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■大江健三郎略年譜

    
芽むしり仔撃ち
新潮社文庫  
解説:平野 謙
定価:400円(税別)
頁数:204頁(文庫版)
ISBN4-10-112603-8
カバー画:山下菊二 初出:1958年 雑誌「群像」6月号掲載
初期の長篇傑作
「いいか、お前のような奴は、子供の自分に締めころしたほうがいいんだ。
出来ぞこないは小さいときにひねりつぶす。
俺たちは百姓だ、悪い芽は始めにむしりとってしまう」
 
 初期の大江文学を味わうのに一番のお勧め作品。ぜひ読んでみてください。
 大江文学の硬質な文体の魅力にあふれています。


<冒頭>
 第一章 到着
 夜更けに仲間の少年の二人が脱走したので、夜明けになっても僕らは出発しなかった。そ
して僕らは、夜のあいだに乾かなかった草色の硬い外套を淡い朝の陽に干したり、低い生垣
の向こうの舗道、その向う、無花果の数本の向うの代赭色の川を見たりして短い時間をすごし
た。前日の猛だけしい雨が舗道をひびわれさせ、その鋭く切れたひびのあいだを清冽な水が
流れ、川は雨水とそれに融かされた雪、決壊した貯水池からの水で増水し、激しい音をたて
て盛り上がり、犬や猫、鼠などの死骸をすばらしい早さで運び去って行った。

<出版社のコピー>
大戦末期、山中に集団疎開した感化院の少年たちは、疫病の流行とともに、谷間にかかる唯一の交通路を遮断され、山村に閉じ込められる。この強制された監禁状況下で、社会的疎外者たちは、けなげにも愛と連帯の”自由の王国”を建設しようと、緊張と友情に満ちたヒューマンなドラマを展開するが、村人の帰村によってもろくも潰え去る。緊密な設定と新鮮なイメージで描かれた傑作。
<おすすめ度>
 ☆☆☆☆☆

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