2017年 新春特別号back

あけましておめでとうございます。

 

気象庁の予想通り、東京は穏やかな元旦を迎えました。
気温も13度と大晦日に比べると温かくなりました。
雲一つない今日の青空が1年続くはずはないように、今年もずっと順調などというのは夢物語でしょうが、少なくともその変わり方を楽しめるようにしたいものです。

 

2016年は387本の映画に出会いました。
昨年の“やっと1日1本を達成”に比べると、余裕の達成という感じですが、そのせいか最近生活に余裕がありません。
自由時間が少ない感じ。これ昨年も書いていました。
今年はこれを改善しなければ!

 

今年の映画始めは東宝のシネマイレージ6000マイルフリーパス利用で、TOHOシネマズ新宿で「ピートと秘密の友達」(ディズニー製作のファンタジー)と「ドント・ブリーズ」(目の見えない元軍曹宅に忍び込んだ若者3人組のサスペンス)の2本、ほのぼのの後のドキドキは一層迫力がありました。

 

 

 

 


 

2016年間ベスト10

 

387本のうち新作は299本、旧作は88本となりました。
映像にすることがどんどん簡単になっている時代を反映してか、多くのドキュメンタリーが作られるようになりましたし、フィクションにも事実に基づいたものが多く作られるようになった気がします。
ノンフィクションの持つ力がフィクションの創作者の力を上回っているのでしょうか?
或いは事実により面白い素材が見られるようになったのでしょうか?
理由ははっきりしませんが、どちらにせよ面白い作品が出来上がればありがたいです。


<日本映画>

 1.この世界の片隅に
 2.怒り
 3.聖の青春
 4.64 前・後編
 5.FAKE
 6.永い言い訳
 7.ハッピー・アワー 1~3部
 8.シン・ゴジラ
 9.君の名は。
10.湯を沸かすほどの熱い愛

特 人生フルーツ

(試写でかなり早く見ました。明日1/02封切りなのでベスト10に入れませんでした。)

 

 

 

 

映画が興行という形をとる限り話題を作ることは重要だ。
2016年は話題作りがある程度うまくいったのではないか。
「シン・ゴジラ」を見た時、最も面白かったのはその少し前に見た「太陽の蓋」で描かれた3.・11の東日本大震災の緊急対策本部と、ゴジラの対策本部がよく似ていた点だ。
しかもそこにおける人の描き方がいかにもきびきびと、まるでドラマのように描かれていたので、これは大人が見ても面白いと思った。
勿論、怪獣映画としての基本線は守られていたり、様々な謎が仕掛けられていたり、話題には事欠かない映画になっていた。

 

「君の名は。」もともと新海誠監督にコアなファンがついていて、ある程度の成績(15億円)は行くだろうと思われていた。
それが、若い人たちが緻密で繊細な画面と音楽に乗せられて見るようになり、
見ていないと話ができないとさらに多くの人を集めることになった。
しかも何度も見るリピーターも増えたと言われ、後半は大ヒットの話題が多くなった。
始めは単純な男女の入れ替えストーリーに見せておいて、後半は時系列の旅ともなり少し分かり難いこともリピーターを生み出す要因になっていた。
日本映画としては史上2位の200億円超えというのが最終の話題だ。

 

そんな中、同じアニメながら派手さなどはない「この世界の片隅に」が、少数館公開で封切りされるや作品内容から観客数が次第に増え、上映館も増えたとはいえ7週目で68館とヒット作品の1/4以下の興行でベスト10に入っているのは特筆ものだ。
第2次世界大戦をはさんだ10年余りの市井の人々の生活が、丁寧に描かれ、あくまで生活者の視線で物語が静かに綴られる様には感動する。
アニメーションがこんな風に熟成してきたのはうれしいことだ。


 

 

 

<外国映画>

 1.ハドソン川の奇跡
 2.レヴェナント 蘇えりし者
 3.キャロル
 4.ミス・シェパードをお手本に
 5.ブリッジ・オブ・スパイ
 6.ブルックリン
 7.スポットライト 世紀のスクープ
 8.幸せなひとりぼっち
 9・シングストリート 未来への歌
10.トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

次点 映画よ、さようなら


 

 


力強さの点で抜きんでていた「レヴェナント」を1位としていたのだが、始めは4位にしていた「ハドソン川の奇跡」がどんどん上がり1位になった。
ここ10年くらいだろうか、イーストウッド監督の映画作りはますます肩に力が入ることなく自然体になってきた。
その力の抜け方は今回の「ハドソン川の奇跡」で頂点になったのではないか。
どの部分を取っても監督の意思は見られない、映画が映画として自然に進んでいくようだ。

 

今や外国映画を見るのはオタクと思われているとの話題を2か月ほど前のこの見せよう会通信でお伝えした。
その外国映画の意味するのはハリウッド映画だとも。
しかし、今年の私のベスト10は例年に比べても多くのハリウッド映画が入った。
アメコミ関係作品は入っていない。
それにしても、これほど多くを選ぶとは思わなかった。
国籍は、4.ミス・シェパードがイギリス、8.ひとりぼっちがスウェーデン、
9.シングストリートがアイルランド、次点.映画よがウルグアイで、
残り7本はアメリカとなる。
うち4本は事実に基づいた映画ということで、アメリカには面白い事実が多くあるのかもしれない。
中でも、7.スポットライト、10.トランボ、更にベスト10には入れていないが、「ニュースの真相」もあり、マスコミ・映像関係の感動話が多い。
主人公たちが権力に屈することなく信念をもって活動している。
トランプのアメリカには心配な点も多いが、マスコミなどが監視役となってくれるのではないかと思えてくる。

 

ベストに入れた10本のうち、次の2本は今現在上映中だ。
「ミス・シェパードをお手本に」「幸せなひとりぼっち」どちらもアメリカではなく、どちらも喜劇、そして、主人公はどちらも頑固な老人だ。
その笑いは熟成した大人のもの。
時間があればぜひ見ていただきたい。

 

今年がどんな年になるのかを見守りながら、どんな映画であれ面白ければ見てみたいという姿勢で今年も行きます。
時に馬鹿なことを書いていると思います。
遠慮なく批判してください。
どんな意見でも歓迎です。
今年も宜しくお願いします。



                         - 神谷二三夫 -


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