2025年12月号 最近の映画界back

 

12月まであと少しの時期になっても、

それほど寒くならない中、

今日は雨が降り寒めになりそうだ。

いずれにしてもハッキリしない天候。

そこで、とりあえず映画館!

 

 

 

 

今月の映画

 

10/26~11/25のなりそうでなかなか寒くならない31日間に出会った作品は44本、邦/洋画は19/25、前月同様洋画の方が多いとはいえかなり同数に近い。新作だけでは19/21だった。



<日本映画>

   19本(新19本+旧0本)

【新作】
やがて海になる 

熊本の彼氏 

次元を超える 

爆弾 

盤上の向日葵 

佐藤忠男 映画の旅 

LOVE SONG 

富士山と,コーヒーと,しあわせの数式 

火の華 

てっぺんの向こうにあなたがいる 

フレイムユニオン 最強殺し屋伝説田岡[死闘編] 

旅と日々 

トリツカレ男 

平場の月 

港のひかり 

代々木ジョニーの憂鬱な放課後 

ブルーボーイ事件 

TOKYOタクシー 

果てしなきスカーレット

 

<外国映画>

   25本(新21本+旧4本)

【新作】
ローズ家 崖っぷちの夫婦

  (The Roses) 

ハード・トゥルース 母の日に願うこと

  (Hard Truths) 

ドライブクレイジー タイペイミッション

  (Weekend in Taipei) 

女性の休日

  (The Day Iceland Stood Still)

フランケンシュタイン

  (Frankenstein) 

ひとつの机,ふたつの制服

  (夜校女生 / The Uniform) 

ロードゲーム

  (Road Games) 

ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師

  (Bonhoeffer: Pastor. Spy. Assassin) 

プレデター バッドランド

  (Predator: Badlands) 

ネタニヤフ調書 汚職と戦争

  (The Bibi Files)

モンテクリスト伯

  (Le Comte de Monte-Cristo / The Count of   Monte*Cristo) 

名無しの子

  (无名之子) 

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来

  (The Legend of Hei II) 

スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

  (Springsteen: Deliver Me from Nowhere) 

ベ・ラ・ミ気になるあなた

  (漂亮朋友 / Bel Ami) 

僕らの居場所

  (Scarborough) 

メン&チキン

  (Mænd & høns / Men & Chiken) 

フライト・フォース 極限空域

  (危機航線 / High Forces) 

石炭の値打ち

  (The Price of Coal) 

ジェイ・ケリー

  (Jay Kelly) 

満江紅(マンジャンホン)

  (満江紅 / Full River Red)

 

【旧作】

<イングリッド・バーグマン 演じることは生きること>

ガス燈

  (Gaslight) 

サラトガ本線

  (Saratoga Trunk) 

イタリア旅行

  (Viaggio in Italia) 

ストロンボリ

  (Stromboli, Terra di Dio)

 

 

 

Ⅰ 今月のベストスリー

  (新作だけを対象にしています)

 

1-1  盤上の向日葵

柚月裕子の同名小説を原作としての映画化。「孤狼の血」の原作者でもあり、今や運命と戦いながら生きていく人間を書いたら随一の作家といえようか。天才棋士の青年を巡り、繰り広げられる物語を豪華な俳優陣で描く。「国宝」に続き若者の裏に存在する男を演じる渡辺謙が好調、錯綜する人間ドラマを支えている。予告編で流れていたサザンの「暮れゆく街のふたり」の切ないメロディはラストで聞かれる。

 

1-2  旅と日々

三宅唱監督の新作はつげ義春の2つの漫画「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作としている。脚本も監督自身が書いている。主人公はシム・ウンギョンが演じている韓国人の脚本家、彼女がハングルで書いているところが出てくる。韓国人がゆっくりした日本語で話すことでこの映画のベースが決まり、後半のベンさんとの対話がより生きてくる。彼女が書いた「海辺の叙景」の脚本での映画が前半で写され、後半は雪国でのベンさんとの話になるが、ゆっくりと、ふらふらと描かれる。

 

 

2  なし

 

 

3  ネタニヤフ調書 汚職と戦争

イスラエル首相ネタニヤフの様々な悪事を描いたドキュメンタリー。現職の首相を正面から批判する映画を作り、公開するのには驚く。それだけの自信、これが真実だという自信があったのだろう。日本では考えられない作品だ。

 

 

 

映画館で楽しめる映画は他にも沢山、映画館でどうぞ。(上映終了作品もあります)

 

◎俺ではない炎上:今や人々の噂話に最も大きな影響を与えるのはSNSと言っていいだろう。SNSを全くやっていないので実態がどうなのか知らないが、SNSで炎上するほどに話題になってしまったらそれを消火するのはいかに難しいかと実感させてくれる映画。人の口に上るという昔の噂話であれば、誰から聞いたということははっきりしているが、SNSは無名(ですよね?)で燃え上がるのが怖い、無責任。

 

◎ふつうの子供:“ふつうの”とはどんな子供?と思ってしまうが、今までに「きみはいい子」「ぼくが生きてる、ふたつの世界」を作ってきた呉美保監督の新作を納得して見てしまったのは、主演の嶋田鉄太君が目も細く、いかにも普通の顔をしていたからだ。2014年生まれというから11才だろうか。2021年俳優デビューとあり、テレビドラマ、映画にも多く出ているという。「ぼくが生きてる、ふたつの世界」にも出ていたというが、忘れてしまうくらい普通の子だったのだろう。

 

◎Dreams:“オスロ、3つの愛の風景”として公開された3本の映画「Dreams」「Love」「Sex」、いずれもノルウェーの監督ダーグ・ヨハン・ハウゲルードの作品だ。Wikipediaには、図書館司書、小説家、脚本家、映画監督とあり、図書館司書というのがいかにも異色の60歳。女性教師にあこがれた17歳の女子高生がその気持ちを書いた手記を祖母に見せたことから発展する物語。

 

◎沈黙の艦隊 北極海大海戦:かわぐちかいじの大ヒット漫画の映画化第2弾。前作に続き吉野耕平が監督、同じトーンでしっかり北極海でのアクションを描く。安普請さが感じられないしっかりした作りで楽しめる。

 

◎ブラックバッグ:26歳の時の長編監督デビュー作「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ映画祭のパルムドールを受賞したスティーヴン・ソダーバーグも現在62歳。衝撃的デビューの後しばらくスランプに落ちていたようだが、「エリン・ブロンコビッチ」とか「トラフィック」「オーシャンズ11」等の楽しめる作品を連発してきた。今回はスパイの世界を描く。いつものように大スターを使い、今回はケイト・ブランシェットとマイケル・ファスベンダーが主演、スマートな作りで楽しませてくれる。

 

◎ラスト・ブレス:世界の海にはパイプラインや通信ケーブルが敷設されている。全部で140万キロメートル、地球の35周分になるという。海底に設置された通信ケーブルが世界の情報の大部分を運んでいる。その海底ケーブルの補修に出向く映画だ。これにはちょっと驚いた。確かに何らかの不具合があれば補修に行くしかない訳だが、実際にその映像を見せられるとかなり驚く。

 

◎揺さぶられる正義:関西テレビ制作のドキュメンタリーは、“揺さぶられっこ症候群”を巡る問題だ。乳幼児を揺さぶって脳の中などに損傷を与えたとして逮捕される事件が、関西を中心に2010年代に急増したもの。これが冤罪ではないかと関西テレビが取り組んだ作品。関西テレビの報道記者上田大輔は企業内弁護士として関西テレビに入社後、この事件を調べるために記者になった人。虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義が激しく衝突し合うドキュメンタリー。

 

◎ジュリーは沈黙したままで:ジュリーはベルギーの15歳の少女、テニスをコーチについて練習している。このコーチが教えている他の少女が自殺し、コーチは不適切な行為があったのではと疑われコーチができなくなる。このコーチについて証言を求められるが、ジュリーだけは沈黙を守る。映画はどんなことがあったのかを描いてはいない。この事件によって影響されるジュリーの感情を描く。

 

◎リビング・ラージ:チェコのアニメーション作家クリスティーナ・ドゥフコバが描く少年の物語。クラスの女の子が気になり始める年頃で、自分の太り気味の体形が気になる。そんな時、好きな音楽で“でっかく生きよう”などと歌っている。

 

◎トロン アレス:「トロン」の第1作が公開されたのは43前の1982年、主人公がデジタル世界に入り込み戦ったが、今回の第3作では反対にデジタル世界から現実世界に入ってくるという設定だ。生存できるのは29分間だけという期限付き。半世紀近くの間にデジタル世界の情報が随分進んだためか、初作に比べ衝撃度は強くない。

 

◎ホーリー・カウ:チーズ職人だった父親の死により、18歳の主人公は7歳の妹との二人暮らしになる。フランス・ジュラ地方でコンテチーズを作ってきた父のもとで育った彼は、自分でチーズを作り、コンテストでの賞金を獲得しようとする。ジュラ地方出身のルイーズ・クルボワジェ監督のデビュー作。日本語題名は英語題名からきているが、仏語題名にしろ“なんてこったい“的な感嘆の言葉。日本語で分かる題名にしてほしかった。

 

◎ハンサムガイズ:韓国からやってきたコメディ映画。長編映画監督デビューとなるナム・ドンヒョプが脚本も書いている。中年の二人組が田舎暮らしを夢見て山小屋を買い取りやってくるのだが、大学生グループに殺人鬼と勘違いされたり…というお話。

 

◎バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語:浮世絵は明治時代に多くの作品が海外に流れたとか、そして多くの画家に影響を与えたとかは知っていても、現在の日本でどうなっているかは知らなかった。アダチ版画研究所が“現代の浮世絵”を創造するプロジェクトを追ったドキュメンタリー。今なお新しい浮世絵が生まれることに安心するが、彫師とすり師を合わせても全国に50人という数は不安も。それでも案外若い人が多いのでほっとした。

 

◎ソーゾク:ソーゾクは相続である。相続を扱った映画といえば、相続争いを想像するがそれは正しい。この映画は普通の家族の相続に起こりがちなあらゆる場面を網羅して描き、参考になること間違いなしだ。監督・脚本は藤村磨実也という知らない人。これだけの相続場面を描けるのは実体験されているからだろうか?

 

◎さよならはスローボールで:男たちが毎週集まって草野球を楽しんでいた野球場の閉鎖が決まり、その最後の試合を描いた映画。男たちは年齢も体重もバラバラ、体が動かず転んだりしながら、それでも真剣に最後の試合を楽しんでいる。この愉快な作品を、監督・脚本・編集・音楽・製作したのがカーソン・ランドという人。映画ライターもしていて、さらに音楽活動もという多彩な人、この映画で長編映画監督デビューとなった。

 

◎ナイトコール:ブリュッセルで鍵屋として働く青年、ある夜女性から部屋の鍵を開けてほしいと依頼される。簡単に鍵を開けた時、女性から“早く部屋を出て”と電話が入る。そこからはノンストップにアクションとミステリーが突っ走る。脚本がきっちりできていて最後まで飽きさせない。脚本を書いたのはこの映画で監督デビューしたベルギーのミヒール・ブランシャール。1993年生まれの注目監督。

 

◎モロカイ・バウンド:モロカイといえばハワイ、中心都市ホノルルがあるオアフ島の南東にある隣(といっても船で8時間かかるようだが)の島だ。ハワイ諸島の中では観光開発が最も少なく、手つかずの自然と伝統文化が残る島。モロカイ出身の主人公の息子や別れた妻とのドラマだが、舞台は残念ながらオアフ島のホノルル。最後に母の住むモロカイに向かうのでほっとする。監督は沖縄にルーツを持ち、ハワイで育ったアリカ・テンガン。

 

◎アフター・ザ・クエイク:村上春樹の短編連作「神の子どもたちはみな踊る」の映画化。1995~2025年の30年間にわたる4つの物語が語られるが、印象に一番残るのはカエルくんが登場する最後の物語か?このカエル、どこかで見たと画像的印象が残り、調べてみると昨年見たアニメ「めくらやなぎと眠る女」(見せよう会通信2024年9月号)のカエルだったのだ。村上春樹の原作からピエール・フォルテスが監督したフランス等の合作作品だった。2メートルを超す巨大カエルが今回の映画でも強い印象を残す。

 

◎ヒポクラテスの盲点:2020年のコロナ感染は今になってみると、我々の生活に様々な影響を及ぼしていたことがよく分かる。ワクチンについても、あれは危険だという反ワクチン派もいて、ではどうやってコロナと戦うのかと分からないことが多かった。コロナに合わせて急遽開発されたmRNAワクチンがどうであったのかを教えてくれるのがこの映画だ。早くこの映画が公開されていれば、今回のワクチンは打たなかったのだが…。

 

 

 

 


Ⅱ 今月のつぶやき(良いことも、悪いことも)

 

●「国宝」「盤上の向日葵」と今年の話題作に助演として出演した渡辺謙が、さすがの演技で作品を大きくしてくれた。「ラストサムライ」など国際的にも活躍、ブロードウェイで「王様と私」で舞台ミュージカルに出演するなどしてきた彼も66歳。映画では今年の2本と来年2月に公開される「木挽町のあだ討ち」に出演していて、しばらくは日本で活躍するのだろうか。

 

●映画批評家がドキュメンタリー映画の題材にされるのは初めてではないかと思う「佐藤忠男 映画の旅」。彼が教えていた日本映画学校の生徒だった寺崎みずほが監督している。

“彼の言葉に触れると、映画に対するみずみずしい気持ちが湧き出てきた。さらに。生きていくこと自体にも活力をもたらされる気分になった。”と映画化することを決めたという。

 

 

 

 

 



今月のトピックス:最近の映画界

 

Ⅰ  最近の映画界  

 

①中国映画

今月、中国映画を4本見た。

「名無しの子」:中国に住むドキュメンタリー作家竹内亮監督が中国残留孤児問題について作ったドキュメンタリー。日本人監督の作品で中国と日本の合作映画。

「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)2 ぼくらが望む未来」:冒険ファンタジーのアニメ作品。2020年日本でも上映された1作目の続編。元々はWEBアニメとして公開されたが人気のため映画版が作成されたもの。1作目は未見だが、2本目の今作品を見る限り、日本作品と言われても分からない質の高さがある。

「ベ・ラ・ミ気になるあなた」:ゲイの男性二人を中心とした実写作品。その内容とともに、淡々とした描き方にはちょっと驚くと共に感心した。

「満江紅(マンジャンホン)」:12世紀の中国、南宋王朝が北方の強国・金と激しく戦っていた時代。和平交渉に向けて金国の使者が殺され、南宋の皇帝に渡る予定だった極秘の手紙が消えてしまう。南宋内における犯人捜しを描くチャン・イーモウ監督による2時間30分の大作。

 

4本の作品形態、内容が全く違い、統一した印象はない。反対にここまでバラエティに富んだ作品が公開されたということに感心する。長らく中国映画が日本で公開されてこなかったという印象だった。ハリウッドに伍するくらいの本数の作品が作られていると言われているので、今回の変化に富んだ作品群は当然だったのかもしれない。

今年は香港映画がかなり公開され、日本でヒットした作品もあった。これらも中国映画と言えなくはないが、作品のテイストがちょっと違う。

今後どの程度中国映画が日本で公開されるか分からない。政治的問題で難しい状況になりつつあるので、再びどんな映画が作られているのか分からなくなる可能性がある。

 

 

 

②マッツ・ミケルセン

先月号で「<北欧の至宝>マッツ・ミケルセン 生誕60周年祭」について紹介した。その時点ではまだ始まっていなかったのだが、こんなにスター扱いされる人だったっけという疑問からの紹介だった。

11月14日に上映が開始された。出かけたのは11月18日(火)、平日の昼間だった。この特集上映は東京では3つの映画館で上映されているが、一番近いヒューマントラストシネマ有楽町のシアター1で見た。他の2つは新宿武蔵野館とヒューマントラストシネマ渋谷。

今回上映されるのは7作品で2000~2015年に作られた作品群、内3作が日本初公開となる。見たのは2015年に製作された「メン&チキン」で日本初公開だった。

平日の昼間にしてはある程度の席が埋まっていた。162席の多分25%くらいが埋まっていたのではないか?ガラガラという感じではなかった。これを見てマッツはスターなのかもしれないなという思いがした。さらに、作品も面白かったのだ。

マッツ・ミケルセンさん、申し訳ありませんでした。十分スターでした!

 

 

 

③Netflix

この時期になるとNetflix作品が映画館で上映される。まるで風物詩のように。

かつて11月といえば、12月頭から上映される正月作品の前に、仕入れてしまった作品群を消化しようと配給会社が考えるのか、多くの作品が公開されていたものだ。それがNetflix作品に取って代ったのはここ2~3年というところか。もちろん、今もこの時期は多くの作品が週替わりのように公開されている。

 

今年のNetflixは次の3本だった。

「ハウス・オブ・ダイナマイト」

「フランケンシュタイン」

「ジェイ・ケリー」

 

監督は、キャスリン・ビグロー、ギレルモ・デル・トロ、ノア・バームバックといずれも力のある監督が起用されている。監督たちも自由に映画が作れるとNetflix映画制作に臨み、その結果ある程度の水準の作品が生み出されている。

しかし、あくまでNetflix側は映画館で上映しましたという言い訳的スタンスで、2週間程度の上映、宣伝もほとんどないという印象だ。チェックしていないと見逃す可能性がある。今のところNetflixを契約する気がないので、見逃しは避けたいのだ。

 

 

 

Ⅱ  アニメのヒット作を2本見た日


10月30日、他に見る映画がなく今年の大ヒット映画で今も上映されている2本のアニメ映画を見た。「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」と「劇場版 チェンソーマン レゼ篇」の2本だ。先々週までの成績でいえば、前者は公開以来18週目で累計成績が動員2604万人、興収379億円。日本を含む全世界の累計成績は、動員8917万人、興収1063億円を記録し、日本映画史上初の全世界興収1000億円を突破している。後者は公開9週目、累計成績は動員572万人、興収87億円を超えている。

これほど多くの人たちが見に来ている映画だが、面白く見ることができなかった。共に漫画→テレビアニメ→映画アニメと作られてきた。最近のアニメ作品の多くはこの方式で映画になっている。

見る方も作る方もこの方式が常識で、物語の基本設定は既に知っている人たちが多い。だから、基本設定は描く必要がない。漫画もテレビアニメも見たことがないと作品を楽しめないのはこれが原因ではないか?

 

 

 

Ⅲ 外国映画ゼロ

 

毎週末の興行成績ベスト10が週明けに発表される。先々週まで10週間のその成績を見ていて驚いたのが、外国映画の極端な不振である。

10週間の成績ベスト10で外国映画がゼロの週が半分の5週、つまりこの5週はベスト10総てが日本映画だったのだ。さらに、外国映画がベスト10に入った本数が、1本が3回、2本が2回で、10週全部合わせても7本しかないということだ。

どうしてここまでの成績になってしまったのか、日本では日本映画だけ見ていれば良いのか、日本のアニメ映画が強すぎるのか等々の疑問がわいてくる。

一方で、6月6日に公開された「国宝」はアニメではない実写映画ながら、先々週のベスト10にその前の週の11位から9位に返り咲いていて作品の持つ力を感じさせる。

いずれにしても、バラエティに富んでこそ様々な文化が花開くはずと考えると、この外国映画ゼロは何とか解消したいものだ。

 

 

 

 

次号は、クリスマスの当日12月25日にお送りします。



                         - 神谷二三夫 -


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