東京は比較的穏やかな天候で明けた元旦、天気予報的にも多くの都市で晴れの予報でした。例年走って初日の出を見に行っていましたが、今年は足を痛めていたため歩いて行きました。ほとんど雲のない空だったのですが、東の下の方だけ雲があり残念ながら初日の出は見られず、雲の上にまで太陽が来るのを待っているのはあきらめました。
しかし、穏やかで静かな元旦を迎えられました。いろいろ問題もある現在の日本ですが、今年も平和で良い国となりますよう!
先日お送りした1月号、例年であればその年の決算報告をすべきところ、
職場問題もありつい忘れてしまいました。やはりぼけでしょうか?まあ、いいや。この新年特別号の後半で報告させていただきます。
2012年に見た映画は342本になりました。ほぼ昨年と同じです。
古い映画の占める割合も、昨年同様ですが、2012年は多くの特集上映でそのテーマでの旧作を見ているので、少し上回っていると思います。新作は260本前後になります。
1.かぞくのくに
2.桐島、部活やめるってよ
3.夢売るふたり
4.わが母の記
5.希望の国
6.終の信託
7.鍵泥棒のメソッド
8.EDEN
9.苦役列車
10.麒麟の翼
新藤兼人監督が亡くなったからという訳ではないが、日本の映画監督の年齢は随分若返ったんだろうかという疑問を持ってしまった。
上に選んだ10本の監督の現在の年齢で見ると、60歳以上は「わが母の記」原田真人監督の63歳のみ、一番若い「苦役列車」の山下敦弘監督が36歳で、平均年齢は47歳となる。ただ、これを若いと見るかどうかは微妙だ。創作活動でそのピークというか傑作を作りだすのは30代、40代が中心だろうと思うからだ。
今、若い人が映画館に来ていないと言われる。彼らの関心事項が多様化し、映画は映像部門の中の一つ、インターネット等で簡単に手に入る多くの映像作品の一つという捉え方で、わざわざ映画館に来ることはないというところなのだろう。それにしても、その年代の人たちでなければ分からない作品があり、感受性の豊かな若い人にはより訴える作品があると考えると、大きな損失と思わずにいられない。個人の趣味趣向が多様化し、
その時代にいた人たちが同じ作品を共有しえた幸せな時代が過去のものになり、一人ひとりの世界に向かってしまうような現代。老人が昔は良かったと自分の若き頃の作品ばかりを懐かしがるだけでは、新しいものは生まれない。
「桐島、部活やめるってよ」にひどく興奮して皆さんにお知らせしたのは9月号だった。(この時のベスト1は「かぞくのくに」で「桐島…」は3位だったが)高校時代にいる全ての人たちに訴えかける何かがあるのではと思ったのだ。
あまり話題にもならずロードショーは終わってしまったが、何かの記事でこの作品がいろんな形で長く上映されていたことを知った。情報の渦に巻き込まれ、貴重な情報も流れ去る現代においても、何とか生き残ることもあるのだなと感じた次第。そうした状況を如何にすれば多くしていけるのかは難しい問題だ。
前月号でオタク的作品が大きく集客していることをお伝えしたが、オタク的要素はなく、それほど宣伝されてもいない作品が時に多く集客しているのは何故なのか?見に来た人たちはどこでその情報を掴んだのか?
こうした謎を少しでも解いて、多くの人たちを映画館に来てもらうようにしたいものと思います。
1.ニーチェの馬
2.思秋期
3.ミッドナイトインパリ
4.レ・ミゼラブル
5.危険なメソッド
6.アーティスト
7.ル・アーブルの靴磨き
8.さあ帰ろう、ペダルをこいで
9.アルゴ
10.おとなのけんか
映画に限らず、文学であれ、漫画であれ、音楽であれ、広く芸術と呼ばれる創作物は、やはり作り手の思いがいかに大きいか、いかに上手く表現されているかによって、我々に届いてくるものが違ってくる。勿論、映画は娯楽という楽しみでもあり、如何に職人的に楽しませてくれるかという面もある。ものすごく平たく言ってしまうと、ヨーロッパ映画は芸術的要素が強めであり、ハリウッド作品は娯楽性で圧倒している。
「ニーチェの馬」は太い丸太で殴られたような衝撃だった。ほとんど物事が進行していかないゆっくりした時間の中で、生きていくことの意味を感じさせてしまう監督の思い。これを最後に55歳で引退したタル・ベーラの独特の強さは忘れられない。
「ミッドナイトインパリ」のウディ・アレンは監督歴40年の77歳、「危険なメソッド」のデヴィッド・クローネンバーグは監督歴35年の69歳、「おとなのけんか」のロマン・ポランスキーは監督歴50年の79歳と、ベテランがその上手さを見せてくれた2012年。芸術、娯楽などの枠など関係ない作品の完成度。まさに見て楽しむ映画の真骨頂。特に後のふたりの映画を見ると、「うまい!」と叫びたくなる。ハリウッド作品は大作ばかりが目に付いてしまうが、地に付いたドラマで見る者に勇気と楽しさを与えてくれる小粒のというか、普通の作品も多く作られている。「ヘルプ」「ファミリーツリー」「人生の特等席」など、いかにもアメリカ映画の持つ前向きな姿勢を感じさせてくれる映画が、もっと見られるといいのだが。勿論、大作の中にも見落とせない作品もある。
「ダークナイト・ライジング」「007スカイフォール」など、ハリウッドでなければ生み出せない娯楽作の豊かさを味あわせてくれた。
いつも1月号でお送りしている決算報告書、2012年は例年と6日間ずれますが、2012/1/01~12/31の年間での報告書とさせていただきます。
期間: 2012/1/01~12/31
支出額: 293,655円
映画本数: 342本
1本当たり金額: 861円
昨年より3円だけ高くなりました。
まあ、これはほぼ同じということでしょう。
昨年も書きましたが、2009年の796円から徐々に上がっています。分析も昨年していて、同じような要因と思われます。つまり、3D映画や60歳以上といえども1000円以上の入場となる映画館、2000円や2500円の高額入場料の映画の存在です。この中で、3Dに関しては何とかしてほしいと思います。
「シルク・ド・ソレイユ3D」など、3Dしか上映しない作品もあるのですが、3Dの効果はほとんど感じられない。しかし、ハリウッドは相変わらず力を入れているようですから、まだしばらくはこの状態が続くのでしょう。
2013年は始まったばかり。
今日見た「グッモーエビアン」は名古屋が舞台だったんですねえ。漫画が原作かと思ったら小説だったんですね。中学生の女の子を中心に上手く描かれています。これを見に行く若い人はどれくらいいるんだろうか?と思いました。
見ていただきたい作品情報を今年も勝手にお送りします。
1本でも多くの映画を皆さんに楽しんでいただけますように!!