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『芽むしり仔撃ち』裁判
岩波現代選書  
解説:なし
定価:1200円(税別) 現在品切れ
頁数:133頁(文庫)
ISBN9784000047159
初出:1980年2月号 雑誌『新潮』
中・短篇小説集「現代伝奇集」3番目の作品       
  
 この作品は大江が若かりし頃(23歳)に書いた最初の長編『芽むしり仔撃ち』の後日譚となっている。『芽むしり仔撃ち』を書いた小説家が全体を語ってゆく。その小説家に向けて彼の弟でアメリカに滞在する弟が英語で書き送ってくる長い手紙文を、小説家が日本語に直しているという構成である。これだけでもややこしいのだが、さらに全体の構成は複雑である。あまりにも複雑であるため、読みこなすのは大変である。20年前の旧作を土台に新たな小説を構築してゆくという意欲がはっきりとあらわれている
   
<冒頭>
   1
《兄さん、僕がはじめてそいつを遠方から眼にした時の嫌悪感は、いわばこの世に他人が実在し、自分が実在することへの、その根本的な組みあわせそのものに発するもののようだったよ。》 そのようにアメリカにいる弟から、英語で書きおくって来た、報告書としての手紙。この報告の根柢に横たわる事件について、かつて小説を書いたことのある僕は、弟の手紙を自分の解釈・批判はぬきにして以下に書きうつす。しかし英語から翻訳しつつである以上、それが弟のというより、自分の文体となることはいたしかたない。

 
<出版社のコピー>

  待望の中・短篇小説集

ハワイにある精神病者のための民間施設、メキシコ・シティの裏街、北米ロングアイランドの別荘。それぞれの場所に、それぞれの文体で展開される、三つの奇怪な物語。そのグロテスクで克明な描出が、現代世界の核心を浮かびあがらせる。著者久々の中・短篇小説集。

<おすすめ度>
☆☆☆☆ 
                oe 6
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