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若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 

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■大江健三郎略年譜

    
後退青年研究所
新潮社文庫  
定価:552円(税別)
頁数:20頁(文庫版)
ISBN4-10-112608-9
カバー画:山下菊二 初出:1960年 雑誌「群像」3月号掲載
なぜきみは後退したのか?   

 ここでは「性」を扱わずに占領体制時の政治を扱っている。
 ミスター・ゴルソンという若い社会心理学者と通訳担当の女子大生とぼく。ミスター・ゴルソンは来日して「傷つた学生の精神傾向を調査する仕事」をしている。
 この作品の魅力は朝鮮戦争が終わった頃、ある時代の学生運動で傷ついたインテリ層の一面を描いていることにある。

<冒頭>
 
 暗黒の深淵がこの現実世界のそこかしこにひらいて沈黙をたたえており、現実世界は、そのところどころの深淵にむかって漏斗状に傾斜しているので、この傾斜に敏感なものたちは、知らず知らずのうちにか、あるいは意識してこの傾斜をすべりおち、深淵の暗黒の沈黙のなかへ入りこんでゆく、そして現実世界における地獄を体験するわけである。
 
<出版社のコピー>
<おすすめ度>
 ☆☆☆☆

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