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走れ、走りつづけよ
新潮社文庫  
解説:渡辺広士
定価:552円(税別)
頁数:57頁(文庫版)
ISBN4-10-112609-7
カバー画:山下菊二 初出:1967年11月号 雑誌『新潮』掲載
エリートの転落
 単行本として出版された「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」では第二部「ぼく自身の詩のごときものを核とする三つの短篇」の第一作。
 
 父親が外交官でロンドン滞在中に生まれ、東大法学部卒業後、アメリカに留学したという従兄が主人公。

 単行本の冒頭で作者は詩人なることをあきらめたことについてエッセイ風に述べている。全編詩人のオーデンとブレイクにインスパイアされて書かれたかれた作品。

<冒頭>
 われわれが子供の時分から、優秀な従兄の評判は親戚じゅうで高かった。従兄は一族の子供た
ちの亀鑑とみなされていた。しかし僕ははじめてかれに会うとたちまち、短い論争の後、
ー よくもそんな卑劣なことがいえるなあ、とかれを罵って喧嘩をはじめ、もっともそれは不
連続的な粗暴さをあらわした従兄の一方的な攻撃のみの喧嘩で、体も大きく、力も強く、狡い戦
術にもたけている従兄に、僕はまことに惨めなめにあわされた。


<出版社のコピー>
外部からおそいかかる時代の狂気、あるいは、自分の内部から暗い過去との血のつながりにおいて、自分ひとりの存在に根ざしてあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感とそこからの解放の道を、豊かな詩的感覚と想像力で構築する。「万延元年のフットボール」から「洪水はわが魂に及び」への橋わたしをする、ひとつながりの充実した作品群である。
<おすすめ度>
☆☆☆    

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