2018年 9月号back

まだまだ暑い日が続きます。
8月末でも猛暑日に近い気温が続き、台風も集中して発生。
今まで見たこともない東から西に進む台風までやってきた。
それでも時に秋に近づいている気配を感じさせる日もあるこの頃、
早く心落ち着いて過ごしたい方は、そう、映画館へ!

 

 

 

 

 

今月の映画

 

7/26~8/25の終戦記念日を含む31日間に出会った作品は40本、
日本映画で戦争に関連したものは1本のみ、
戦争なんて知らないという作品が多くなるのが良い事なのか否か。
新作では邦・洋画は約1:4、旧作では1:6と共に洋画が圧倒。
バラエティに富んだ作品が揃いました。

 


 



<日本映画>

未来のミライ 
沖縄スパイ戦史 
柴乃ちゃんは自分の名前が言えない 
劇場版コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命― 
Still Life of Memories(スティルライフオブメモリーズ) 
ペンギン・ハイウェイ
陽のあたる坂道(古) 

月曜日のユカ(古)

 

 

<外国映画>

ラ・チャナ
  (La Chana) 
ウインド・リバー
  (Wind River) 
ヒトラーを欺いた黄色い星
  (Die Unsichtbaren / The Invisibles) 
クレイジー・フォー・マウンテン
  (Mountain) 
北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ
  (Liberation Day)
悲しみに,こんにちは
  (Estiu 1993 / Summer 1993) 
インクレディブル・ファミリー
  (Incredibles 2) 
ミッション:インポッシブル/フォールアウト
  (Mission: Impossible – Fallout) 
スターリンの葬送狂騒曲
  (The Death of Stalin) 
2重螺旋の恋人
  (L’Amant Double / Double Lover) 
オーシャンズ8
  (Ocaen’s Eight) 

追想
  (On Chesil Beach) 
英国総督 最後の家
  (Viceroy’s House) 
祈り
  (Vedreba / The Plea) 
希望の樹
  (Natvris Khe / The Wising Tree) 
タリーと私の秘密の時間
  (Tully) 
オーケストラ・クラス
  (Le Melodie / Orchestra Class) 
チャーチル ノルマンディの決断
  (Churchill) 
子どもが教えてくれたこと
  (Et Les Mistrals Gagnants) 
ポップ・アイ

  (POP AYE)

 

《フリッツ・ラング特集》
マン・ハント(古)
  (Man Hunt) 
怪人マブゼ博士(古)
  (The Testament of Dr. Mabuse) 
真人間(古)
  (You and Me) 
激怒(古)
  (Fury) 
ハウス・バイ・ザ・リバー(古)
  (House by the River)  
ブルー・ガーディニア(古)
  (The Blue Gardenia) 
暗黒街の弾痕(古)
  (You Only Live Once) 
恐怖省(古)
  (Ministry of Fear) 
外套と短剣(古)
  (Cloak and Dagger)

 

《その他の古》 
グリース(古)
  (Grease) 
天皇と軍隊(古)
  (Le Japon,L’Empereur et L’Armee) 
感傷的な運命(古)
  (Les Destinees Sentimentales)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

 

 

①沖縄スパイ戦史
日本で唯一地上戦が行われた沖縄、米軍の上陸に備えて陸軍中野学校出身の青年将校が多く送られた。やってくる米兵にスパイ活動できるように集められ、訓練されたのは15~6才の少年たち。米軍の記録に撮られたフィルムに彼らの姿があり、戦闘で亡くなった少年兵の姿も映される。イスラム国が集め訓練した少年兵を思い出す。現在の自衛隊増強とミサイル基地建設にまでつながる状況が描かれるドキュメンタリー。必見です。

 

②追想
一つ間違えばとんでもなく陳腐なものになる可能性がある題材を、繊細な描写で心に残る作品にした監督はドミニク・クック、舞台演出で活躍してきた人で、この作品が映画監督デビュー作。原作を書いたイアン・マキューアンが脚本も書いていて、総て分かった上での細かい筋運びになっている。1962年の若者たちの結婚。「ブルクッリン」「レディバード」と好作品が続くシアーシャ・ローナン主演。

 

③ウインド・リバー
米ワイオミング州のウインド・リバーはネイティブ・アメリカンの居留地の一つ。雪原の上を裸足で走っていく女性の姿を追ったファーストシーンから緊迫感が伝わる。この地区で起こった悲劇を追うことで様々な差別が浮き上がってくる。

 

 

 

おすすめ作品はまだまだ沢山、お楽しみください。


ラ・チャナ:スペイン、ヒターナ(ジプシー女性)のフラメンコダンサー、ラ・チャナについてのドキュメンタリー。彼女が音に、リズムに入り込み魂のままに踊るフラメンコにはいたく感動。現在72歳、1985年には日本でも公演したらしい。生で見たかった。

 

ヒトラーを欺いた黄色い星:ナチス関係の映画はますます増えている。この作品はベルリンにいながら終戦まで生き延びた1500人のユダヤ人のうち、現在も生きている4人を取り上げ、インタビューしながら、彼らの人生を再現していく映画。

 

クレイジー・フォー・マウンテン:オーストラリアからやってきた山岳映画は、世界の山でのクライマーたちの姿を、快適に、スピーディにみせて暑い夏に涼しい驚きをくれた。

 

北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ:北朝鮮の軟化路線を反映したわけでもないだろうが、北朝鮮についてのドキュメンタリーも増えている。スロベニアのロックバンド、ライバッハが招かれて北朝鮮で講演するまでの様子を追ったもの。なかなか見ものです。

 

ミッション:インポッシブル/フォールアウト:現在57歳のトム・クルーズはジャッキー・チェン化していたらしい。スタントマンではなく総てのアクションを自分で行うのがどんどん過激に。この新作では、ノンストップアクションが止まらない!?ここまでやると、次はどうなるの?ってなもの!

 

スターリンの葬送狂騒曲:1953年スターリンが亡くなった。その前後の部下たち、取り巻き、屋敷の兵士や従僕、そして社会の人々のてんやわんやを描いた喜劇。原作はフランスのグラフィックノベル(一種の漫画?)。笑えるが、むしろ事実の勉強になった。

 

2重螺旋の恋人:原因不明の腹痛に悩む25歳の女性の前に別々に現れた2人の精神科医、2人は双子だった。そこから始まる様々な謎は徐々に主人公を追い詰める。フランソワ・オゾン監督のテクニックが冴えるミステリー。

 

英国総督 最後の家:1947年マウントバッテン卿が新しい総督として赴任したインドは宗教的対立から国内が分裂する危機にあった。その後、パキスタンとに分かれる歴史の一齣を、イギリス、インド、さらに宗教を超えて惹かれ合う恋人たちを通して分かりやすく描く。監督グリンダ・チャーダはナイロビでシク教家庭に生まれたインド人女性。2歳でイギリスに移住とある。2002年に「ベッカムに恋して」(インド人女性が主人公)を監督している。

 

タリーと私の秘密の時間:シャーリーズ・セロンは「モンスター」で汚れ役を演じているが、製作も兼ねたこの新作では生活に疲れた母親役をリアルに演じている。

 

チャーチル ノルマンディの決断:今年2本目のチャーチル映画は、ダンケルクの撤退から4年後、連合軍のノルマンディ上陸作戦におけるチャーチルを描いている。第一次大戦で軍人として指揮していた彼は、多くの若者を死なせてしまったという思いから逃れられない。強い妻との関係も描かれる。戦争映画と思えない美しい画面も見もの。

 

子どもが教えてくれたこと:フランスの女性ジャーナリストが作ったドキュメンタリーは、5人の子どもを中心に病気と闘う姿を追っている。ナレーションは一切なく、5~9歳の彼らの生活、家族、治療などの姿を追う。基本的には明るい映画だが、冷静に自分の病気を認識している子供たちの、時に醒めた目が心に残る。

 

ペンギン・ハイウェイ:まだ総てが出尽くしてはいないとは言え、今年の夏のアニメはこれかな。森見登美彦の日本SF大賞を受賞している原作が面白いんだろうな。その設定が魅力的だ。小学4年のアオヤマくんの一夏をペンギンが彩る。

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>

 

今月見た2本は、それぞれ時代というものを考えさせてくれました。


陽のあたる坂道」戦後人気を博した作家、石坂洋次郎特集で上映された1本は、無難な結婚より愛を選ぶというストーリーに加え、驚くほど頭の良い母親など、魅力満載。圧倒的に女優が素晴らしく、主人公の大学生を演じた北原三枝、彼女が家庭教師として教える芦川いずみ、スーパー母親の轟夕起子から目が離せない。


月曜日のユカ」発表された1964年当時、新しい感覚の映画ともてはやされていたことをうっすら憶えている。初めて見たのだが、驚いた。これは言ってみればお妾さん、二号さんのお話で、しかも母親共々なのだ。考えてみれば50~60年代前半までお妾さんの映画は日本映画の一つの特徴だった。旧作をある程度見ていて、その数に驚いたというのが実際だ。この映画はその伝統を提出方だけをちょっと新しくしたものだった。今見てみると、その新しさも当然ながら新鮮ではない。

 

 

 

 

<外国映画>

 

先月に引き続きフリッツ・ラング特集に通った。9本の中では次の4本が印象深い。「マン・ハント」「激怒」「ハウス・バイ・ザ・リバー」「ブルー・ガーディニア」いずれもハリウッドで作られた映画だが、1936年の「激怒」には集団心理の恐ろしさが描かれ、1941年の「マン・ハント」では直接にナチスとの闘いがストーリーになり、ユダヤ人ラングの面目躍如たるものがあるが、1950年の「ハウス・バイ・ザ・リバー」、1953年の「ブルー・ガーディニア」はごく普通の作品だが、登場人物の性格から来る事件が緻密にテンポよく描かれ見る者を引っ張っていく。ミステリー、サスペンスを中心に西部劇まで幅広いジャンルをてがけ、手堅い作品を送り出していたラングの別の面も楽しむことができた。

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

7/30 「沖縄スパイ戦史」 

東中野ポレポレ 三上智恵監督+大矢英代監督+森達也

太平洋戦争終戦間近、沖縄で行われた悲劇的な少年兵等についてのドキュメンタリー上映後、2人の共同監督と森達也さんが3人でのトークショーを行った。
2人の女性監督は、共に沖縄の出身ではなく、共に琉球朝日放送でキャスター、報道記者等を務め、ドキュメンタリーの製作も行ってきた。
沖縄での戦争について、今作っておかなければという気持ちから作品を作り上げた二人、三上監督は沖縄本島北部での少年兵、大矢監督は波照間島から西表島に集団移住させられた事件について、共に後ろに「陸軍中野学校」出身者が暗躍していたという事実を教えてくれる。
森達也さんは“抑止力について再考した方が良いのでは?”と提言された。様々な状況で抑止力が働いているという想定で、物事が考えられている。しかし、そうした抑止力が実際に働いているのか、あるいは状況が変わり効果が無くなっているのか?日本の関係でいえば、在日米軍が北朝鮮の挑発に対する抑止力か、あるいは核兵器を開発していた北朝鮮はそれを得ることによってアメリカとの間に核の抑止力を働かせることができるのか?今の時代、抑止力を働かせるために、持っている力を増強しようという動きが色々なところで行われている。それが互いの力比べとなりますます危機を大きくする場合があるのでは?抑止力に頼っていていいのか?確かに、当たり前のように抑止力という言葉を使うことで現実を見誤ることがあるかもと考えさせられた。

 

 

 

 

Ⅳ  今月の惹句(じゃっく)

 

7/26~8/25の間に封切りされた作品の惹句の中から、内容には触れていない2作品を。このパターンは配給会社が自信を持っている大作などによく使われる。

 

暑い!映画だ!インクレだ!インクレディブル・ファミリー
今年の夏は暑い、確かに。しかし、映画は暑い映画ではない。単に暑さに共感する人を呼び込むのが目的。


ついに本日公開:ミッション:インポッシブル フォールアウト
封切り日に載せる映画広告(金曜封切りが増え、このパターンが多くなった)であれば、どの作品にも使える。勿論“ついに”の一言に、待ち望まれた作品だというプライドが。

 

 

 

 

Ⅴ 今月のつぶやき


●細田守監督のアニメーションと言えば「時をかける少女」や「サマーウォーズ」など好きな作品が多い。同じ路線上にあるだろう「未来のミライ」はしかし、主人公が幼児という事もあり感情移入は難しく、今一つだったかなぁ。

 

●差別という問題は根深いものだ、特に人種的なものは。かつて人種のるつぼと言われたアメリカにはネイティヴ・アメリカンに対する差別感情が今もなおあることを教えてくれるのが「ウインド・リバー」だ。

 

●第二次大戦が終わって73年も経つというのに、今まで隠されていたことが初めて知らされることが多い。一つのブームとさえ思えるナチス関係の映画もそうだが、「沖縄スパイ戦史」は改めて沖縄線についての知らなかったことを教えてくれる。沖縄の人は知っていたのだろうが。

 

●「禁じられた遊び」のポーレットとか「ミツバチのささやき」のアナとか、幼児が画面に登場するとそれだけで見る人の心をつかんでしまう。「悲しみに、こんにちは」のフリダは少し年上かなと言うところだ。両親を亡くしたフリダが叔父夫婦に引き取られ、彼女より幼い従妹のアナをうらやむ気持ちや恨む気持ちが、彼女の表情に見られ痛々しい。

 

●フジTVはTV局製作映画の先陣を切っているが、時々驚く。只今大ヒット中の「コード・ブルー」は物語が始まる前にTVドラマの場面集が流れる。番組を見ていた人たちだけへのサービス。かつて「踊る大捜査線」で初めに大アップとともに登場人物・俳優を写すというサービスをしたのと同じ。自局の番組PR、視聴者へのサービスと心得ているのだろう。

 

●エロチックと言うよりほとんど静物画のように静かに写されてはいるが、普通の日本映画でこれほど女性性器が写されたことはないと言えそうな「スティルライフオブメモリーズ」。同様なフランスの写真集に触発されて作られたという。映倫との闘いも大変だったろうなと想像するが、一面ここまで公開できたことにも感心した。

 

●7月号でお伝えした新作「国家主義の誘惑」を作った渡辺謙一監督の前作「天皇と軍隊」は2015年に作られた。「国家主義…」の公開に合わせて再公開されている。戦後70年の時に合わせて、9条の意味、天皇制などについて右傾化しつつある日本に向けて作られたドキュメンタリー。右、左かかわらず意見を聞き開かれた立場で作りたいという製作者の姿勢が見える。

 

●フランスの音楽教育プログラム・Demosデモスは子供たちに無料で楽器を与えプロの音楽家が教えるというものらしい。このプログラムに触発されて作られた「オーケストラ・クラス」は少しつたない映画作りながら、教えるヴァイオリニストの先生と、色々な人種が暮らすパリ19区の小学6年生たちとの師弟関係、その成長物語で見る者を引き込む。

 

●タイの田舎を象と中年男が歩いていく。その画だけでも絵になるのだが、お話も結構練られていた「ポップ・アイ」はゆっくりした時間の運びで人間性回復を訴える。脚本・監督はシンガポール出身の女性で今はニューヨークを拠点に活躍するカーステン・タン。

 

 

 



今月のトピックス:映画を止めるな!


Ⅰ 映画を止めるな!


先月お伝えした「カメラを止めるな!」は、その後まるで社会現象にでもなったかのように、社会に蔓延していきました。週1回発表される興収ベスト10にも既に2回もランクイン、上映している映画館が現在どんどん拡大しているのでこれからも期待できる。既に封切りから2か月以上経っているので、これは異常なことだ。
都内2館で6月23日に封切りされて以来、最新の情報では150館での拡大公開がされているらしい。大作のヒット作ともなれば通常300館前後での上映がされるので、まだまだ少ないとはいえ、2か月後もまだ拡大しているのは正に驚く快進撃だ。
驚いたことに8/24からは我が家の隣のユナイテッドシネマ豊洲でも上映開始となった。しかも、このシネコンでは2番目に収容人員の多いスクリーン1での上映だ。
最新のベスト10では8位にランクイン、累計興収も8億円を超え、10億円突破も現実味を帯びてきたという。
正に、映画を止めるな!

 

 

 

Ⅱ 名画座の料金 


東京の2つの名画座が7月に料金改定を行った。他の名画座には波及していないと思うが、それほどは行っていないので確信はない。

 

神保町シアター:
7/07の「映画で愉しむ―石坂洋次郎の世界」特集から料金の値上げがあった。
一般:1200円→1300円、 シニア:1000円→1100円
従来あったマチネ料金(平日の3回目のみ1200円→1000円)と水曜日のレディースデー(1200円→1000円)は廃止、毎週水曜日はファン感謝デーとして誰でも1000円が新設された。

 

渋谷シネマヴェーラ:
7/21の「フリッツ・ラング監督」特集から、上映方法、料金の改定が行われた。
二本立て、入れ替えなし上映 → 一本立て、入れ替え制の上映
一般:1500円 → 1200円
会員・シニア:1100円
→ シニア:1000円
→ 会員:800円

 

どちらの名画座もある程度観客が入っているように思えるのだが、やはり経営は厳しいのだろう。

 

 

 

 

Ⅲ フランス映画の穴


渋谷シネマヴェーラでは現在「愛の力学」として、フィリップ・ガレルの最新作「つかのまの愛人」と“彼と彼女と彼”あるいは“彼女と彼と彼女”に関連する映画群を上映している。その中にオリヴィエ・アサイヤス監督の「感傷的な運命」とアルノー・デプレシャン監督の「そして僕は恋をする」が含まれている。
実は、この3監督(P・ガレル、O・アサイヤス、A・デプレシャン)の作品は殆ど見ていない。“殆ど”としたのは、意識せずに見ている場合があるからだ。順に年齢を書けば70歳、63歳、57歳と若いとは言い難い年齢だ。年齢からみれば、ヌーベルバーグ派の監督達から1~2回り下の人たちである。
フランス映画がヌーベルバーグの後、どんな風になっていたのか。それに対する情報が知識として私の中にはない。今回シネマヴェーラの特集によって、フランス映画の穴が感知された。勿論、何かの流派以前の問題として、フランス映画の公開本数が減ったという現実がある。フランス映画に接する機会自体が、何かの流れを感じるほどはされなかった。
更にそうした情報を教えてくれる人もいなかった。
上に上げた3監督の作品も日本のどこかで上映されていた可能性もある。映画祭や、アテネフランセ、日仏学院(現アンスティチュ・フランセ)等での上映である。当時サラリーマン生活の身にはなかなか通えなかったのだった。
こうして、私のフランス映画についての知識には穴がある。
今回、こんなことを感じたのは「愛の力学」の1本「感傷的な運命」を見に行った時、シネマヴェーラがほぼ満席になったからである。3時間に及ぶ作品である。どういう理由で来たのか全員に聞きたいぐらいだった。アサイヤス作品だからと言われそうだ。私は反対にアサイヤス作品がどんなものか見に行ったのだが。

 

 

 

 

Ⅳ CIAと映画


集英社インターナショナルのインターナショナル新書の1冊「驚くべきCIAの世論操作」(ニコラス・スカウ著)を読んでいたら、“銀幕(ハリウッド)を狙え”と言う章があり、ハリウッドとCIAの関係が色々書かれていた。
CIAがハリウッドに協力する時もあるが、しかしその背後には如何にCIAを正当化するかという目的がある。CIAが一番協力したと言われる「ゼロ・ダーク・サーティ」はパキスタンのアボタバードの邸宅(ここでビンラディンが殺された)の見取り図とかは総てCIAで確認を取っていた。ビンラディンの潜伏場所を探るためのCIAの拷問がこの映画によって正当化されたと後に批判されたという。

 

 

 

 

今月はここまで。

次は少しは涼しくなっているであろう9/25にお送りします


                         - 神谷二三夫 -


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