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  らふ  
たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ
新潮社
解説:なし
定価:1400円(税別)
頁数:218頁(新書版)
ISBN978-4-10-303619-7 
装丁:新潮社装頓室
挿画:山本じん
初出:2007年6月号~10月号 『新潮』
とうとう作中にKenzaburoで登場。挑戦し続ける野心作

 
 この作品はこれまでの「おかしな二人組み」三部作の延長にあるもかと思われる。しかし登場する語り手は長江古義人からはっきりとKenzaburoと名乗るノーベル賞受賞作家である。過去の大江作品もいくつも出てくる。間違いなく語り手は大江健三郎本人であるが、これはまぎれもないフィクションであり、小説である。大江は小説における実験的試みをさらに続けてきている。読者はこのぎりぎりのところを楽しみながら読み続けなくてはならない。

それにしてもこの進化はどこまで続くのであろうか。はっきり言ってこの作品は面白い。しかりこのサイトの目的である”若い読者””大江を読み始めたばかりの読者”向きではない。長年大江作品を読み続けて来た、必ずしも大勢ではいないがしっかりとした読者に向けてへの作者のサービス精神溢れた挑戦作なのではないだろうか。”若い読者”は楽しみができたと思う。いつかこの作品にじっくりと向かい合えるように少しずつ大江作品を読み進めてゆくという楽しみである。

 
<冒頭>
    序章 なんだ君はこんなところにいるのか
      
      1
 肥満した老人が、重たげな赤い樹脂製のたわむ棒(フレックス・バー)を左手に、早足で歩いて行く。その右脇を、
肥満した中年男が青いたわむ棒(フレックス・バー)を握って歩く。老人が右手を空けているのは、足に故障のある中
年男が重心を失った時、支えるためだ。狭い遊歩コースで擦れちがう者が興味を示すけど、
たわむ棒(フレックス・バー)の二人組は、かまわず歩き続ける・・・・・
   
<出版社のコピー>

かつてチャイルド・ポルノグラフィ疑惑を招いて
消えていった一本の映画企画があった。
その仲間と美しき国際派女優が30年を経て再び、私の前に現れた。
人生の最後に賭ける「おかしな老人」たちの新たなもくろみとは?
ポオの美しい詩篇、枕草子、農民蜂起の伝承が破天荒なドラマを彩る、
レイター・ワーク
大江健三郎「後期の仕事」の白眉!
<おすすめ度>
  ☆☆☆☆






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