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頭のいい「雨の木(レインツリー)
新潮社文庫  
解説:津島佑子
定価:476円(税別) 現在品切れ
頁数:25頁(文庫)
IISBN4-10-112615-1
初出:1980年1月号 雑誌「文学界」
ややこしいがなんとも不思議な話、不思議な味わい       
 
  『現代伝奇集』の最初の作品であり、かつ『「雨の木」を聴く女たち』の冒頭の作品。
 
 ハワイにあるい精神障害者収容で催されたパーティでの不思議な経験。
これから続く連作の冒頭。

「雨の木」はとても重要なキーワードです。それはこんなふうに説明されています。

    - 「雨の木(レインツリー)」というのは、夜なかに驟雨(しゅうう)があると、
    翌日は昼すぎまでその茂りの全体から滴をしたたらせて、雨を降らせる
    ようだから。他の木はすぐに乾いてしまうのに、指の腹くらいの小さな葉を
    びっしりとつけているので、その葉に水滴をためこんでいられるのよ。
    頭がいい木でしょう。

この英訳は連作の次の作品『「雨の木」を聴く女たち』にでてくる。

   
<冒頭>
   
 ー あなたは人間より樹木が見たいでしょう?とドイツ系のアメリカ人女性がいって、パーティの人びとで埋っている客間をつれ出し、広い渡り廊下からポーチを突っきって、広大な闇の前にみちびいた。笑い声とざわめきを背なかにまといつかせて、僕は水の匂いのする暗闇を見つめていた。

 
<出版社のコピー>

危機にある男たちを受け入れ、励ます女たち。若者を性の暴力にむけて挑発しながら、いったん犯罪がおこると、優しい受苦の死をとげて相手をかばう娘。かれらをおおう「雨の木」のイメージは、荒涼たる人間世界への再生の合図である・・・。宇宙の木でもあれば、現実の木でもある「雨の木」のイメージにかさねて、人の生き死にを描いた、著者会心の連作小説集。<読売文学賞受賞>

<おすすめ度>
☆☆☆☆☆  自選短編作品
      oe 6
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