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■大江健三郎略年譜

  
生の連鎖に働く河馬
講談社文庫 
定価:619円(税別)
頁数:69頁
IISBN4-06-275392-8
カバーデザイン:司修 初出:1985年10月号 雑誌『新潮』
       
   
<冒頭>
      1
 平地でいえば空梅雨の、北軽井沢へ来た。ウガンダから乾いた草のような匂いのする紙の航空便が届いて、夏のはじめに一家で日本に帰るが、当座住みつく場所がない、かつ一家の主人は、おいおい慣れてゆくはずではあるけれど、帰国してすぐは人嫌いの本性剥き出しであるにちがいない、そこであたなたの山荘を借りるわけにはゆかないか、と質ねていた。

<出版社のコピー>
「浅間山荘」の銃撃戦と、雪深い森の若い死者たち。革命党派の課題をこえて、そこには戦後日本の精神史にきざまれた、もっとも悲劇的な惨たらしさがある。しかもユーモアの地下水もにじみ出るほどの人間的な深みで受けとめたい。文学の仕事なのだから・・・・
永く考えた後、手法のことなる架空の短篇をくみあわせて、出来事の全体に対置することにした。主題としては長篇にひとしく、同時代、あるいは同じ不幸を生きる自分の個人史も透けて見える。
<おすすめ度>
☆☆☆
ISBN4-16-308780-X 文藝春秋
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