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若い読者のための大江健三郎ワールド 作品紹介 |
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静かな生活 |
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講談社文庫 | |||||
解説:伊丹十三 | |||||
定価:1050円(税別) | |||||
頁数:29頁(文庫版) | |||||
ISBN4-06-196343-0 | |||||
カバーデザイン:菊地信義 | 初出:1990年4月号 雑誌『文芸春秋』掲載 | ||||
連作「静かな生活」の1 | |||||
障害を持つ兄のすぐ下、女子大生のマーちゃんの視点で書かれた家族の物語。 魅力的なひとびとがいきいきと描かれている。 作者の後書き「著者から読者へ マーちゃん」に書かれているが、小説に描かれているマーちゃんはあくまでも小説での人物として創造されたもの。現実の娘さんがモデルではないとのこと。 そのせいか自由に実に生き生きと描かれている。とても好感が持てる人物、若者となっている。大江作品の中では異色と言える。 ここでは20代半ばに入った兄イーヨーの性的な問題がテーマ。 1995年に義兄であり長年の親友である伊丹十三によって映画化された。主演であるマーちゃんに佐伯日菜子、イーヨーに渡辺篤郎、パパに山崎務。音楽に大江の長男光の曲が使われた。 |
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<冒頭> | |||||
父がカリフォルニアの大学に居住作家(ライター・イン・レジデンス)として招かれ、事情があって母も同行することになった年のこと。出発が近づいて、家の食卓を囲んでではあるが、いつもよりあらたまった雰囲気での夕食をした。こういう時にも、家族に関するかぎり大切なことは冗談と綯(な)いあわせてしてしか話せない父は、さきごろ成人となった私の結婚計画について、陽気な話題のようにあつかおうとした。 |
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<出版社のコピー> | |||||
精神に機器を感じて外国滞在を決意した作家の父に、妻が同行する。残された三人の兄弟妹の日常。 脳に障害を持った長男のイーヨーは”ある性的事件”に巻き込まれるが、女子大生の妹の機転でピンチを脱出、心の平穏が甦る。家族の絆とはなんだろうかーーー。 <妹>の視点で綴られた「家としての日記」の顛末に、静謐なユーモアーが漂う。大江文学の深い祈り。 |
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<おすすめ度> | |||||
☆☆☆☆ 自選短篇作品 | |||||
新刊の時の表紙 1990年10月25日発刊 |
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