2015年 新春特別号back

 あけましておめでとうございます。

 

 今年の元旦、東京は曇りという天気予報でした。朝、6:10頃起きてみるとまだ少し暗いとはいえ、晴れそうな空模様。初日の出を期待して走り始めたのですが、南東方向にのみ下の方に雲があり残念ながら見られませんでした。その雲以外は雲一つない晴天でしたのに少し残念。他の雲は冷たい風が吹き飛ばしたようでしたが、その後、雲が出てきて天気予報通りになりました。

 大晦日は、昨年のある忘年会で他の5人がみんな見ているという紅白歌合戦を見始めたのですが、BSの「ロード・オウ・ザ・リング」の3部作放送が気になり、さらに楽しめる歌が多くはなく、完全には見ることができませんでした 。


 

2014年間ベスト10

 

 2014年1/01-12/31に映画館に行った回数は363回でした。1月号12/25にお送りして以降、12/27からお休みをいただき、毎日2?3本と見ていたのですが、毎日1本には2本不足の結果でした。

 来年以降の目標ができてよかったというところです。363回のうち、82回は旧作を見に行きましたので、新作は281本を見たことになります。

 
 そこから選んだ私のベストテンは次のようになりました。


<日本映画>

 1.私の男
 2.小さいおうち
 3.そこのみにて光輝く
 4.野のなななのか
 5.紙の月
 6.0.5ミリ
 7.ルパン三世
 8.まほろ駅前狂騒曲
 9.渇き
10.舞子はレディ

 

 

 日本映画を見る本数が減っているように感じます。
 数えてみればいいのですが、期待させる映画が少ない、あるいは自分が見たいと思う映画が少なくなりました。

 何故か?日本映画にダイナミズムが欠けているように思う。ドキドキさせる何かが減ってきている。映画として楽しめる部分が希薄になるというか。題材も内にこもりがちなものが多い。家庭の中の細かい状況を描いて昔の映画作りの良さを再認識させてくれた「小さなおうち」のような成功作もあるが、若い人が奔放に作った作品が見られない。あるいは、私が見ていないだけか?

 一時期、映像が躍りすぎ、カメラが走りすぎ見ていられない作品が多く作られていた。その反作用なのか、最近見る若い人の作品に妙に遅いテンポのものが目立つと感じる。
 今年もバラエティ豊かな作品群を見せてくれた韓国映画に比べると、あまりに、そのスピードのなさが気になる。テンポを高めるのは画面のスピードだけではなく、省略も重要だ。語りすぎることはだらだらと物語られることでもあり、見る我々の生理を無視している。もっとも、いつもハイテンションであり続ける傾向の韓国映画が良いとは言えないのだが。

 

 そんな中、「私の男」「紙の月」「ルパン三世」はバランスが取れた作りだった。映画はどんどん簡単に作ることができるようになってきた。素人が個人の趣味で作れる時代になった。だからこそ、プロとして作品を見せる人は、プロとしての作品づくりを心掛けてほしい。

 

 

 

<外国映画>

 1.6歳のボクが、大人になるまで。

   (Boyhood)
 2.グランド・ブダペスト・ホテル

   (The Grand Budapest Hotel)
 3.インターステラー

   (Interstellar)
 4.コーヒーをめぐる冒険

   (Oh Boy)
 5.ある過去の行方

   (Le Pase/The Past)
 6.ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

   (Nebraska)
 7.天才スピヴェット

   (L’Extravagant Voyage du Jeune et Prodigieux

    T.S.Spivet /

   The Young and Prodigious T.S. Spivet)
 8.ヴェラの祈り

   (The Banishment)
 9.ジャージーボーイズ

   (Jersey Boys)
10.消えた画 クメール・ルージュの真実

   (L’Image Manquante /

   The MissingPicture)
次点 めぐり逢せのお弁当

   (Dabba / The Lunchbox)

 

 


 100年以上の映画の歴史の中で、映画の作り方も様々な変遷を見せた。
映画の黄金時代と言われた50年代を知らない65歳の私が言うことではないが、かなり多くの方法や表現が試されてきたと思う。
 映画の表現はどんどん精緻なものになってきている。多くはコンピューター機能を使ったものだろうが、「ロード・オブ・ザ・リング」を見ていても、その表現力には驚かされる。

 

 そうした中、何も新しい表現方法を取らず、内容も日常描写の積み重ねで12年間を描いた「6歳のボクが、大人になるまで。」は、同じ出演者を12年間にわたって使うことによって、すべてのドラマの背後にある時というものを教えてくれるフィルムになっていた。
 その時の過ぎゆくさまは実際の我々の生活とリンクしている。少年から青年になる主人公、予告編を見ていた時あの青年が少年の成長した姿だったとは想像していなかったのだが、本編で見ていれば素直に納得できる作りだった。
 多くの物語が、当然ながら結論を持っているのに比べ、必ずしも結論を示さず過ぎ去っていく多くのエピソードは、時の優しさ、厳しさを教えてくれる。

 

 年を取るにつれて理詰めで作られた映画は昔ほどのめりこめなくなった。
気楽にセンスの良い映画を見たいという思いが強い。見ていて素直に映画に入っていけ、その流れに身を任せて楽しみたいという気持ちだ。
 ベストテンに入れなかったが「イコライザー」は始まりからの2~30分は楽しんだ。最近にない快感だった。

 

 映画はベストテンには選ばれない次に並ぶ映画がどれくらいあるかによって、その豊かさが違ってくる。今回、無理に次点にインドの恋愛映画を入れたのはそんなことを示したかったから。10本に絞り込むのがなかなか難しかった海外作品だった。

 

 今年の1本目は、隣のシネコンで唯一見ていなかった「海月姫」だった。
元旦は休館の映画館もあり、仕方なくの面もあったのだが楽しめた。能年玲奈もキャラクターに合っていたし、他の出演者も漫画チックに演じていてよかった。
 ただ、これを見ていても感じるのだが、まったくこの漫画やアニメを知らない人が見て楽しめるか否かが問題だし、知らない人までを映画館に呼ぶ力があるか否かがもっと大きな問題だ。

 マンガを原作とした映画化ではそのマンガ読者向けといった作品が多い。勿論多くの読者がいるから商売としてはそちらに合わせた方が安全だろうが、映画独自の魅力でお客様を呼び寄せるという気はないのだろうか?日本のオタク的漫画映画がなかなか世界を目指せない限界がこの辺りにある。

 

 巨大な市場を持っていると商売として努力しないということですね。
巨大市場を持っているインド映画界が、今や世界を目指そうとしているのとはかなり違う。

 

 

 11年目に突入の見せよう会通信です。
今年も皆さんに多くの映画を紹介したいと思います。
楽しめる映画に出会えますように。


                         - 神谷二三夫 -


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