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若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 |
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個人的な体験 | ||||
新潮社文庫 | |||||
解説:なし (<かつてあじわったことのない深甚な恐怖感が鳥(バード)をとらえた。> 大江健三郎) | |||||
定価:476円(税別) | |||||
頁数:249頁(文庫版) | |||||
ISBN4-10-112610-0 | |||||
カバー画:山下菊二 | 初出:「純文学書下ろし特別作品」として 1964年8月 新潮社刊 | ||||
初期の傑作長編小説 | |||||
鳥(バード)というあだ名を持つ主人公。現実の大江氏と同じように頭部に障がいを持った子供の父親である。 この27歳の予備校教師と、大学での同窓生火見子との関わりが作る物語。鳥(バード)は障がいのある産まれたばかりの赤ん坊の衰弱死を願っていた。苦悩の中で主人公は職を失くし、自己救済を火見子との性交渉の中に求めた。 1964年度新潮社文学賞を受賞。 大江健三郎の作品に触れてみたいと思っているひとに最初にお勧めしたい作品。難解なところはなく、『飼育』などの初期短編を読み終えたら、次にこの作品に入ってほしい。 |
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<冒頭> | |||||
鳥(バード)は、野鳥の鹿のようにも昂然と優雅に陳列棚におさまっている、立派なアフリカ地図を見おろして、抑制した小さい嘆息をもらした。制服のブラウスからのぞく頸は腕に寒イボをたてた書店員たちは、とくに鳥(バード)の嘆息に注意をはらいはしなかった。夕暮が深まり、地表をおおう大気から、死んだ巨人の体温のように、夏のはじめの熱気がすっかり脱落してしまったところだ。 |
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<出版社のコピー> | |||||
わが子が頭部に異常をそなえて生まれてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢見ていた鳥(バード)は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽る背徳と絶望の日々・・・・。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか?暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長篇。 |
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<おすすめ度> | |||||
☆☆☆☆☆ 1994年11月に出版された新装版(装画:司修)新潮社 |
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