2017年 10月号back

梅雨の時期は雨不足、真夏の時期は日照不足と、
本来あるべき姿とは違っていた今年の気象状況、
ここにきて秋は素直に秋になるような感じだ。
言ってみればいつもの秋?
定番も、イレギュラーなものもなんでも受け入れる
そんな空間、それは映画館!

 

 

 

 

 

今月の映画

 

8/26~9/25、涼しくなりだした31日間に出会った映画は42本、
珍しくも邦画(22本)が洋画(20本)の数を上回っている。
大きな理由は16本を数える日本映画の旧作群。
本数は少ないが日本映画は新作の内容がいずれもハイレベル(除く「奥田民生…」)。

 


 



<日本映画>

関ケ原 
幼な子われらに生まれ 
散歩する侵略者 
三度目の殺人 
米軍が最も恐れた男 その名は,カメジロー 
奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール
冷飯とおさんとちゃん(古) 
骨までしゃぶる(古) 
五番町夕霧楼(古) 
悪女の季節(古)
浪華悲歌(なにわエレジー) (古) 
青春デンデケデケデケ(古) 
淀川長春物語 神戸編サイナラ(古)
斑女(古) 
あいつばかりが何故もてる(古) 
女(古) 
勲章(古) 
深夜の市長(古) 
殿様ホテル(古) 
喜劇 逆転旅行(古) 
花咲く港(古) 

甘い秘密(古)

 

 

<外国映画>

パッション・フラメンコ
  (Sara Baras,Todas Las Voces

   / Sara Baras,All Her Voices)
十年
  (十年 / Ten Years) 
ベイビー・ドライバー
  (Baby Driver)
パターソン
  (Paterson) 
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
  (A Street Cat Named Bob)
ワンダーウーマン
  (Wonder Woman) 
エルELLE
  (Elle) 
きっと,いい日が待っている
  (Der Kommer en Dag / The Day will Come) 
スキップ・トレース
  (絶地逃亡 / Skiptrace) 
ナインイレヴン 運命を分けた日
  (9/11)
僕のワンダフルライフ
  (A Dog’s Purpose) 
エイリアン:コヴェナント
  (Alien:Covenant)
セザンヌと過ごした時間
  (Cezanne et Moi / Cezanne and I)
ダンケルク
  (Dunkirk) 
新感染 ファイナル・エクスプレス
  (Train to Busan)
あしたは最高のはじまり
  (Demain Tout Commence / Two is A Family) 
アメイジング・ジャーニー 神の小屋より
  (The Shack) 
50年後のボクたちは
  (Tschick / Goodbye Berlin)
オン・ザ・ミルキー・ロード
  (On the Milky Road)
ある夏の記録(古)
  (Chronique d’un Ete / Chronicle of A Summer) 


 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

 

-1パターソン

主人公の名前は彼が住むニュージャージー州の町と同じパターソン。彼の1週間の判で押したような大きな変化のない生活を描きながら、なんだか俳句を詠んでいるような情感とゆったり感が感じられる、ジム・ジャームッシュ監督の新作。実に良い使われ方をした永瀬正敏はさすがの出来。

 

①-2オン・ザ・ミルキー・ロード

エミール・クストリッツァ監督のエネルギーと情念が爆発する新作は、サラエヴォ出身のユーゴスラヴィア人と自称する彼のボスニア紛争以降の様々なものが含まれ見ている我々を圧倒する。

 

②-1三度目の殺人
今の日本で最も注目を集める監督の一人、是枝祐和監督の新作は裁判劇だ。
会社の社長を殺し、ガソリンをかけ焼いてしまった犯人とその弁護に当たる弁護士3人チームとのやり取りを通して、人間を探っていく。そのハラハラ感は大したもの。
ただ、最後に検察官と弁護人との公判前整理手続き等を経て自分が犯人とされるだろうと読む、犯人の知能的行動は理解されにくいのでは?

 

②-2ダンケルク
クリストファー・ノーラン監督初めての実話映画化と話題になった作品。
ドイツ軍から陸、海、空で攻め込まれダンケルクに追い込まれたイギリスを中心とした連合軍の脱出作戦を極力CGを使わずに描いたという。確かに、変なシャープさがない、正直な画像で闘いが描かれる。

 

③幼な子われらに生まれ
重松清の小説を荒井晴彦が脚本にしたのは20年前、眠っていた脚本から映画にしたのは三島有紀子監督、初めの頃のなんとなく心温まるという作品群から大きく飛躍、たぶん彼女の持っている男っぽい気風の良さが良い方向にはたらいた。

 

 

楽しめる作品は他にも、ご覧ください。

 

関ケ原:6時間で決したとされる関ヶ原の戦いの元々の勢力の対決から、裏に行われた戦いから、実際の決戦、その後までについての司馬遼太郎原作を2時間29分に詰め込んだ原田真人監督の力作。この時間内に収めるためにかなりの努力をされている。

 

ベイビー・ドライバー:ただ運転することだけにかけた若者は、両親を失った交通事故で自分も耳を悪くし、いつも音楽を流しながら運転している。テンポ良く見せるアクション。

 

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ:ロンドンのストリートミュージシャンで極貧、ドラッグ中毒であった青年が猫と出会うことで生活が改善したという実話の映画化。
監督のロジャー・スポティスウッドは007の1作を監督していたという印象。

 

ワンダーウーマン:パティ・ジェンキンスが女性監督として初めて撮ったアメコミ作品はよくできているが、むしろそれ以外のところでかなり騒がれた作品。世界的には大ヒット、日本では例によってそこまでいかなかったが。腰のくびれはあり得ないプロポーション?

 

エルELLE:ポール・ヴァーホーヴェンといえば「ロボコップ」「氷の微笑」など話題性作品を多く作ったオランダ人監督だが久しぶりにスキャンダラス路線に戻った感じ。

 

きっと、いい日が待っている:50年前のデンマーク、母が病気のための男子養護施設に入れられた兄弟のいばらの道が描かれる。仲間からも、教官からも、世間からもいじめられ、弟が夢見る宇宙飛行士だけが唯一の希望・・・。現在の北欧は全く違う状況になっている。

 

散歩する侵略者:松田龍平はまるでこの話が彼に当て書きされたかのような適役、宇宙人である。あの表情で抑揚をつけないでしゃべればまさに宇宙人だ。劇団イキウメの代表作で、前川知大の脚本を原作に、田中幸子と共同脚本、監督もした黒沢清の、別世界の人々にもぴったりと合い、面白い作品になった。

 

僕のワンダフルライフ(試写会):ラッセ・ハルストレム監督と言えば、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」で我々の前に現れた。少し後にハリウッドに渡り、「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」などの良作を届てくれた。「HACHI 約束の犬」もあり犬には関係が深い。犬が転生し、同じ人に再び出会うという内容は犬好きには驚きの嬉しさだろう。

 

セザンヌと過ごした時間:セザンヌと言えば画家の代表のように捉えられることが多い。彼がエミール・ゾラと少年時代からの友達で、互いに自分たちの道を追求していく中で、離れたり会ったりする過程を追った映画。裕福な家に育ったセザンヌと、生活に苦労したゾラはその環境から生き方が違ったのだろう。死後に初めて不動の評価が定まったというセザンヌと生前に多くのベストセラーを生み出していたゾラ、どちらが幸福だったのか?

 

新感染 ファイナル・エクスプレス:韓国発新手のゾンビ映画は、新幹線に閉じ込められ逃げ場のない人々が襲われる。さらに速度が速い、どんどん襲われる。これでは韓国が滅亡してしまうのでは?ヨン・サンホ監督はアニメも作っていて、この話の前日譚的なアニメの第3作目「ソウル・ステーション・パンデミック」が9/30に日本で封切られる。

 

米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー:沖縄の戦後について私は知らない事が多い。この映画で取り上げられた瀬長亀次郎は終戦後沖縄の民衆の先頭に立ち、アメリカ軍の圧政と闘った人らしい。1972年に日本に復帰するまでに加え、復帰後のこの45年間も沖縄の基地負担は減ることもなく本土との差は広がるばかりだ。

 

エイリアン:コヴェナント:初作の「エイリアン」は1979年リドリー・スコット監督の長編2作目として作られた。言ってみれば彼の原点の一つ。シリーズ作品2~4は他の監督(ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン=ピエール・ジュネとそうそうたるメンバー)によって作られたが、最近の「プロメテウス」、「コヴェナント」は彼自身が監督に復帰、79歳とは思えぬエネルギッシュな作品を送り出している。

 

50年後のボクたちは:トルコ移民二世のドイツ人監督ファティ・アキンの新作は14歳の夏休みの旅を描いた青春もの。子供から大人になる微妙な時期には様々な人が存在する。
14歳にしかできないことも含め、アキンらしく正直に描いている。主人公の一人、チックの人物造形には笑ってしまう。

 

 

 


Ⅱ 今月のトークショー

 

 

8月30日 ジャン・ルーシュ監督の「ある夏の記録」上映とシンポジウムが行われた。
ジャン・ルーシュは1917年生まれのフランス人ドキュメンタリー作家。ニジェールで土木技師をしながら記録映画を作り、後のシネマ・ヴェリテの先駆となった人と言われる。
私の興味はシンポジウム参加者の岡田秀則さんにあった。3号前のこの通信で、彼の著作「映画という《物体X》フィルム・アーカイブの眼で見た映画」を紹介した人だ。
他の参加者も含めシンポジウムでのお話はかなり突っ込んだもので、ジャン・ルーシュを初めて見る私にはついていくのがしんどかった。ちょっと学術的というか。
岡田さんはさすがの知識で感心しました。

 

 

 

Ⅲ 今月の懐かしい人


☆ウォルター・ヒル


映画を見ている時は気づきもしなかったが、後でサイトを見ていて驚いたのが、「ベイビー・ドライバー」のキャスト一覧にウォルター・ヒルの名前があったこと。
役名は裁判所通訳、いやー、憶えていないなあ。もう少し調べると声のみと分かった。
ウォルター・ヒルと言えば「ストリート・オブ・ファイヤー」の監督として有名だ。
脚本も書いている。すっきりした、シャープな映画だった。(1984年)
他にも「ウォーリアーズ」「48時間」とかの監督作があるが、この人の肩書としては、他に脚本家、製作者がありアメリカのサイトで見てみると、製作が27本、監督26本、脚本26本となっていてこの3肩書がほぼ同じである。
最近は製作者としての作品が多く、その理由の一つに「エイリアン」の製作に参加しているのが挙げられる。最新作で上映中の「エイリアン コヴェナント」にも名前が載っている。
1942年生まれの75歳、まだまだ元気のようだ。
今回の声の出演は、その映画の製作者が感謝したいとしているので、ちょっと頼まれての出演だった模様。

 

 

 

 

Ⅳ  今月の旧作

 

今月の日本映画・旧作が増えたのは次の特集上映の何本かを見たから。


◇東映女優祭り 三角マークの女神たち:冷飯とおさんとちゃん、骨まで

        しゃぶる、五番町夕霧楼
  感想:田坂具隆監督の2本(冷飯、五番町)は落ち着いて柔らかな作りが

     流石の出来。
     「冷飯」は3つの話からなるが、いずれも主演した中村錦之助の

     演技力に唸る。


◇神保町シアター総選挙2017 山田五十鈴:悪女の季節、浪華悲歌
  感想:これだけの華と演技力を持った女優が今いるか?芸も持っていて

     最強。


◇~ワンダーランドの映画作家~大林宜彦映画祭2017:

       青春デンデケデケデケ、淀川長春物語 神戸編サイナラ
  感想:いつまでも純粋という言葉が浮かぶ大林監督作品。


◇女優・倍賞千恵子:斑女、あいつばかりが何故もてる、喜劇 逆転旅行
  感想:いい子ばかりではない倍賞の役柄、逆転旅行は役名もさくらだ。


◇名脇役列伝Ⅱ 安倍徹 生誕百年記念 悪い奴ら:女、勲章、深夜の市長、

        殿様ホテル、花咲く港、甘い秘密
  感想:脇役の演技人がしっかりしていると映画は安定する。

     「勲章」には感心。

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●生活の中で使われる小道具類が光を放ち主人公の生き方さえ表しているかのように見える「パターソン」の中で、ライターではなく使うマッチはOHIO BLUE TIP MATCHESだ。いつも詩を書いているノート、家の前にいつも傾いているのを真直ぐに直す郵便受け、マーヴィンという名の愛犬と散歩の途中による馴染みのバーなどなど、毎日の生活のディテールが幸福な映画を生み出している。

 

●華族の殿様が自宅を旅館にするという「殿様ホテル」(1949年)を見ていて、やっと分かったことがあった。「浪華悲歌」(1936年)で山田五十鈴が演じる主人公が後半住むアパートがどうも不思議な住居なのである。まるでやりて婆のような管理人が居たりして、これは何だろうと思っていたのだが、「殿様ホテル」の会話の中に“お妾アパート”という言葉が出てきたのだ。これに違いない。ぴったり。今で言えば“愛人マンション”か?

 

●サイモン&ガーファンクルの同名曲が最後に流れる「ベイビー・ドライバー」、久しぶりにポール・サイモンのリズムの才能を楽しんだ。

 

●私と同年生まれの芦原すなおの小説を映画化したのが「青春デンデケデケデケ」、作家の自伝に近いものが書かれていて、確かに高校生の頃はエレキブームで文化蔡にはいくつかのバンドが出てくるような状況だった。寺の跡取り息子のおやじぶりが凄い。

 

●1948年製作の「」は木下恵介監督作品。いつもの丁寧で分かりやすい木下調とは違いクローズアップを多用、熱海を中心にオールロケされた斬新な画面はイタリアのネオ・リアリスモを想起させる。それでも分かりやすく、しかも緊迫感を伝えるのはさすが木下。
それにしても布団などが次々投げられる熱海旅館街の火事場面はどのように撮ったのか?

 

●エクサン・プロヴァンスの観光に含まれることが多いセザンヌのアトリエ、1902年に銀行家であった父の家の敷地にセザンヌ自身の設計で建てたものらしい。このアトリエは「セザンヌと過ごした時間」には出てこなかったと思うが自信がない。
描かれたサン・ヴィクトワール山は何度も出てくる。

 

●この結末で外国人は納得するだろうか?と心配になったのは「三度目の殺人」だ。ヴェネチア映画祭のコンペティション部門に出品され賞を争っていた時期だった。
残念ながら賞は逃しているが、やはりあの結末の事情は分かり難かったのでは?

 

●1964年の「ダンケルク」はフランス映画で残念ながら見ていないので、今回のイギリス製「ダンケルク」を見るとフランス側から見た内容はどんな風だったのだろうと興味がわく。
ノーラン版でもフランス人はちょっと出てくるが、良くは描かれてはいない。

 

●世界貿易センタービルが飛行機に追突され崩壊してから16年、その時エレベーターに閉じ込められた人達の一刻一刻を追う「ナインイレヴン 運命を分けた日」を見ていると、追突から崩壊までの間に時差があったことを思い出す。すぐ崩壊したと、記憶はいつか間違えて覚えていたのだ。

 

●アンドロイドは10年後にも同じ外見で作られるのかがちょっと疑問の「エイリアン  コヴェナント」は、初作「エイリアン」へとつながる物語を描いている。

 

●生きるもの全てがエネルギーを持って映画に参加している「オン・ザ・ミルキー・ロード」には、ハヤブサ、ロバ、ガチョウ、ヒツジ、蛇、熊からほとんど生命を持った巨大時計、更に永遠に続くようにも思える銃弾飛び交う戦場まで、主人公コスタの周りには人間以外にも多くの生命がうごめく。その中でコスタはロバでミルクを運ぶのだ。

 

●名前しか知らない奥田民生は題名に出るほどの価値があるかチェックするのと、大根仁監督が「バクマン」の後どんな作品を作ったかのチェックに「奥田民生になりたいボーイと…」を見に行ったのだが、それほど面白くはなく、33歳であんな仕事をしているようではだめだよなあ、あの主人公は。原作の漫画自体が甘いんだろうけど。

 

 



今月のトピックス:事実に基づく 



Ⅰ 事実に基づく 

 

今月は何本だろう?5本か、まあまあだな。
新作の中に占める、実話から作られた作品群だ。ドキュメンタリー作品ではない。
基本的にドキュメンタリーは事実を撮ったものだが、いま数えようとしているのは、フィクションで実話に基づいて作られた映画だ。
昔から事実は小説より奇なりと言われたごとく、世の中の出来事は面白く、新鮮なのである。
だからいろいろなところで実話に基づいたお話が使われてきたのである。
大きく言えば歴史というものが、実話に基づいて語られていると言える。歴史は治世者によって書かれることが多い。どんな物事であれ、人によって見方は変わる。同じものを見ていても人によって取り方は違ってくるのだ。皆が知っている歴史でさえ、ある時新しい見方が提示されることも多い。また、宗教的偉人についての話も、歴史と同じく時代の影響を受け、ある時新しい評価に変わることもある。共に、ある時世間がそれが真実であると思ったことが、時とともに変化して語られたものである。

 

実話→映画化には、その間に小説・本や舞台劇、TV作品などが含まれる場合がある。
今月の5本は次の通りだ。
関ケ原:司馬遼太郎の小説から映画化
ボブという名の猫:本人が書いた実話本から映画化
きっと、いい日が待っている:実話に基づき新規に脚本を書きおろし映画化
ダンケルク:ノーラン監督のオリジナル脚本だが、登場人物等は創作されたと思われる。
ナインイレヴン:9・11を描いているが、舞台劇からの映画化

 

偉人・有名人に限らず実在した人の伝記映画も基本的には“事実に基づいた”と言える。
昔から多くの映画が事実に基づいて作られてきたので、今さらそういう映画を取り上げる必要はないのではとも思えるが、印象的には最近多くなっていないかというところ。
この通信で取り上げた作品を4~9月号にわたって調べてみると、次の結果だった。
4月号:3本、5月号:3本、6月号:1本、7月号:5本、8月号:4本、9月号:4本
今月号が特別多いという訳でもなく、更に月に1本は“事実に基づいた”映画が上映されていることが分かった。
完全な作り物の世界より面白い題材が“事実”の方に見つかる限り、今後も作り続けられると思われる。
嘘くさい話は受け入れがたくなっているが、それが“事実に基づいた”という事であれば素直に受け入れてしまうのも我々である。

 

 

 

  

Ⅱ 公式サイト

  

見せよう会通信を書いている時、映画の公式サイトを見ることが多い。内容的なことを調べる場合も多いが、一番の理由は正しい題名を調べるためだ。
時々書いているが、外国映画の日本語題名には映画の宣伝担当者の思いが込められていて、細かい表現がされていることがある。今月で言えば、間違えそうになったのは「きっと、いい日が待っている」だ。“きっと”の後ろの“、”を忘れるところだったのだ。
公式サイトであれば、正しい題名が記載されているだろうと信じて確認している。

 

公式サイトは色々な形で作られている。一つの例として「パターソン」を見てみよう。
項目は、ニュース、コメント、ストーリー、キャスト、ディレクター、スタッフ、予告編、キャンペーン、劇場情報となっている。
これらの項目の中で、ストーリー、キャスト、スタッフに+イントロダクションを加えて、About The Movieという項目にまとめているサイトも多い。

 

今月調べていた公式サイトの中に、ちょっと手抜きではと思えるものが2つあった。
「三度目の殺人」のサイトはAbout The Movie, Comment, News, Trailer, Theater, Mediaから構成されている。一見普通のようだが、About The Movieにはイントロダクション、ストーリーしかなく、キャストもスタッフも名前だけは分かるが、各人の経歴、作品履歴等はどこにも書かれていない。
有名な人たちばかりで皆さんご存知でしょうという事だろうか?

 

「ダンケルク」のサイトはNews, Videos, About The Movie, Theaters, Twitter, Comment, Creditから成っている。ここでもAbout The Movieの中にはイントロダクション的な説明と簡単なストーリーがあるだけで、キャスト、スタッフの経歴、作品履歴はなかった。
流行りだろうか?こちらのキャストには新人も含まれているので有名人ばかりではない。

 

更に今日見た「奥田民生…」の公式サイトにもキャストの経歴、作品履歴はなく、さらにスタッフについては項目さえ無い。やっぱり流行りか?

 

公式サイトは何がなければならないという決め事はない。映画会社が決めて作るサイトだ。
ただ、今回の2作品は話題作、大作でもあるので、ちょっと驚いたというところ。

 

 

 

 

 

Ⅲ シルバーウィーク


ゴールデンウィークは多くの集客があるとして映画界が4月末~5月頭の休みに名前を付けたもの。その後11月にも休みがあるという事でシルバーウィークと名付けたと聞いていた。
しかし、最近は9月の休みをシルバーウィークと呼ぶようになっている。確かに9月も連休があり、気候的には出かけやすくもあるので旅行業界的には9月の方が良いだろう。
11月→9月に変わったことについては、以下の文章がWikipediaにあった。

 

『2008年11月、三菱電機ビルテクノサービスが「2009年カレンダーについての調査」を同社公式サイトで行い、その中で「2009年9月(の連休)に名前をつけるとすれば?(回答方法:フリーアンサー)」という設問があり、「シルバーウィーク」が1位となった。
この結果がテレビやインターネットなどで報道され、国内外ツアーを企画する旅行代理店などがこの言葉を使い始め一気に定着した。』

 

 

 

今月はここまで。
次回は秋本番(であるはず)の10/25にお送りします。




                         - 神谷二三夫 -


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