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■大江健三郎略年譜

    
あいまいな日本の私
岩波新書  
解説:なし
定価:740円(税別)
頁数:232頁(新書版)
ISBN4-00-430375-3
講演集
ノーベル賞受賞講演を含む講演集
 
 1994年12月7日 ストックホルムでのノーベル賞受賞記念講演をまず読んでみよう。彼の誠実な生き方、語り方に素直に耳を傾けようではないか。

    <冒頭>
 それは不幸なさきの大戦のさなかでしたが、ここからははるかに遠い日本列島の四国という島の森のなかですごした少年期に、私が心底魅惑された二冊の書物がありました。『ハックルベリー・フィンの冒険』と『ニルス・ホーゲルソンの不思議な旅』。前者には、世界を恐怖が襲うようだった時代に、私が谷間の小さな家で夜をすごすより、森に登り樹木に囲まれて眠ることに安息を見いだす子供であったことの、自己正当化の根拠があると感じられました。そして、後者の少年が小人となり、かつ鳥の言葉を理解して、冒険にみちた旅をする物語には、いくつものレヴェルの官能的な喜びが隠されていたのでした。
<出版社のコピー>
 「私は渡辺一夫のユマニスムの弟子として、小説家である自分の仕事が、言葉によって表現する者と、その受容者とを、個人の、また時代の痛苦からともに恢復させ、それぞれの魂の傷を癒すものとなることをねがっています」
1994年ノーベル文学賞受賞記念講演ほか、全九編の講演に語られた、深く暖かい思索の原点と現在。
<おすすめ度>
☆☆☆☆
<ノーベル賞受賞講演の原文はこちらから>

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