2024年6月号 オリバー・ストーンback

 

5月も後半になれば、
そろそろ雨の季節が近づいてくる。
そろそろと言えばカンヌ映画祭も結果が出るな。
日本時間明日には分かる。
明日も行くのは、そう、映画館。
(なんというこじつけ!)

 

 

 

 

 

今月の映画

 

4/26~5/25のGWがあった30日間に出会った作品は46本、
邦/洋画は17/29とほぼいつもの比率でした。
新作は13/20と、これまたいつも通り。

 

 



<日本映画>

   17本(新13本+旧4本)

【新作】

辰巳 
悪は存在しない 
正義の行方 
ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここに 
青春18X2 君へと続く道 
バジーノイズ 
鬼平犯科帳 血闘 
不死身ラヴァーズ 
水深ゼロメートルから 
碁盤斬り 
ミッシング 
湖の女たち 
ハピネス

 

【旧作】
越後奥三面―山に生かされた日々― 


<戦前戦後 東京活写>
あした晴れるか 
息子 
冷血の罠

 

<外国映画>

   29本(新20本+旧9本)

【新作】
マリウポリの20日間
  (20 Days in Mariupol) 
ゴジラXコング 新たなる帝国
  (Goozilla x Kong: The New Empire) 
青春
  (青春 / Youth) 
エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命
  (Rapito / Kidnapped) 
夜明けへの道
  (Rays of Hope) 
貴公子
  (The Childe) 
システム・クラッシャー
  (Systemsprenger / System Crasher) 
人間の境界
  (Zielona Granca / Green Border) 
ミセス・クルナスVSジョージ・W・ブッシュ
  (Rabite Kurnaz Gegen George W. Bush) 

無名
  (無名 / Hidden Blade) 
ジョン・レノン 失われた週末
  (The Lost Weekend: A Love Story) 
猿の惑星 キングダム
  (Kingdum of The Planet of The Apes) 
またヴィンセントは襲われる
  (Vincent doit mourir / Vincent Must Die)
胸騒ぎ
  (Gasterne / Speak No Evil) 
恋するプリテンダー
  (Anyone But You) 
マイ・スイート・ハニー
  (Honey Sweet) 
リバウンド
  (Ribound) 
ありふれた教室
  (Das Lehrerzimmer / The Teachers’ Lounge)
ティアーズ・オブ・ブラッド
  (Enter La Vie et La Mort / On The Edge) 
ボブ・マーリー ONE LOVE
  (Bob Marley: One Love)

 

【旧作】
<ラオール・ウォルシュ レトロスペクティブ ウォルシュを観て死ね!>
栄光
  (What Price Glory) 
ハイ・シエラ
  (High Sierra) 
彼奴は顔役だ!
  (The Rolling Twenties) 
白熱
  (white Heat) 
大雷雨
  (Manpower) 
追跡
  (Pursued) 
路上のライオン
  (A Lion in the Streets) 
恐怖の背景
  (Background to Danger) 
戦場を駆ける男
  (Desperate Journey)

 

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)


今月は作品の充実度が高い。ベストスリー以外にあげた作品も、見る価値ある作品が多いのでどうぞご覧ください。


①-1 悪は存在しない
濱口竜介監督の新作は、長野県の高原の村(架空)にグランピング場(この言葉については今月のつぶやき参照)が進出しようとするお話。その村は名水で有名で、それを使った蕎麦屋もあって水が汚染されるのではという声が上がる。更に計画を担当するのが芸能プロダクションで政府から補助金を得てしまったからというのだ。こんなに不安定な感じの話が「悪は存在しない」という題名の元に作られているのがなんとも不思議。しかも今までの作品にはなかったようなスローテンポで描かれる。

 

①-2 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命
エドガルド・モルターラ事件として世界的に知られた誘拐事件の映画化。エドガルドはボローニャのユダヤ人家族の家に1851年に生まれた。その家にいたカトリックの召使の少女が、病気で命の危険があった赤ちゃんに密かに洗礼を受けさせた。赤ちゃんが地獄に落ちないように洗礼したことを教会に報告していた。この報告のためにエドガルドが7歳になろうとしていた時、カトリック教会警察によって連れ去られる事件を描いた映画だ。非キリスト教徒はキリスト教徒を育てる権限はないと教会法にあるためだ。何とも恐ろしい話。誘拐されたエドガルドは教会内で育てられ、司祭になったという。これまた驚いた。

 

②-1 正義の行方
1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。犯人とされた久間三千年(くまみちとし)は、2006年に最高裁で死刑確定、2008年に福岡拘置所で刑死した。“異例の早さ”だった。この事件に関わった警察、検察、弁護士、DNA鑑定研究者、西日本新聞社がそれぞれの立場で正義を追求する姿を追ったドキュメンタリー。そこには安易な結末はなく、現在の司法制度の在り方について考えさせる力を持っている。

 

②-2  人間の境界
2021年9月ポーランド政府はEU諸国への亡命を求める人々がベラルーシとの国境付近に集まるため、非常事態宣言をし、国境を越えてやってくる難民の受け入れを拒否して強制送還した。元々はベラルーシがEUの混乱を引き起こす目的で多くの難民を人間兵器としてポーランド国境に移送したことによる。この国境を挟んで難民が翻弄される状況をフィクションとして描いた映画だ。殆どドキュメンタリーのような作品を作ったのはポーランドの女性監督アニエスカ・ホランド。「太陽と月に背いて」等、数々の名作を作ってきた監督がポーランド政府の上映妨害にめげず世界に訴えた作品。

 

③ 碁盤斬り
豪華俳優陣を使い初めての時代劇に挑んだ白石和彌監督の新作。あらぬ罪を着せられ、妻にも死なれ、故郷彦根を離れ江戸で娘と二人で貧乏暮しをする武士。碁を好み、嘘偽りのない生き方をする彼が、冤罪事件の真相を知り…。なかなかよくできた話・映画だが主役の草薙が時代劇に合っていたかは、こちらの好みもあってちょっと疑問。

 

 

 

今月は映画館で楽しめる充実映画が他にも沢山。(上映終了済作品もあります。)


マリウポリの20日間:今年の米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞の作品。監督のミスティスラフ・チェルノフは授賞式の挨拶で、“この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう。”と述べた。2022年2月24日にウクライナに侵攻したロシア軍は、3月9日にマリウポリに侵攻した。産科・小児科病院への爆撃を、ロシアは例によって西側にアピールするため演出されたものだとしたが、その真実も映像で見ることができる。

 

夜明けへの道:映画が始まると監督コ・パウの笑えるコントが続く。あれ、映画を間違えたかなと思ったほど。コメディアンとしてもミャンマーで有名なコ・パウの挨拶だったのだ。2021年2月1日早朝、国軍によるクーデターが発生。アウンサンスーチーもこの時収監され今も獄中だ。半世紀続いた軍政が2011年に終わった後、自由を謳歌していたミャンマーは、このクーデターの後、抗議行動を扇動したとしてパウ監督も追われる身となり、民主派勢力の支配地域に隠れることになった。映画はこの状況を伝えるパウ監督のセルフドキュメンタリーとして作られた。今月のトークショー参照。

 

システム・クラッシャー:9歳のベニーは幼少期に父親から受けた暴力のため、自身が乱暴で問題を起こすシステム・クラッシャーになっている。彼女をいかに社会に適応できるようにするのかを描く。監督はドイツのノラ・フィングシャイト、妥協のない描写でベニーの姿を描く。ベニーを演じたのは2019年の製作時に10歳前後だったヘレナ・ツェンゲル、2020年のドイツ映画主演女優賞を受賞している。

 

ミセス・クルナスVSジョージ・W・ブッシュ:珍しくもドイツから喜劇映画がやってきた。息子が不明になり、探ってみればアメリカのグアンタナモ米軍基地の収容所に収監されていたという実話の映画化。アメリカ政府を訴えた実際のクルナス夫人が天真爛漫の女性だったので、ドイツの人気コメディアン、メルテム・カプタンを主演に喜劇にしたという。

 

無名:トニー・レオンと言えば香港映画の人気スターの印象が強いが、この映画は中国人監督による中国映画だ。1941年の上海を舞台に繰り広げられるスパイの動きを描く。中国の二人のスパイは日本に勝利するために働いている。トニー・レオンと中国の若いスター、ワン・イーポーはスパイらしい好演だが、話が一部分かり難い。

 

青春18X2 君へと続く道:「新聞記者」「ヤクザと家族The Family」等の藤井道人監督の新作は、日本・台湾の合作、エグゼクティブプロデューサーはチャン・チェン(「牯嶺街少年殺人事件」「ブエノスアイレス」等のスター)だ。台湾人男性と日本人女性の恋愛は気恥ずかしくなるほどストレートだが、嫌みは全くない。18年後に二人はどう出会うのか?

 

バジーノイズ:これまた気恥ずかしいほどの恋愛ものだが、印象に残るのは音楽に打ち込む人々の姿だ。主人公は長く一人で曲を作り、人とかかわることをしてこなかったが、彼の音楽を聴いた女性が音楽仲間を紹介してくれたことで、世界が広がっていく。

 

猿の惑星 キングダム:チャールトン・ヘストンが主演していた「猿の惑星」が公開されたのは1968年、半世紀以上経って封切られたこの新作は、シリーズ10本目の映画となる。猿になる技術はどんどん進化し、細かい表現はますます深くなり…。まるで猿の人間(?)ドラマを見ているよう。

 

胸騒ぎ:イタリア旅行に出かけた時、知り合って気が合ったオランダ人家族から遊びに来ませんかと葉書が届く。出かけたデンマーク人家族が次第に感じ始めたちょっとした違和感…。異国の地で深く知り合ったわけでもない家族との交流には気をつけた方がいい?微妙な不安が徐々に増大する様を描く。監督はデンマークのクリスチャン・タフドルップ。

 

マイ・スイート・ハニー:この韓国製の喜劇映画はユ・ヘジンと言う俳優がいて初めてできた作品だ。はっきり言って醜男、多分韓国映画界でも1~2を争うのではないか?韓国映画にはアッと驚くような顔の俳優さんがいるようでもあるから、違うかもしれないが。その彼がかわいく見えるようになるのだ。このあたりに今の韓国映画の幅広さがうかがえる。ヘジンが上手いともいえる。こんなことを考えずとも、面白く楽しめる作品。

 

リバウンド:GWに向けて4/26に封切りされたこの韓国映画、気になっていたがやっと見ることができた。“奇跡の実話を完全映画化”とあるから、韓国では有名な感動話なんだろう。今回見に来ている人たちもバスケットが好きなんだろうと勝手に思った。まるで、漫画みたいに楽しめる。

 

ミッシング:吉田恵輔監督の新作。力作だが、主演の石原さとみが泣いてばかりでちょっとゲンナリ。いや正確には泣くか、怒っているかがほとんど。いずれにしても感情がどちらかに振れているよう。熱演でしょうかね。企画に河村光庸の名前がある。2022年6月11日に折去された名プロデューサー。代表取締役社長であったスターサンズが企画に関係していたのだ。

 

ありふれた教室:主人公の若い女性教師が赴任してきた中学校、1年生のクラスを担当し、正義感の強い彼女は徐々に信頼を得ていく。しかし校内で盗難が相次ぎ、教え子が疑われる。犯人捜しのため彼女が隠し撮りをした動画に写っていたのは…。彼女の行動に対する周りの人々の反応が、どんどん悪い方向に走り始め止められなくなっていく怖さ。

 

 

 

 

 


Ⅱ 今月の旧作

 

<日本映画>
越後奥三面―山に生かされた日々―」は1984年製作、今回はデジタルリマスター版として再公開された。当時この映画がどのように公開されたかはよく分からない。多分、文化映画・ドキュメンタリーとして映画祭等での上映が行われたのではないか。今回は堂々ロードショー館(ポレポレ東中野と言うドキュメンタリー専門館)での上映となった。40年前に作られた作品だが、今見ると随分昔の日本のように感じられた。今月のトークショー参照。

 

<外国映画><ラオール・ウォルシュ レトロスペクティブ ウォルシュを観て死ね!>という特集上映では、サイレント作品を含む30本のラオール・ウォルシュ作品が上映された。男性映画を多く作ってきた監督が好んで使った俳優は、ジェームズ・キャグニー、ハンフリー・ボガート、ジョージ・ラフト、エロール・フリンなどだ。彼らが出演している次の9作品を見た。
栄光、ハイ・シエラ、彼奴は顔役だ!、白熱、大雷雨、追跡、路上のライオン、恐怖の背景、戦場を駆ける男
いずれも見る人を楽しませてくれるが、次の2本が印象深い。


ハイ・シエラ:主演したハンフリー・ボガートに驚いた。あまりにスッキリしていい男だったのだから。1941年の作品で当時41歳、苦み走ってなどいない、さわやかと言ってもいいくらいだったので驚いた。白黒画面とはいえ、明るさが目立つ作品だったこともこうした印象を与えることになった原因と言えるかもしれない。40歳代で初めて主演した作品で、出世作とも言われている。


戦場を駆ける男:1942年の作品ながら、ナチスと闘う男たちを描いている。こんな風に書くと、真剣に燃える人物を想像しがちだが、そんな重さはない。しかし、なかなか結末にいたらない。何故なら次々に危機が訪れ、それをきっちり解決するが、その危機が多いのである。正にアクション満載、戦争中に作られたことに感嘆する作品。


 

 

 

 

 

Ⅲ 今月のトークショー

 

4月30日 K’sシネマ「夜明けへの道」上映終了後 日本に来て21年目のミャンマー人、ミンスイさんとジャーナリスト北角祐樹さんの対談
2021年2月1日の軍によるクーデターで自由がなくなってしまったミャンマー、それに対抗しているコ・パウ監督の作品。今回の映画館での公開まで、自主上映会がされていて、ミンスイさんは昨年10月に見たという。今回のクーデターの前までアウンサンスーチーを中心とする民主化勢力下で若者が自由に目覚めていた。今そうした若者たちが立ち上がろうとしている機運も見られるという。

 

5月2日 東中野ポレポレ 「ラジオ下神白」上映後 小森はるか監督の挨拶
いわき市にある福島県復興公営住宅・下神白(しもかじろ)団地には、福島第一原子力発電所事故によって、浪江・双葉・大熊・富岡町から避難してきた人々が暮らしている。人々のコミュニケーションをよくするため、文化活動家のアサダワタルを中心にしたプロジェクト、ラジオ下神白に2018年から記録係として参加しました。それをまとめてこの映画を作りました。

 

5月2日 東中野ポレポレ 「越後奥三面」上映後 製作組織民映研の姫田蘭氏の挨拶
この映画には監督名の表記がない。企画・製作・配給をした民族文化映像研究所(民映研)が組織として作ったということだろうか。このデジタルリマスター版を監修した姫野蘭は、製作時、民映研の中心人物だった姫野忠義の息子だ。父が製作した映画を見ていただきありがとうございましたとの挨拶。

 

 

 

 

Ⅳ 今月のつぶやき

  (悪いことも、良いことも)

 

●グランピングとは何ぞやと思った「悪は存在しない」。調べてみると、グラマラスとキャンピングをくっつけた造語らしい。グラマラスが魅力的なという意味で、贅沢で優雅なキャンプのことという。 準備から片付け、料理まで自分で行わなければならないキャンプと違い、グランピングは必要な道具は全て施設側で用意してくれるというものらしい。知りませんでした。

 

●山下敦弘監督の新作ということで見た「水深ゼロメートルから」。何も知らずに見たので、これが高等学校演劇研究大会向けに作られた脚本で、書いたのは当然ながら高校生とは後で知った。サイトで確認するとその高校生だった中田夢花が大学を卒業し、映画用に脚本も担当したらしい。知識なく映画を見ていると、これは屋外を舞台にした物語ながら、プールという狭いところから抜け出ていず、まるで舞台を見ているようだと感じることが多かった。

 

 

 

 

 

 



今月のトピックス:オリバー・ストーン

 

Ⅰ オリバー・ストーン  

 

GW明けの5/7の朝日新聞朝刊にオリバー・ストーンの記事が載っていた。「プラトーン」「7月4日に生まれて」「ウォールストリートなどの話題作で知られている映画監督だ。


記事は“「沖縄」を考える”シリーズで、沖縄が日本に復帰して5月15日で52年になるのに合わせ、沖縄についての現状を伝えるものの1本。辺野古を巡って日本政府が沖縄県知事の権限を奪う代執行を行った後、インタビューに応じたというもの。普天間の辺野古への移設に反対する声明を、各国の著名人や有識者と共に今年発表していたという経緯があった。
彼は10年程前に沖縄を訪れていて、もずくの美味しさに感心し、平和祈念資料館にあった米兵を含む沖縄戦の犠牲者らの名を刻んだ「平和の礎」に心動かされ、丸木位里・俊夫夫妻が描いた「沖縄戦の図」は今も脳裏に焼き付いているという。


更に沖縄は米軍基地で埋め尽くされているように感じ、多くの米兵を見て1960年代に英語教師や兵士として滞在したベトナムの記憶がよみがえったという。占領地か、植民地か。抑圧され、息がつまるような思いをする人々の姿が、当時のベトナムと目の前の沖縄で重なり合うように思えたという。
辺野古ではボートに乗って大浦湾にも出ました。地域でどれだけ緊張が高まっているかを実感しました。沖縄には権力と闘い続ける人たちがいて、その意味で、日本がただただ米国に従う姿は非常に残念です。県民の7割が反対しているのに、辺野古の基地建設を推し進めるのは民主主義に反すると考えます。
以上が紙面に載ったストーン監督が語った内容だが、朝日デジタル版を見ていたら著名人や有識者と共に出した辺野古への移転反対声明についての次のような記事があった。


『オリバー・ストーン監督ら各国の著名人や有識者ら400人以上が名を連ねた辺野古移設に反対する国際声明はバイデン米大統領や岸田文雄首相、日米両国民に宛てて、「沖縄差別をやめ、沖縄の軍事植民地化に終止符を打たなければならない。その第一歩は、総工費65億ドル(約1兆円)以上、完成までに10年以上かかると予想される新基地建設を中止することだ」と訴えるものだった。』

 

今回のオリバー・ストーンの記事でもう一つ気付いたのが、彼が77歳ということ。案外若く(?)、ベビーブーマー(日本で言えば団塊の世代)だったのだ。

 

 

 

 

 

Ⅱ 現実が難しい?

 

今月は各映画の内容を短く紹介することが結構難しく、いつもより長くなっている。特に、ドキュメンタリーや事実に基づいて作られた映画は、その内容をある程度分かるようにしないと、理解するのが難しくなる。その現実が結構入り組んでいたりするのである。そこのところを上手く、短くまとめ上げる脳力が落ちているということかもしれないが。
映画がすべてフィクション、つまり作り上げられた物語からできていればこうしたことにはならないかもしれない。現在の映画はフィクションだけではなくドキュメンタリーの要素が入っているものが多くなっている。事実に基づいた、あるいは事実に触発されてできた物語とされる映画が増えている。その事実を知らないと十全に映画を理解することができないとなる可能性がある。
外国映画を見ていても、その国の文化・習慣等を分かっていないと本当の理解が難しいと感じる時がある。
作り手の能力不足が問題なのか、見る方の教養が足りないのかの判定は難しいが、それだけ世界が難しくなっているとしておこうか。

今月はここまで。

 

 

 

 

 

次号は、もう雨は止んでいるだろうなあという6月25日にお送りします。



                         - 神谷二三夫 -


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