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■大江健三郎略年譜

1     
偽証の時
講談社  
解説:尾崎真理子
定価:5800円(税別)
頁数:26頁
ISBN978-4-06-509002-2
ブックデザイン 鈴木成一デザイン室 初出:1957年 雑誌「文學界」10月号掲載
小さな組織が犯す隠れた犯罪
  
 大学の歴史研究会という組織。そこにさほどの意欲、意思もなく関わった女子大生が主人公。女性が主人公というだけでも大江作品ではめずらしい。
 その女子大生は警察から送り込まれたスパイかもしれないということで贋学生を監禁し、尋問をする手伝いをした。贋学生は女子学生と木田という同じ大学の学生と二人で贋学生を見張っていたが、二人で休憩をしているすきに逃走された。
 贋学生は警察に訴え、木田は逮捕された。しかし事件は贋学生が神経衰弱で妄想から事件として訴えたという方向に展開してゆく。実際にあったことを組織ぐるみでなかったこととしようとしてゆく。
 本来は進歩派と呼ばれていいはずの小さな組織が犯す犯罪。
 
 
<冒頭>

 
 私の指で縛りつけた縄の結目を私の指で解きほぐすことが絶望的に難しいのだ。硬い結目は張りつめて冷たく、それに食いこませた指先を痺れさせ、爪は激しく痛んで充血してしまう。

 

<出版社のコピー>
 
<おすすめ度>
 ☆☆☆☆ 


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