つるべ落としのように冬が来た。
寒さはこれからが本番。
12/1は映画の日の本番。
今年は土曜日、
どなたも1000円で映画館へ。
10/26~11/25の、急に寒くなった31日間に出会って、心も体も暖かくしてくれた映画は34本、さすがに芸術の秋、ほぼどれを見ても面白い充実の作品群、今すぐ見に行くしかない。
終の信託
黄金を抱いて翔べ
のぼうの城
北のカナリアたち
伏 鉄砲娘の捕物帖
綱引いちゃった
任侠ヘルパー
その夜の侍
悪の経典
カラスの親指
(古)(フィルムセンター 日活の100年)
五人の斥候兵
土
土と兵隊
(大映70周年)
薄桜記
(山田五十鈴)
マリヤのお雪、
鶴八鶴次郎
危険なメソッド
声をかくす人
アルゴ
ザ・レイド
ロラックスおじさんの秘密の種
リンカーン/秘密の書
思秋期
シャドーチェイサー
みんなで一緒に暮したら
映画と恋とウディ・アレン
高地戦
シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語
桃(タオ)さんのしあわせ
菖蒲
人生の特等席
(古)(ポーランド映画祭)
尼僧ヨアンナ
エロイカ
夜行列車
ちょっとインフレすぎるかなあ…。
①-1 アルゴ
これが事実をもとにしたストーリーというのに驚く。さすがに映画大国アメリカ。出入国手続きを含めハラハラドキドキ、主演・監督・製作のベン・アフレック、製作のジョージ・クルーニー、感心しました。
①-2 思秋期
イギリス労働階級の失業中の50男のいらだち、厳しさが、これほどリアルに描かれ、しかも生きる姿勢を見せてくれる映画にはしびれる。
①-3 危険なメソッド
ユングとフロイド、精神分析科医2人の巨人にロシア人の女性ザビーナが加わり、繰り広げられるサスペンスフルな言葉のやり取り、簡潔にして、スムースな話の展開、これほど上手い映画を作ったクローネンバーグ監督は凄い。
①-4 人生の特等席
だれでも年を取る。目が見えにくくなり、つまずいたりする。娘が6歳の時妻を亡くして以来、遠征にも引き連れながら娘を育ててきた野球の老スカウト、男勝りの33歳の娘と相変わらず喧嘩しながらも…うらやましい父と娘。
②-1 のぼうの城
大きくはない城で展開された奇想天外なお話、和田竜の脚本・原作にのっとり、野村萬斎という適者を得て面白く作られた作品。監督犬童一心、アクション監督樋口真嗣のチームが成功。元々は和田の脚本「忍ぶの城」が城戸賞を受賞、それを小説化したのが「のぼうの城」。
②-2 北のカナリアたち
湊かなえの小説「往復書簡」の映画化、北海道の離島にある小学校の分校、6人の小学生とその先生のその時と20年後の物語。
②-3 高地戦
朝鮮戦争の終結間際、ある高地で繰り広げられる南北の闘い、
極限状態での戦いとその虚しさが鮮烈にリアルに描かれる。
③-1 ザ・レイド
インドネシアが送り出した徹底的アクション映画、30階建てのビルはアクションのために作られたようなノンストップアクション。
③-2 その夜の侍
この粘っこさは何だ。暴力によって周りの人々に別の人を痛めつけさせるなんて、ほとんど角田Mの世界。暑苦しさに辟易し、好きになれない映画だが無視できない。
次の作品もお勧めです。どれも面白い。
◎終の信託:終末医療での医者の役割、尊厳死か否かの問題など、我々の問題を冷静に描いた周防監督の野心作。
◎映画と恋とウディ・アレン:マスコミ嫌いとも言われるウディ・アレンに密着取材、生い立ちから、スタンダップコメディアン、現在の監督まで長いキャリアを多角的に分析。
◎任侠ヘルパー:これはあり得る話だろうか、暴力団がこんな面倒なことをするだろうかと思いつつ、見てしまいました。TVのドラマ番組があったんですね、見たことないですが。
◎シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語:サーカスの歴史を変えたシルク・ドゥ・ソレイユ、物語に沿っての体技の素晴らしさに引き込まれる。ラスベガスを中心に多くの場所で公演しているんですね。
◎桃さんのしあわせ:作品のプロデューサー、ロジャー・リーの実話に基づいて作られた映画は、さすがに映画人がチョイ役で多く出演、サモ・ハン、ツィ・ハーク、アンソニー・ウォンの監督、俳優に加え、大プロデューサー、レイモンド・チョウなどもパーティ場面に登場していました。
◎菖蒲:不思議な作りの映画で、実際の女優と役の女性が交錯する。
ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダの若々しいアイディアにも驚く。
◎悪の経典:生まれつきの悪はあるのか?貴志祐介の衝撃的な原作は映画化不可能と思われていたらしいが、徹底して激しく映画化したのは三池崇史監督。一番の驚きは、続編ありと出たこと。原作あり?
リンカーンは勿論アメリカの第16代大統領エイブラハム・リンカーンのこと。奴隷解放とか、「人民の、人民による、・・・」の演説で有名な大統領、ワシントンには有名なリンカーン像があり、映画にもよく登場する。
今月リンカーンに関連した作品が2本ありました。
「声をかくす人」と「リンカーン/秘密の書」です。
ロバート・レッドフォードの久しぶりの監督作品「声をかくす人」は、リンカーン暗殺の犯人にまつわる話。犯人をかばいアメリカ女性として初の死刑に処せられたメアリー・サラットを主人公にしています。この映画では劇場を訪れたリンカーンが見られます。そこで暗殺されるのですが。
「リンカーン/秘密の書」は勿論主人公がリンカーンです。彼の子供の頃からその成長を追い大統領になるまでを描いています。原題Abraham Lincoln:Vampire Hunter が示す通り、実はヴァンパイアものと考えた方が正しく、何が秘密の書だったのか分かりませんでした。本命の「リンカーン」は来年4/19に日本公開されます。
スティーブン・スピルバーグ監督、ダニエル・デイ・ルイス主演でアカデミー賞の本命と騒がれ始めています。
でも、なぜ今リンカーンなのか?分かりますか?
アメリカ映画がCGを駆使したアクション大作中心になってしまったのはいつごろからだろうか?そして、その空虚さ(?)が日本マーケットで飽きられてしまったのは?その延長線上に3D映画もあるのだろうが、最近3D映画で感心したものもない。
今月見たアメリカ映画で圧倒的に面白かったのは「アルゴ」と「人生の特等席」。3D作品ではなく、アクションもほとんどなく、ストーリーと感情描写の上手さで見せてくれるのです。そして、起承転結もくっきり、お話として面白く見ることができるのです。見た後、明るい気持ちになれるのも特徴の一つと言っていいでしょうか。
★ジェーン・フォンダ & ジェラルディン・チャップリン
フランスの高齢者映画「みんなで一緒に暮らしたら」に出ている2人は、超有名だから今更紹介の必要もないだろう。どちらも有名人の父親を持つアメリカ女優。ジェーンはロジェ・バディムと結婚し暫くはフランス映画に出ていたし、ジェラルディンはカルロス・サウラと交際しスペイン映画に多く出たりと、ふたりともヨーロッパとの関係が深い。時々映画に出ていたジェラルディンに比べると、日本で劇映画に出演しているのを見るのは22年ぶりのジェーン、ふたりとも随分しわは増えましたが、元気です。
●リンカーンについてのウィキペディアを読んでいたら、奴隷解放はしたがインディアンに対しては徹底排除、白人と黒人が平等とは思っていなかったと書いてあった。スピルバーグの「リンカーン」はどうなっているのだろうか?
●検察の横暴さがよく描かれていた「終の信託」は、考えさせることの多い映画だ。もちろんあの事実が重いのだ。
●ウディ・アレンがしゃべりまくる「映画と恋とウディ・アレン」は、
彼の創作の秘密というか、根源を明かしていて、それはアイディアをいつもメモルことだという。作る素材はいくらでもあると言うし、実際に作品をコンスタントに40年も発表し続けているのは凄いの一語。
●「伏鉄砲娘の捕物帳」は桜庭一樹の原作を文芸春秋が製作したアニメーション。文芸春秋創立90周年記念作品となっている。それにしても、あの絵はないよね。ポスターの感じとは全く違っていてしかも作品に合わない。初めに主人公の絵が出た時、映画館を出ようかと思ったほど。
●「五人の斥候兵」「土と兵隊」2本の田坂具隆監督の作品を見たが、画面の美しさに驚いた。1938、39年の作品だが後者のリアルな戦いにも驚いた。
●ポーランド映画祭で、中学生の時以来見てみたいと思っていた作品をやっと見ることができた。田舎には絶対来ない作品だ。「尼僧ヨアンナ」と「夜行列車」。共にイエジー・カヴァレロヴィッチの作品、そのセンスに感心した。
●山田五十鈴特集で、やっと「鶴八鶴次郎」を見ることができた。芸人世界の厳しさを通して語られる男女の切ない結びつき。
同じ日に見た「のぼうの城」はTBS60周年記念作品、「北のカナリアたち」は東映の60周年記念作品。
TV局と映画会社が同じ年にできたのだなあと感心したが、今年は色々なところが周年だったのだなあと気が付いた。もう年が終わろうという時になって気付くのは遅すぎるが。アメリカでは、ユニバーサル映画、パラマウント映画が共に100周年、それをもってハリウッドも100周年と言われる。
日本では、日活映画が100周年、東宝は80周年、大映が70周年、そして東映が60周年だ。ユニバーサル、パラマウント、東映はそれぞれ100周年、60周年記念映画を公開している。日活は現在はほとんど製作していないので新作はないが、ニューヨーク映画祭で行われた日活回顧上映を皮切りに世界各地で特集上映が行われ、日本でも9月から各地の映画館で特集上映が始まっていて来年の2月まで続けられる。
東京のフィルムセンターでは11/06~2/03に日活の63作品が上映されている。今や角川映画がその遺産を引き継いだ大映作品は70周年記念として、38作品の特集上映が始まっている。そんな中にあって、東宝は80周年記念作品と銘打った作品は公開していない。今や邦画界における圧倒的首位を維持する東宝は周年で祝う必要はないと思っているのかもしれない。
東京では現在東京フィルメックスという映画祭が行われている。東京国際映画祭に次ぐ規模の映画祭で、関連して特集上映も行われている。その一つが木下恵介生誕100周年という上映会だ。(これも周年の一つ)11/23から始まっている。上に書いた大映の特集上映も11/23に開始。(薄桜記を見ました。)
ポーランド映画祭は11/24に開始。(尼僧ヨアンナなど3本を見ました。混んでいます。)ジェラール・フィリップ生誕90周年(これも周年)最後の映画祭も11/24に開始。更に常設の特集映画館の番組が、共に11/24から次のように始まっている。
神保町シアター:女優・山田五十鈴アンコール チラシにある通り唯一無二の女優でした。
シネマヴェーラ渋谷:川島雄三「イキ筋」十八選 イキ筋というのが渋いです。
ということで、忙しい年末とはいえ、そそられる上映会が目白押しです。
見過ぎには注意しましょう。
私はTVをあまり見ないので知らないだけなのかもしれないが、最近、草刈民代は注目ではないですか?見たことはないけれどバレリーナとして有名だった人だから、人に何かを見せるという意識は高いに違いない。Shall We Danse?に主演したのは16年も前のこと。賞を取ったりもしたからあの頃から演技は凄かったのか?あまりそんなふうには感じていなかったのだが。「終の信託」を見ていると、彼女の思いっきりの良さ、役になりきる覚悟がすっきりしていて気持ちがいい。少し前NHKの「眠れる森の熟女」に、よりそれを感じたが、何せ姿勢がいい、役に向き合う姿勢が。今年舞台のミュージカル「9時から5時まで」を見ましたが歌もいけます。どんな役にも適応できる感じがする。
期待しています。
今月はここまで。
次回はクリスマスの日にお会いしましょう。