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■大江健三郎略年譜

    
勇敢な兵士の弟
講談社  
解説:尾崎真理子
定価:5800円(税別)
頁数:12頁
ISBN978-4-06-509004-6
ブックデザイン 鈴木成一デザイン室 初出:1960年 雑誌「文藝春秋」1月号掲載
戦争に行けなかった、行かなかった世代の思い

  
 結婚相手にふさわしい相手がいる24歳の若者。彼は心理的な要因で勃起不全になっている。優秀だった実の兄は戦争末期特攻隊として死んでいった。兄は死ぬ直前自分が童貞のまましんでゆくことを口にしていた。
 戦争に行って死んでいった若者、一方戦争に行くには若すぎたものたち。死ぬことはなかったものの、心に残っている傷は重い。
 

<冒頭>

 
 憂鬱な青年が腰からした裸で行儀よく小さな診療室の片隅に立っていた。窓のむこうに冬枯れた樫の木立と、外套を着こんで前屈みになった通行人が歩いて行く坂道とが曇った低い空のもとにひろがっており、室内からもその風景のなかを冷たい風が吹きめぐっているのがわかった。

 

<出版社のコピー>
 
<おすすめ度>

 ☆☆★ 

   obi




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