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■大江健三郎略年譜

               
ベラックヮの十年
講談社文芸文庫  
解説:井口時男
定価:1200円(税別)
頁数:21頁(文庫版)
ISBN4-06-196382-1
  初出:1988年5月号 『新潮』掲載
  奔放な百合恵さんが面白い
  
1988年に雑誌「新潮」に掲載されたときには「**百合恵」となっていたが、2014年の自選短篇では「由木百合恵」さんに変わった。仮名にするが、となっているが。「由木百合恵」の方が座りごごちがよい。この百合恵さんから『神曲』をイタリア語で読むために教えを乞うことにした。いい育ちのお嬢さんであるが自由奔放に生きている。大江特有のエロティックさも描かれており楽しい。
 
 <冒頭>
 
 『神曲』から様ざまに引用して、自分の生の出来事と、めぐりあった人びとに関わらせつつ、ひとつの長篇小説を書いた。多くの批評にめぐまれたが、あるヨーロッパ文学研究者の指摘が胸にこたえたのである。

 <出版社のコピー>
 障害を持つわが子と妻との日常、そして夥しい量の読書。
 少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。
 「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものを
 なぞる過程でしだいに独特なものをつくってゆく」という
 方法意識の作家「僕」が綴る、表題作九篇の短篇小説。
 切迫した震える如き感動、時にユーモアと諧謔をたたえて
 還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。
 <お勧め度>
☆☆☆★ 自選短篇作品 

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