今朝は空一面雲もなく、風もなく絶好の初日の出日和。
いつも通りに日の出少し前にウォーキングに出かけたら、橋の上に初日の出を待つ人たちが微妙なディスタンスで並んでいた。
第3波のコロナは大晦日には大きな数の感染者を記録していたが、少しは希望が持てそうかなという元旦の朝だった。
大晦日には「ジョゼと虎と魚たち」を、元旦の今日は「Away」と、2日続けてアニメを楽しんだ。
アニメは勿論「鬼滅の刃」だけではなく、大人向けのものもあり、田辺聖子原作の「ジョゼ」はなかなかよくできた作品だった。
「Away」はラトビアの新人クリエーターが一人で作り上げた作品、8歳の時からアニメを作り始め25歳の時に作ったこの作品で長編デビュー、世界に認められたという。
今年の元旦は休館している映画館も多くなった。
2020年は誰も思ってもみなかった新型コロナウイルスに世界が席巻されるという事態になった。
今までの普通の生活ができなくなった。
現象的には手洗い、マスク、3密を避ける、など様々に行動の規制がされた。
ほぼ一年になろうとしているが、最近では様々な変種ウイルスが見つけられ、ウイルスのAI並みの学習能力が見られている。
ウイルスの影響は様々な分野にも及んだ。
映画という産業にも大きな影響、変化があった。
興行と製作という面から見てみたい。
<興行>
産業としての映画の最終段階である映画上映の映画館が閉鎖された。
ビジネスがゼロになった訳で、映画館の経営維持が難しくなった。
映画館を応援しようと「ミニシアターエイド基金」等様々なクラウドファンディングも行われた。
開館された後も、蜜を避けるため座席の間隔をあけての興行が行われ、満席になっても通常時の半額の売り上げという状態がしばらく続いた。
映画館内の消毒、観客の体温検査やマスク着用のチェックなど作業量の増大もあった。
こうした映画館での興行に代わって配信による映画鑑賞という形が大きく成長した。
更に作品の公開という面では海外作品が大きな影響を受けた。
特にハリウッドの作品群は、母国での公開済みを条件とするものが多く、大作になればなるほど公開が延期、再延期となることが多くなった。
こうして作品不足の印象となったのだ。
<製作>
映像製作ではNHKの朝の連続ドラマや大河ドラマが撮影ができず、数カ月の休映になったりした。
第1波の流行時にはいかに対処すべきかが手探り状態であり、現場でのなれ等の問題もあり、製作が止まってしまったのだ。
こうした製作の遅延は勿論映画製作の場でも見られた。
日本だけの問題ではなく海外でも同様の問題があった。
今や第3波が大きなうねりをもって日本だけでなく世界に拡がっている。
1年の経験で世界が、日本がどんな風に変わったのか見つめていきたい。
2020年、日本で公開された作品についての話に切り替えよう。
コロナという厳しい状況があったことで特に目立ったのは、ドキュメンタリーが多く公開されたことである。
フィクションがよほど練られたものでないと現実の厳しさに負けてしまうのだ。
ウイルスが猛威を振るう前から、ここ数年来目立つことではある。
この傾向は日本だけでなく海外作品についても言うことができる。
ドキュメンタリーは製作に時間を要するものも多い。
コロナ後に製作されたドキュメンタリーは今年以降に公開されてくるのだろう。
それでもこれほど作品が目立つのは現状の社会の在り方が厳しいからと思われる。
2020/01/01~12/31に1年間に見た映画の本数は431本になった。
旧作を135本見ているので、新作は296本となる。
1.日本人の忘れもの フィリピンと中国の残留邦人
2.海辺の映画館 キネマの玉手箱
3.はりぼて
4.罪の声
5.一度も撃ってません
6.島にて
7.ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶
8.スパイの妻
9.なぜ君は総理大臣になれないのか
10.喜劇 愛妻物語
このなかの半分5本(1,3,6,7,9位)がドキュメンタリーになってしまった。
こうなると個人の趣味かもしれない。
1位にした「日本人の忘れもの」では上映後のトークショーで監督自身が”これは映画ではありません”と言っていたのが思い出される。社会に知ってもらいたいために作ったと言うのだ。
それほど訴えたいものがあると感じたものだ。
いま日本映画に欠けているのは思いの強さではないかという気もする。
フィクションでもいいのだ、思いの強さと作品の質が合体していれば。
大林宣彦監督の遺作となった「海辺の映画館」には彼の思いが詰まっていた。
戦争に対する思いだ。
戦後75年にもなると戦争を経験している人はどんどん少なくなる。
あの戦争でどんなことが起こったかを教えてくれるのが、1,7位のドキュメンタリーでもある。
そして今の日本について語ってくれるのが、3,9位のドキュメンタリーだ。
それらに比べると通常のフィクション作品で今の日本について語ってくれたり、
エンターテイメントとして楽しませてくれる覚悟の作品がどの程度あるのか?
韓国映画のアイディア、パワー、バラエティに完全に負けている現在の日本映画、救世主は現れるだろうか?
今年の日本映画の話題はなんといっても「鬼滅の刃 無限列車編」だろう。
日本の興行収入記録を塗り替え歴代1位になってしまった。
今までの通信でも書いてきたように、コロナ禍の異常な状況下で達成できた記録だとは思うが、今の日本に受け入れられているという事実に変わりはない。
テレビ放映作品の続きという形態での上映で観客を集めた。
暴力描写の多さなど、これが子供向きの漫画雑誌に連載されていたことに驚く。
このアニメの影響はこれから多く見られるようになるだろう。
1.異端の鳥
2.国葬
3.TENETテネット
4.パラサイト 半地下の住人
5.娘は戦場で生まれた
6.ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
7.ペイン・アンド・グローリー
8.2人のローマ教皇
9.シカゴ7裁判
10.1917命をかけた伝令
こちらのベスト10にはドキュメンタリーは2本(2,5位)しか含まれていないが、公開されたドキュメンタリーはかなり多かった印象がある。
歴史もの、音楽もの、映画ものなど幅広い。
それ以上に実際に起こった事件や、実在の人物を基に作られた作品も多かった。
今年は見られなかったがクリント・イーストウッドの最近作はいずれも実話に基づいたものだ。
今回ベスト10に入れなかったが「シリアにて」という作品は、フィクションであるが殆どドキュメンタリーのように作っていた。
しかし、外国映画にはフィクションの素晴らしさを見せてくれる作品も多い。
クリストファー・ノーラン監督の「テネット」は画面の持つ力強さに圧倒される。
時間が逆行するというコンセプトで作られ、一度見ただけでは完全な理解が難しいところもあるのだが、画面の力に引き入れられてしまう。
昨年と同じく1,2位には白黒映画を選んでいる。
特に「異端の鳥」は陰影の濃い白黒画面に引き込まれる。
かつての旧東欧圏の映画にみられた深い想念が思い起こされる。
コロナ2年目となる今年、どんな社会になっていくのだろうか?
望むのは安心して映画館で映画を楽しめること。
良い映画と出会えますように!