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■大江健三郎略年譜

    
持続する志
講談社文藝文庫  
解説:なし  
定価:1600円(税別)
頁数:658頁(文庫版)
ISBN4-06-196154-3
表紙デザイン:菊地信義
第二エッセイ集
 著者30代のエッセイ集。
 小説と平行して精力的に発表しつづけるエッセイ。著者を理解するためには、読み手も
 小説と同時にエッセイも読まなくてはならないだろう。すでに40年近く前に書かれた作品で
 あるが今もかわらず新鮮にわれわれてに訴えてくる。

<冒頭>
    この本全体のための最初のノート

 <厳粛な綱渡り>を出版したあと今日にいたるまでぼくの書いたエッセイ群を収録し
て、ここに刊行しようとする全エッセイ集第二を、ぼくが<持続する志>と名づける時、
ふたつのことがあきらかにされなければならない。まず、ぼくの場合、学者としてその専
門領域を鋭く限り、深めてゆくような人々とちがって、また実践家としてそのものの考え
方を行動の壁をのりこえ、のりこえすることによって確実にし、タフにする人々とちがっ
て、ひとりの小説家としてエッセイを発表してゆく人間には、自分の書くすべての文章
に、歪みと崩れたバランスがあらわれればあらわれたなりに、またそれを回復し平衡をと
りもどすことができれば、やはりそれなりに、持続した責任をとりつづけることのほかに
は、仕事のすすめようがないといわねばならないということである。

<出版社のコピー>
  「被爆者の自己救済行動」「沖縄の戦後世代」他
 ヒロシマ、沖縄、核基地、憲法についての諸エッセイと、
 「阿部公房案内」「中野重治の『梨の花』の文章」等
 戦後文学への豊かな考察を示す作家、作品論。全55篇。
 三十代に入った著者は己の存在の根元に突きささる
 鋭い痛みの感覚をもって状況への誠実な発言を続ける。
 1960年代後半、『厳粛な綱渡り』後の第二エッセイ集。
 
<おすすめ度>
☆☆☆☆

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