さんで、父親はロイド・ブリッジス。「ファミリー・ツリー」でジョージ・クルーニーの義父を演じていたのは、「禁じられた情事の森」(1967年)で映画デビューしたロバート・フォスター。ごつい顔、ごつい体の田舎の叔父さん。代表作をあげるのは難しいが、しぶとく生きてますね。
二人は共に70歳。
③ピエール・エテックス
昨日「ル・アーヴルの靴磨き」にピエール・エテックスが出ているのを、ネットでallcinemaのサイトを見ていて発見した。あの、エテックスですよね?「女はコワいです」の。1962年の映画ではるか昔に見たから、もうほとんど覚えていないけど、あのちょっとエクセントリックな顔は覚えていたのに、映画を見ている時は気がつかなかった。映画では主人公の妻が入院した病院の先生の役。更に調べたら、「汽車はふたたび故郷へ」にも出演していた、フランス人映画プロデューサーの役で。この映画でも気づいていない。ジャック・タチを支え、自分でもいろいろ作ってきた才人。現在83歳、長生きしてください。
「ロボット」を見たのは渋谷TOEI.。初めて入った映画館だった。丸の内TOEIには時々入っている。日本の映画会社の多くが昔の体制を維持できない中、外見的には一番昔の体制を保っているのが東映のような気がする。かつて5社体制といわれていた映画会社は、
*ロマンポルノさえ遠い昔になり、面白い外国映画の輸入とほんの時たま 映画を作る日活
*「羅生門」の栄光も遠い昔、そのDNAが少しだけ角川映画に残る大映
*大きすぎた「男はつらいよ」の後、模索が続く松竹
*見極めの早さが国内映画での圧倒的なシェアに結びついた王者、東宝
となっているが、今も昔の姿という気がするのが今年60周年の東映。渋谷、丸の内の2つの映画館とも比較的最近座席指定になったのだと思う。座席指定の指定を受ける時の窓口の案内が結構丁寧で感心した。今や指定席が常識というくらい普及し、色々な映画館で座席指定を受けるが、聞かれるのは“お隣に人がいますかよろしいですか?”くらい。渋谷TOEIでは“この席がよろしいでしょう、前にも人がいませんし”。実際に入ってみると、前に人がいず見やすかった。 勿論隣にも。周りの他の人を見回すと、それぞれ視界が遮られないようジグザグに座っている。どちらの映画館も階段状ではなく少しスロープ状になっている昔風の床。だから、特に気を付けて案内しているという印象を持った。さらに、どちらの映画館も窓口は少しお姉さん度が高かった。この辺りに、東映の昔風の強さを感じた。
●「テルマエ・ロマエ」は今のところ今年一番の大ヒット、日本人の好きな風呂を題材に、ローマ時代からワープという発想が面白い。封切り2日前だったか、新聞朝刊に風呂関係の各社と共同で全面広告を8面に渡って掲載していたのは驚き。8面の全面広告なんて「One Piece」以来のことですよね。
●ハードなところもある「ル・アーヴルの靴磨き」、靴屋の前で靴磨きしようとすると、露骨に妨害されたり、巻頭靴磨きを終えた客が支払いをしてすぐ車にひかれて死んでしまったり。
●猫の貸し出しなどというけったいなお話の「レンタネコ」、レンタイヌにはならないところがいいですね。
●カウアイ島は添乗でよく訪れた島。町の雰囲気やレストランの内装など、あの頃を思い出させるのが「ファミリー・ツリー」。ゆっくりした生活の仕方も懐かしい。
今年に入って外国映画の成績が伸びていないという。興行収入が20億円を超えた洋画作品が今年はまだ1本もなく、これは今の興行収入の算出方になった2000年以来初めてのことらしい。作品に力が無いという根本原因があるのかもしれないが、封切り時の成績から20億円を超えるだろうと見られていた作品が、その後伸び切らず20億円を超えることはなかったという。
キネマ旬報の5月下旬号に大高宏雄氏が書いていたのだが、その記事の名前が「洋画は“ダサく”なっているのか」というもの。ここでの“洋画”はアメリカ映画の意味で使われている。かつて、我々が若かった時代は洋画から教えてもらうことが多く、「邦画はダサい」といのが常識だった。それが逆転しているのではというのだ。
これには物凄く驚いたが、そうした状況は確かに最近よく見ていたのかもしれない。
今月見た「恋と愛の測り方」はある夫婦が、それぞれに別の相手と…という状況を描く2日間だけの映画。原題は「Last Night」と、その夜についての話だ。キーラ・ナイトレーとサム・ワーシントン(アバターですね)が主演で、
それなりに楽しめる、良くできた話ではあるが、見る前から、これはヒットしていないのではと推測した。この日本題名から、男と女の関係について今更外国映画に何か言われても的な受け取り方をされているのではないかという気がしたからだ。
中途半端な外国映画は今や見る必要が無い、極端に言えばこういうことだろうか。楽に見られる日本語映画の方がよい。これは、やはり、ものすごく楽に見られるTVドラマの映画化作品に慣れ過ぎた若者たちの、感じていることではないか?
さらに、ビデオやDVDでも洋画作品の割合はどんどん下がっているようだ。
以前から何度も書いているように、この状況は海外旅行と似ている。若い人の海外に出かける意欲が減っているのは、洋画はダサいという感覚に似ている。
どちらも楽な方に流れるという方向が同じでは?分からないこと、知らないことは初めからチャレンジしない方が楽。その裏には、本当の面白さまでに到達しないことが忘れられているような気がするが。
5/2~11までパリ6泊、ロンドン2泊の旅行に出かけました。
見た映画は、パリの名画座で見た「恋人たちの曲 悲愴」(ケン・ラッセル作品)1本のみ。映画関連の報告です。
◎パリ
○情報誌 「パリスコープ」はいまだ健在です。水曜日~火曜日の情報を載せる週刊誌。40サンチーム(約40円)という極安です!体裁も昔のままでA5位の大きさ。記事はほぼなく、情報のみの192ページ。「ぴあ」のように地図を載せるなんて親切はありません。
○映画の料金 パリには複数のシネコンチェーンがありました。UGC、ゴーモン、MK2です。チェーンによって会員システムがあり、特典があるのは日本と同じ。ただし、日本では似たような特典が多いのに比べると、チェーンによってかなり違うようですし、割引もかなりあり使い方によっては1本300円くらいになるとか。ただし、チラシを見つけられず、書面を見ていません。そういえば、映画自体のチラシも1枚も見ませんでした。どこに置いてあるのか?不明です。曜日によっての割引も水曜日・レディースデーなんてものではなく多くあります。割引なしの料金は、これもチェーンによって変わる可能性ありますが、大体10.70ユーロ(1100円くらい)。
○映画館 ベルシー地区にはUGCの30スクリーンある大きなシネコンがありました。このベルシーには、有名なシネマテーク・フランセーズが移転してきています。「ティム・バートン展」をしていましたが、長蛇の列で入所はあきらめました。シネマテーク周辺に、ポール・ベルモンド(スター)通り、ジャン・ルノワール(監督)通り、フランソワ・トリュフォー(監督)通りができていました。「恋人たちの曲 悲愴」を見たのはカルチエ・ラタンにある名画座Accatone。アッカトーネはイタリア語で乞食?パゾリーニの映画題名にありましたね。入場料はシニア割引(60歳以上)で6.5ユーロ。日本の昔の名画座のイメージ。平床で段差なし。ポスターは少しだけ貼ってあったが、他の情報は一切なし。画面サイズを決める黒幕なしの画面に、その画面より少し小さいサイズの映画が突然始まった。1972年の作品で、かなり傷んだ画面だった。
◎ロンドン
○情報誌 ロンドンの情報誌は「タイムアウト」A4判でカラー、日本の情報誌に近く、記事も多い。価格は3ポンド25ペンス(400円強)。
○映画の料金 ロンドンはそれほど時間が無かったので多くは見ていませんが、レスタースクエアに居並ぶ4か所の映画館群を見て回りました。料金はそれぞれ違うようでした。一番高い大人料金が13ポンドで1600~700円くらい。前売り券なんて制度はありませんから、ひょっとして日本より高いかも。
○ミュージカル 3本のミュージカルを見ました。「レミゼラブル」「雨に唄えば」「トップハット」の3本。後の2本は共に映画ミュージカルからの舞台化である。「雨に唄えば」はジーン・ケリー、ドナルド・オコナー、デビー・レイノルズ共演で有名。
「トップハット」はアステア=ロジャースものの1本、すれ違い誤解による喜劇ミュージカル。どちらも良くできたミュージカルで、舞台もそれぞれ面白い。「トップハット」では、もちろんフレッド・アステア程に優雅に踊れる主演者ではないが、脇役陣がなかなかの働き、面白さではこちらの勝ち。
「雨に唄えば」は主演が「白鳥の湖」を踊ったあのアダム・クーパーで、もちろんジーン・ケリーの役を演じる。しかしこちらの話題はやはり雨の中の踊り。クーパーは存分に踊り、たまった雨水をけって客席にまき散らす。前から5~8席位の観客は確実に濡れていただろう。往復のフライト(スカンジナビア航空)の中で流されていたのは、間もなく日本でも公開される「君への誓い」と「幸せへのキセキ」。どちらもきちんとは見ていないので本数に入れませんでした。
観光的に一番面白かったのは、パリでのサンマルタン運河クルーズ。2時間半かけてゆったりサンマルタン運河を楽しみます。上流からから下るコースに乗りました。映画的には「アメリ」「北ホテル」の世界。お勧めです。
今月はここまで。
次回は紫陽花の咲く頃に。