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■大江健三郎略年譜

1     
暗い川 おもい櫂
講談社  
解説:尾崎真理子
定価:5800円(税別)
頁数:14頁
ISBN978-4-06-509002-2
ブックデザイン 鈴木成一デザイン室 初出:1958年 雑誌「新潮」7月号掲載
生きてゆくことは、暗くて冷たい川を泳いでゆくこと

  
 印象的なタイトルは黒人兵が謳うこの詩からとられている。
  

 「生きてゆくことは、暗くて冷たい川を泳いでゆくこと。暗くて冷たい川をおもい櫂でこいでゆく」

 まだ青年ともいえない中学一年生。かれは自分が家族に愛されていないと思っている。アパートの隣に住んでいる中年の娼婦のところには黒人兵がやってくる。ピーターソンという男は朝鮮で5人殺したことがあるという。娼婦と黒人兵がいい争いをしたあと、娼婦の部屋を訪れたかれはそこで娼婦との性体験をする。そして女から「いつ結婚するの?」と聞かれ、「明日」と叫ぶ。
 黒人兵、娼婦、屈折した若者。大江健三郎の初期作品によく描かれた登場人物だ。

 

<冒頭>

 
 妹たちと母親がいずれおとらず着かざり、父親の運転する自動車に乗ってアパートの車よせから出て行くのをかれは見おろしていた。それから窓を閉ざして窓かけをおろし部屋を暗くした。かれは腹をたてていた。

 

<出版社のコピー>
 
<おすすめ度>
 ☆☆★ 


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