やっと少し涼しくなりました。
食欲の秋、芸術の秋本番を迎えます。
空澄渡り、気分も爽快、
映画館でもっと痛快になりましょう。
9/26~10/25の30日間に出会った作品は31本、芸術のシーズン本番なのに今一つ感の作品が多かった。バラエティには富んでいたんですが。
年末に向けて後1カ月が期待です。
ライク・サムワン・イン・ラブ
人生いろどり
アウトレイジ ビヨンド
ヴァンパイア
BUNGO~ささやかな欲望~
「告白する紳士たち」「見つめられる淑女たち」
希望の国
(古)東京暮色
わたしたちの宣戦布告
ロック・オブ・エイジズ
コッホ先生と僕等の革命
ハンガーゲーム
ボーン・レガシー
セイフ
エージェント・マロリー
アイアン・スカイ
モンスター・ホテル
ミステリーズ 運命のリスボン
推理作家ポー 最期の5日間
最終目的地
エクスペンダブルズ2
情熱のピアニズム
動物園からのポストカード
(東京国際映画祭)
(古)(アキ・カウリスマキ特集)真夜中の虹
ラ・ヴィ・ド・ボエーム
マッチ工場の少女
(フィルムノワール特集)
生き残る者の掟
赤い家
暗黒街の弾痕
(午前10時の映画祭)
荒野の七人
荒野の用心棒
① 希望の国
園子温監督の新作は長島県での震災としているが、福島原発による避難生活の描写そのもの。いつもの過激描写は一切せず、重い現実を描いている。今の我々に必要なメッセージに満ちている
②-1 エージェント・マロリー
格闘家には詳しくないので知りませんが、主演はジーナ・カラーノという女性格闘家。結構魅力的でした。彼女も映画もすっきり感で面白かったです
②-2 最終目的地
ジェームズ・アイヴォリー久々の映画は流石の出来。こういう文学的な映画をキチンと撮れる監督は貴重です。てっきりイギリス人と思っていましたが調べたらアメリカ人。1928年生まれの84歳です。
③-1 人生いろどり
葉っぱビジネスで高齢者の過疎の村が再生というニュースは以前見たが、その実話の映画化。なかなか落ち着いた映画で楽しめました。高齢者問題というよりも、女性問題と言った方がよいかも。
③-2 推理作家ポー 最期の5日間
アドガー・アラン・ポーは有名ですが、最期の5日間はその行動が良く分かっていないとか。その5日間を彼の作品に絡めて作られた映画は、見どころのある推理小説風になりました。
次の作品も面白いです。お勧めします。
◎わたしたちの宣戦布告:主演して妻役を演じながらこの作品を監督したヴァレリー・ドンゼッリ、彼女の実話を映画化とある。病気の子供をもった夫婦の物語。変に深刻ぶらずポップに描かれ突然ミュージカルになったりもします。
◎コッホ先生と僕等の革命:ドイツでのサッカー事始めを描いた作品、ギムナジウムでの体育の授業を見ていると今の体操競技のよう。体操競技はドイツで作られたものでしょうか?
◎アイアン・スカイ:ナチスが月の裏側で帝国を築いていた。このアイディアで見せてしまう映画ですが、SF場面もしっかりしています。
◎モンスターホテル:ディズニーよりかなり飛んでるアニメーション、よく見れば結構面白い作品です。
◎ミステリーズ 運命のリスボン:あすすめは前半です。確かにミステリーにふさわしい話。これで後半が良ければ完璧だったんですが。
◎情熱のピアニズム:ミッシェル・ペトルチアーニというジャズ・ピアニストを追ったドキュメンタリー。ジャズに疎い私は知りませんでした。驚きました、感動しました。
9月号の「ジョルダーニ家の人々」(3部作、399分)、10月号の「カルロス」(3部作、326分)と長い作品があった。今月は3部作ではないが、2部作の作品が2本あった。
1本は日本映画「BUNGO~ささやかな欲望~」で、「告白する紳士たち」(108分)と「見つめられる淑女たち」(98分)と2部に分かれ、別の作品としてそれぞれ1800円の料金だった。
6人の文豪作品を原作とし、紳士・淑女それぞれ3話ずつのオムニバス形式。
6人の監督にしては各作品の色調が統一されているのは、扱われている時代が似通っているからか。この作品は物語的な繋がりはないのでどちらか1本だけ見ても大丈夫。紳士の方がお勧めです。
2本目はポルトガル映画「ミステリーズ 運命のリスボン」(267分)、映画館は前後編扱いで、前後編一括は2500円、1本ずつは各1300円という料金建て。でも、これは完全に1本の作品で、前編の最後にインターミッションと出てくる。後篇にはタイトルが付いていない。勿論、話は続いているので、後篇だけ見たのでは話が分からない。
今月の2本は、共に“長ければ良いというものではない”というところ
*アキ・カウリスマキはフィンランドの映画作家、特集上映がありました。前から気になっていた「マッチ工場の少女」をやっと見ることができました。カウリスマキの何事にもこだわらない何気ない無関心が心地よい。マッチ売りじゃないけど、本当にマッチ工場なんだよね。貧しいのが凄い。
*午前10時の映画祭で見た「荒野の七人」「荒野の用心棒」は、勿論、共に黒澤明映画(「七人の侍」「用心棒」)を原作としてリメイクされた作品。最近のリメイクと違って、舞台、背景をすっかり変え、ハリウッドとイタリアで作られた西部劇。西部劇ブームの最後ころに作られた作品と、マカロニウエスタンの最初の作品。ウェルメイドと破天荒と、どちらも面白かった。
●日仏合作、ユーロスペース30周年記念映画「ライク・サムワン・イン・ラブ」は、日本を舞台に日本人俳優だけが出てくる映画だが、監督はイラン人のアッバス・キアロスタミ。「友だちのうちはどこ」などローカル色の強い作品を作っていた人が、今回は日本、前作「トスカーナの贋作」はイタリアを舞台に映画を作っている。何だか切実感が無いなあと思うのは私だけでしょうか?
題材もほんとですかという気がする。
●「ハンガーゲーム」の品の無さというか、えげつなさはちょっとついていけない。ゲームに慣れている人は平気なんでしょうか?
●たけし監督は「アウトレイジ」みたいに裏切りっぱなしのドラマって好きなんでしょうね。何かを裏から見ることは、そうと決めてしまえば簡単といえば簡単?
●ソニーアニメーションの「モンスターホテル」は誰もが「モンスターインク」を思い出すはず。モンスターのぶっ飛びぶりはこちらの方が上。なかなかよくできていますが、別に3Dで見る必要はないよね。
最近の映画館は個性が無くなってきた。その多くがシネコンになってきたので、個性を求めるのがおかしいのだろうか?
東京で映画を見始めた1971年以降の映画館でいえば、例えば、文芸大作に強い有楽座とか、男性アクションは任せろの日比谷劇場とか、女性物はここの「みゆき座」とかロードショー館にもそれぞれ特徴があった。(3つの映画館とも1970年代にこの名前だった映画館です。)あの劇場であの題材だったら大丈夫とか、この劇場にしては珍しい題材の映画だなあとか、映画と映画館の相性も感じながら映画を見ていたものだ。
ここ2~3年の間に消えていった映画館は、シネコンではなく1~3スクリーン位をもつ独立した映画館だ。ウディ・アレン全作品をロードショー公開していた恵比寿ガーデンシネマや、ちょっと変わった良い映画を多く上映していたヒューマントラスト渋谷文化村などだ。
現在の東京のロードショー館でひょっとすると一番特徴を出しつつあった映画館が、今年12月2日を最後に消えることになった。渋谷シアターNである。
かつてユーロスペースが入っていた映画館を譲り受け開業してから7年、日本出版販売(日販)が経営する映画館だった。初めの頃はどこを目指しているのかはっきりしなかったが、ここ2~3年くらいのプログラムはゲテモノ趣味に特化してきた。ここに行けば腹一杯のスプラッター作品が見られるような、はっきりした性格を持つ映画館になってきた。映画館に付いたファンも増えつつあったのでは?個性ある映画館がまた一つ消えていく。
さびしいことです。
松本零士の銀河鉄道999のメーテルは彼女がモデルとはどこかで聞いていた。10/13の朝日新聞土曜朝刊be“うたの旅人”が取り上げていたのは、ジ・アルフィーの「メリーアン」で、“幻想映画から初ヒット曲”と書かれていた。メリーアンがマリアンヌの英語読みから来ているなど、その曲自体を知らない私は知るはずもない。
読んで驚いたのは、あの伝説のバンド、ジャックスにも「マリアンヌ」という曲があり、作詞したのは早川義夫さんの高校時代の1年先輩、相沢靖子(65)だったという。ある夜つけたテレビで見た映画に触発されて書かれた詩だったのだ。勿論その映画が「わが青春のマリアンヌ」だったのである。
私がこの映画を見たのも、中学か高校時代のテレビでだった。相沢さんと同じ番組だった可能性がある。多くの人に影響を与え、新たな作品を生み出す力になった1本の映画。霧のたちこめる湖、湖畔の城に住む女性、転校してきた少年などなど、ロマンチシズムにあふれた映画だった。
TVで見た映画で忘れられない映画マイベストスリーに入る作品だ。城の撮影に使われたのがホーエンシュバンガウ城だったという。ロマンチック街道の南の端にノイシュバンシュタイン城に対するように建てられている。映画を見た当時、ロマンチック街道など知るはずもなく、勿論これがホ-エンシュバンガウ城とは知りもしなかった。そうだと知っていれば、ノイシュバンシュタイン城ではなく、ホーエンシュバンガウ城に行っていたのに!
12/1、映画の日に封切りされる007の最新作は「007スカイフォール1962年の「007ドクター・ノオ」(初公開時は「007は殺しの番号」)から数え23作目となる。50年間に23本だから、2年強に1本の割合で作られてきた。正確にいえば、他にショーン・コネリーが久しぶりに復帰した「ネバーセイ・ネバーアゲイン」があるが、この作品はいろいろな状況から通常のイオン・プロとは別の資本で映画化され、題名にも007は使用されていない(権利の関係で使用できない)。
007といえば、興行のピークシーズンの目玉として封切りされるのが通例になってきた。特に2作目「007ロシアから愛をこめて」(初公開時は「007危機一髪」)の大ヒットにより、正月、夏休みなど大作が揃う時期に定位置を占めてきた。実際、日本での封切りは23本のうち10本が12月の封切りになっている。
現在の007を演じるのは6代目のダニエル・クレイグ、
「007スカイフォール」は彼の主演作としては3本目になる。歴代の主演者は次の通り。
ショーン・コネリー:6本(「ネバーセイ…」を入れると7本)、
ジョージ・レーゼンビー:1本
ロジャー・ムーア:7本
ティモシー・ダルトン:2本
ピアーズ・ブロスナン:4本
ダニエル・クレイグになって、007は若々しくなった。作品もシャープになった印象。製作者が作品のイメージを変えようとして彼を選んだのだろう。 50年も続いてきた一つのシリーズ、その間、東西冷戦が終了してしまい便利な敵はいなくなり、スパイの世界も変わってきた(って、実際に知っている訳ではないが)。よりリアルになりながらも、映画の世界で夢を見させてくれる007シリーズ。
これからも楽しませてもらおう。
007の半分、今年で25回目になる東京国際映画祭が現在開催中(10/28まで)だ。と言って、この手の映画祭にほとんど参加していない私は何かを語る資格はない。今年も無関係に来ていたところ、知り合いから招待券をもらってしまった。
見に行ったのはアジアの風部門の中の1本、「動物園からのポストカード」。
インドネシアの作品。非常に不思議な作品で、ストーリーはない。監督はエドウィン、確か1979年生まれの若手。彼を含め、3人の映画監督の作品を集め、「インドネシア・エクスプレス~3人のシネアスト」として、インドネシア映画をまとめて紹介している。作品の上映後3人の監督が登壇しトークショーがあった。1961年生まれのガリン・ヌクロボ監督、1970年生まれのリリ・リザ監督とエドウィン監督だ。
1990年代前半、スハルトの支配が厳しく映画界も停滞していたらしい。その時代を変える映画をガリン監督が作り、それに触発されリリ監督が作り、それがさらにエドウィン監督に影響を与える。3人の監督の語るインドネシア映画史以上に楽しかったのは、それぞれ個性のあるしゃべり方。映画祭は監督の生の声を聞くことができる場でもある。
今月はこれまで。